BUYING GUIDE / 4 PRODUCTS
モバイルバッテリー 4製品比較【モバイルバッテリー比較】4製品|メーカー表記のmAhより「5Vで取り出せる量」で選ぶ
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
モバイルバッテリー4製品を、メーカー表記の容量の書き方と5Vで取り出せる量で比較。同じ10000mAhで何回充電できるのかを買う前に見積もりたい人に向けて、基準電圧やWhをどこまで公表するかが4段に分かれる実情を、メーカー公表値の突き合わせから読み解いた。
FIND YOUR FIT
あなたが重視するのは?
用途から気になる候補へ。対応条件と注意点は、各製品の解説で確認してください。掲載順は順位ではありません。
SIDE BY SIDE
気になる2製品を、並べて比較。
製品を選ぶと比較内容が切り替わります。
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388とCIO SMARTCOBY TRIO 67W SS CIO-MB67W2C1A-SS20000を比較しています
| Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388 | CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS CIO-MB67W2C1A-SS20000 |
|---|---|
| こんな人の候補 | |
| 薄さを優先し、ケーブルも一緒に持ち歩きたい人 | ノートPCを含めて複数台を持ち歩く人 |
| 目安価格 | |
| 3千円前後(2026-09-05確認) | 1万1千円前後(2026-09-05確認) |
| メーカー表記の容量 | |
| 10000mAh | バッテリー容量:5000mAh / 15.48V / 77.4Wh / バッテリーセル:20000mAh 4ICP7732 |
| 定格容量 | |
| 記載なし | 記載なし |
| 複数ポート同時の合計 | |
| USBポート 合計最大出力:5V = 3A (最大 15W) | USB-C1+A:合計67.5W/USB-C2+A:合計15W/USB-C1+(C2+A):合計60W(C1+C2の合計65Wは仕様表になく製品特徴の注記) |
| 購入前に確認 | |
| 容量表記が mAh の1行だけで、基準電圧も Wh も公表がない | 商品ページにPSEの記載が1つもない(同じシリーズのリチウムイオン版にはあった) |
| 仕様確認日 | |
| 2026-09-05 | 2026-09-05 |
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。公表値の条件はメーカーごとに異なるため、数字の大小だけで優劣は決められません。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
選び方の根拠を、詳しく。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
- この記事が向いていない人
- 選ぶときに見るべき基準は3つ
- 基準1:mAh は「何ボルトで数えた mAh か」が分かって初めて比べられる
- 基準2:「5V で取り出せる量」を書いているのは2社。ただし語がまったく違う
- 基準3:「合計最大出力」という語が、同じ表の中で別の数字を指している
- 比較表
- 商品ごとの解説
- ① Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388
- ② CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS
- ③ エレコム 薄型コンパクトモバイルバッテリー DE-C66-10000WH
- ④ オウルテック 準固体電池採用 デジタル表示搭載 OEC-LPB10024-BK
- セル種別・PSE・航空機は、「どこに書くか」で割れる
- レビューで多かった不満と、その対処
- 状況別のおすすめ
- 買ったあと、最初にやること
出張の朝、鞄にモバイルバッテリーを放り込む。本体には10000mAhと書いてある。スマートフォンの電池は数千mAhだから、単純に割れば2回か3回は充電できるはずだった。ところが夕方には、スマートフォンもバッテリーも両方が心もとない残量になっている。
見積もりが外れる原因は、たいてい製品の性能ではなく単位の読み方にあります。**mAh は電気の量そのものではなく、「ある電圧で数えたときの量」**です。何ボルトで数えた mAh なのかが分からないと、同じ数字を並べても比べたことになりません。
そして各社は、その基準電圧をどこまで書くかで分かれます。しかも4通りにばらけているのではなく、書く量が段になっている。この段差は、買う前に読者が何を計算できるかをそのまま決めます。
ここでは4製品を、2026年9月時点のメーカー公表値で並べ直します。
この記事が向いていない人
先に外しておきます。
- 実測の充電回数を知りたい人 — 実機は持たず、メーカー公表値と購入者レビューだけで書いています。測った数字は1つも出てきません
- ノートPCを充電したい人 — 4製品で単ポート30Wを超えるのは1つだけです。残り3つは候補になりません
- AC100Vの家電を動かしたい人 — 4製品ともUSB出力だけです。コンセントが要るならポータブル電源5製品の比較のほうで、1000Wh級・定格1500W前後の製品を並べています。ただし飛行機には持ち込めません
- 飛行機に持ち込めるかをこの記事だけで確かめたい人 — 後述しますが、4社とも書き方が違います。最終的には利用する航空会社の規定を見る必要があります
- 20000mAh級の容量が要る人 — 該当は1つで、本体は約355gあります
- 買ってすぐ満充電で使い始めたい人 — 本体を満充電にするまでの時間は約90分から約6時間まで開きがあり、1製品は記載そのものがありません。Wh と時間の両方が公表されていて割り算が成り立つのは3製品で、その条件がどこに書いてあるかは4製品とも違います(充電時間を入力Wで割り直した記事)
選ぶときに見るべき基準は3つ
基準1:mAh は「何ボルトで数えた mAh か」が分かって初めて比べられる
ここが今回いちばん伝えたい部分です。4製品の容量欄を、メーカー表記のまま並べます。
- Anker A1388「容量:10000mAh」 — 基準電圧も Wh も無い
- CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS「バッテリー容量:5000mAh / 15.48V / 77.4Wh」+「バッテリーセル:20000mAh 4ICP7732」 — 別の基準電圧の mAh を2つ並べる
- エレコム DE-C66-10000WH「電池定格容量:3.7V/10000mAh 37.0Wh」+「参考充電回数:3000mAhのスマートフォンを約1.9回」 — Wh に加えて充電回数で取り出せる量を示す
- オウルテック OEC-LPB10024-BK「内蔵バッテリー:3.85V 10000mAh(38.5Wh)」+「定格出力容量:5V/6000mAh、9V/3300mAh、…」 — Wh に加えて定格出力容量そのものを書く
上から順に、書いてある量が増えていきます。4通りに割れているというより、段になっている。
同じ「10000mAh」を名乗る2製品の公表値を、そのまま突き合わせるとこうなります。
| エレコム DE-C66-10000WH | オウルテック OEC-LPB10024-BK | |
|---|---|---|
| メーカー表記の mAh | 10000mAh | 10000mAh |
| 基準電圧 | 3.7V | 3.85V |
| Wh | 37.0Wh | 38.5Wh |
3.7 × 10.0 = 37.0、3.85 × 10.0 = 38.5。どちらも公表値どうしが一致するので、書き間違いではありません。数えている電圧が違うだけで、同じ「10000mAh」でも Wh にすると1.5Wh の差が出ます。
Anker は基準電圧を書いていません。だから、この1.5Wh の差が自分の買う製品にあるのかどうかも、読者には確かめようがない。差が無いのではなく、差の有無が分からないという状態です。
CIO はもっと極端で、同じ製品の容量欄に5000mAhと20000mAhが並びます。検算するとこうなります。15.48V × 5.000Ah = 77.4Wh。小数点まで一致します。同じ77.4Whを20.000Ahで割ると3.87Vで、これは15.48 ÷ 4。4直列にしたセルを1本ぶんに割り戻したのが20000mAhのほうで、2つの数字は同じ電池を別の電圧で言い直したものです。製品名に出ているのは後者です。
基準2:「5V で取り出せる量」を書いているのは2社。ただし語がまったく違う
USB から出てくるのは5V(USB PD なら9Vや20V)で、電池の中は3.7V前後。だから内部で昇圧します。電圧を上げれば同じエネルギーでも mAh は減り、そこに回路の損失が乗る。メーカー表記の mAh がそのまま出てこないのは、この2段があるからです。
オウルテックは仕様の語のまま書きます。「定格電圧/定格容量:5V/6000mAh、9V/3300mAh、12V/2450mAh、15V/1960mAh、20V/1475mAh」。Wh に直すと 30.0 / 29.7 / 29.4 / 29.4 / 29.5Wh で、どの電圧でも29.4〜30.0Whに収まる。電圧が上がっても取り出せるエネルギーはほぼ変わらず、mAh の数字だけが変わることが読み取れます。38.5Wh ÷ 5V = 7,700mAh に対して 6,000mAh なので、比率は 77.9% です。
エレコムは「定格容量」という語を使いません。 代わりに製品の特長欄で「1800mAhのスマートフォンを約3.3回、3000mAhのスマートフォンを約1.9回充電可能」と書きます。読者の使い方に翻訳した書き方ですが、掛け算すれば同じ場所に着きます。
- 3,000mAh × 1.9回 = 5,700mAh(37.0Wh ÷ 5V = 7,400mAh に対して 77.0%)
- 1,800mAh × 3.3回 = 5,940mAh(同じく 80.3%)
オウルテックの77.9%とほぼ一致します。 別々のメーカーが、別々の書き方で、同じところに着いている。ここは推計ではなく、どちらもメーカー自身が公表している数字どうしの計算です。
ただし、エレコムの2つの回数から割り戻すと 5,940 と 5,700 で240mAhずれます。条件として書かれているのは「満充電した本製品で電源オフの状態のスマートフォンを充電する際の目安回数」までなので、どちらが実態に近いかはここでは決められません。 もっとも、この240mAhを回数に直すと、1,800mAhのスマートフォンで0.13回、3,000mAhなら0.08回にしかなりません。同じ製品でも割る側を1,800mAhから3,000mAhに替えれば3.3回が2.0回になるので、割る側を替えると回数がどれだけ動くかのほうが桁違いに大きく効きます。
残る2製品は書いていません。CIO は商品ページに定格容量の欄がなく、Anker は定格容量も Wh も基準電圧もありません。Anker はこの計算の入り口そのものが無いことになります。ただし同社は公式FAQで、10,000mAh の製品はセル電圧約3.7V基準で37Wh、5Vに直すと7.4Ah、効率を約82%としてラベル上の定格容量は約6,000mAhになるのが一般的、と説明しています。説明はしているのに、商品ページの仕様表には載っていません。
基準3:「合計最大出力」という語が、同じ表の中で別の数字を指している
製品名や見出しの W 数は、そのまま信じられません。Anker A1388 の仕様表には、この2行が同時に載っています。
- 合計最大出力:22.5W
- USBポート 合計最大出力:5V = 3A (最大 15W)
同じ「合計最大出力」という語が、別の数字を指しています。 さらに同じページのご注意欄が、22.5W出力は Huawei 機器のみ対応で、それ以外は USB-A が最大18W・USB-C が最大20W、複数ポート使用時の合計は最大15Wになると書いています。製品名に入っている22.5Wは、単ポートかつ特定メーカー向けの値でした。
2台つないだときにどうなるかを、公表値だけで並べるとこうなります。
- Anker — 単ポート22.5W → 複数ポート同時は最大15W。3分の1に落ちる
- オウルテック — 単ポート最大PD30W → 2ポート同時は合計最大5V/3A(15W)。半分に落ちる
- エレコム — 単ポート USB-C 15W / USB-A 12W → 2ポート同時(C+A) 合計15W、3ポート同時も合計15W。もともと15Wなので落ちない。 ただし USB-A どうしの組み合わせだけ2.4A(合計12W)
- CIO — 単ポート67W → C1+A で合計67.5W、全ポートで合計60W。ところが C2+A の組み合わせだけ合計15W
3製品が15Wに着地するのに、そこへ至る道が3通りに分かれています。 落ちるのか、もともとそうなのか、挿し方次第なのか。「2台同時に充電できます」は、たいてい同時に給電できるという意味であって、2台とも急速充電できるという意味ではありません。合計15Wなら、1台ぶんの急速充電にも足りない計算になります。
なお、④にはこの下にもう1段あります。本体を充電しながら給電すると最大7.5Wで、単ポート最大30Wの25%、同製品の USB Type-A 単独の上限18Wに対しても41.7%です。3段目のW数を書いているのは4製品で1社だけで、その1社ぶんを出力Wの3段落ちとして並べ直しました。
なお、組み合わせごとに公表しているのはエレコムと CIO の2社ですが、粒度は違います。CIO は電圧と電流を段ごとに出し、エレコムは電流と合計Wだけ。同じ「組み合わせごとに書く」でも情報量は倍以上違います。
比較表
| 項目 | Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388 | CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS CIO-MB67W2C1A-SS20000 | エレコム 薄型コンパクトモバイルバッテリー DE-C66-10000WH | オウルテック 準固体電池採用 デジタル表示搭載 モバイルバッテリー OEC-LPB10024-BK |
|---|---|---|---|---|
| 目安価格 | 3千円前後 | 1万1千円前後 | 3千円前後 | 5千円前後 |
| メーカー表記の容量 | 10000mAh | バッテリー容量:5000mAh / 15.48V / 77.4Wh / バッテリーセル:20000mAh 4ICP7732 | 電池定格容量:3.7V/10000mAh 37.0Wh | 内蔵バッテリー:リチウムイオン電池/3.85V 10000mAh(38.5Wh) |
| 定格容量 | 記載なし | 記載なし | 参考充電回数:1800mAhのスマートフォンを約3.3回、3000mAhのスマートフォンを約1.9回充電可能(製品の特長欄。「定格容量」の語は使っていない) | 定格電圧/定格容量:5V/6000mAh、9V/3300mAh、12V/2450mAh、15V/1960mAh、20V/1475mAh |
| 単ポート最大出力 | 22.5 W | 67 W | 15 W | 30 W |
| 複数ポート同時の合計 | USBポート 合計最大出力:5V = 3A (最大 15W) | USB-C1+A:合計67.5W/USB-C2+A:合計15W/USB-C1+(C2+A):合計60W(C1+C2の合計65Wは仕様表になく製品特徴の注記) | 2ポート同時(C+A):3A(合計最大出力15W)/2ポート同時(A1+A2):2.4A(合計最大出力12W)/3ポート同時:3A(合計最大出力15W) | USB Type-C+Type-A:5V/3A(合計最大出力) |
| セル種別 | 記載なし | 半固体 | リチウムイオン | 準固体 |
| PSE の記載 | 記載なし | 記載なし | ○PSE 特定以外の電気用品 | PSE適合製品 |
| 航空機持ち込みの記載 | 記載なし | 記載なし | 機内持ち込み可能/電池容量が160Wh(43,243mAh)以下であるため、機内持ち込みも可能です | 多くの航空会社の機内持ち込み手荷物の規定を満たしております |
| 満充電までの時間 | 記載なし | 充電時間(0〜100%):約90分 ※使用環境により異なる場合があります | 約6時間 ※製品本体のみを充電した場合の目安です | 空の状態から満充電まで約1時間40分(PD30W充電時) |
| 充放電サイクル | 記載なし | 約500回 ※フル充電・放電の繰り返しにおける目安。 | 500回(同じページの製品の特長欄は「約500回」) | 約2000回 ※機器および使用条件によります |
| 外寸 | 71 × 16 × 151 mm | 69 × 29.5 × 95 mm | 69 × 15.5 × 140 mm | 70 × 17 × 109 mm |
| 本体重量 | 260 g | 355 g | 230 g | 182 g |
| ポート構成 | 2 (USB-C×1、USB-A×1) | USB-C×2 / USB-A×1 | 出力:USB Type-C×1、USB-A×2/入力:USB Type-C、USB Micro-B | USB Type-C×1、USB Type-A×1 |
| パススルー充電 | 非対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 解説 | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ |
| 購入 | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る |
※記載の価格は目安です。仕様はメーカー側で変更される場合があります。最新の情報は各商品ページでご確認ください。
商品ごとの解説
① Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388
Anker
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388
○ 選ぶ理由
- 厚さ16mmで、4製品では最も薄い
- ケーブルがストラップを兼ねる構成で、別にケーブルを持たなくてよい
△ 購入前に確認
- 容量表記が mAh の1行だけで、基準電圧も Wh も公表がない
- 同じ仕様表の中で「合計最大出力」が22.5Wと15Wの2つを指している
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑厚さ16mmは4製品で最も薄く、ケーブルがストラップを兼ねる構成になっています。バッテリーだけ持ち出してケーブルを忘れる、が起きにくい。目安価格も3千円前後で、今回では下の帯に入ります。
一方で、容量の公表は基準1で見たとおり mAh の1行だけです。4製品で唯一、mAh 以外の手がかりが何も無い。 基準電圧も Wh も無いので、5V換算の計算を始める材料がありません。同社がFAQで約6,000mAhと説明していることを考えると、書けない数字ではなく、載せていない数字です。
公表値どうしの食い違いもあります。同じ製品の重量が、日本の商品ページでは約260g、グローバルのサポートページでは248g。 外寸も「約151 × 71 × 16mm」と「151×71.4×15.9mm」で、丸め方だけでなく桁が違います。この記事では日本の商品ページ側を採りました。
そして本体を満充電にするまでの時間の記載がありません。 入力は最大20Wと書いてあるだけです。購入者からは本体の充電が遅いという報告が複数出ていますが、公表された目安が無いので、遅いかどうかを買う前に見積もることができません。パススルー非対応をご注意欄で明記している点は、書いてあるだけ親切な部類です。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
10000mAh
仕様表の容量欄は「10000mAh」の1行だけで、何Vで数えた mAh なのか(基準電圧)も Wh も書かれていない。4製品で唯一、mAh 以外の手がかりが公表されていない製品になる。同じ「10000mAh」でもエレコムは 3.7V 基準で 37.0Wh、オウルテックは 3.85V 基準で 38.5Wh を公表しており、Wh にすると 1.5Wh の差がつく。この製品はその差があるのかどうかすら読者には確かめようがない。なお自社FAQでは 10,000mAh をセル電圧 約3.7V 基準(10Ah × 3.7V = 37Wh)として説明している。
記載なし
商品ページにもサポートページにも定格容量の欄が無い。Wh も基準電圧も公表されていないため、5V に換算するための計算(Wh ÷ 5V)を読者が自分で始める材料そのものが無い。一方、自社FAQは「10,000mAh のモバイルバッテリーは、ラベル上の定格容量が約6,000mAh と表示されるのが一般的」と説明している。PSE の表示義務で本体ラベルには定格容量が印字されているはずの数字が、商品ページには載っていないことになる。
USBポート 合計最大出力:5V = 3A (最大 15W)
同じ仕様表の中に「合計最大出力:22.5W」と「USBポート 合計最大出力:5V = 3A (最大 15W)」の2行が並んでおり、同じ「合計最大出力」という語が別の数字を指している。さらに同じページのご注意欄が「22.5W出力はHuawei機器のみ対応」「Huawei機器以外はUSB-A Max 18W / USB-C Max 20W」「複数ポート使用時の合計出力はMax 15W」と書く。製品名に入っている 22.5W は単ポートかつ特定メーカー向けの値で、2ポート同時なら 15W。
22.5 W
仕様表の出力欄は USB-C・USB-A とも「5V = 3A / 9V = 2.22A(USB-Aは2A) / 10V = 2.25A(最大 22.5W)」で、22.5W は単ポートの値。ただし同じページのご注意欄が「22.5W出力はHuawei機器のみ対応です」「Huawei機器以外については、USB-AポートはMax 18W出力、USB-CポートはMax 20W出力となります」と打ち消している。日本で普通に使う機器ではこの22.5Wは出ない。さらにグローバルのサポートページは同じ 10V = 2.25A の行に「SCP:」(Huawei の急速充電規格)というラベルを付けているのに、日本の商品ページはラベル無しで書く。何の条件で出る22.5Wなのかが、公式ページどうしで揃っていない。
記載なし
商品ページにもサポートページにも記載が無い。ただし公式FAQには「27,027mAh(100ワットアワー)未満」という基準が書かれている。100Wh ÷ 27.027Ah = 3.70V なので、3.7V 基準で 100Wh を上限に置いた書き方になる。ところが商品ページには Wh も基準電圧も無いので、このFAQを自分の買う製品に当てはめる材料が読者の側に無い。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
本体を満充電にするまでに時間がかかるという報告。PD対応の20W以上の充電器でないと数時間単位になり、付属ケーブルや充電器の組み合わせによってはほとんど進まなかったという声もある
ストラップを兼ねる付属ケーブルの着脱で接触不良が起きる、プラスチックの接続部の耐久性に不安があるという指摘
スマートフォンを1.8回ほどフル充電できたという報告。メーカー表記の10000mAhを機器の電池容量で単純に割った回数とは一致しない
薄い見た目に対して持つと重く感じるという指摘
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 薄さを優先し、ケーブルも一緒に持ち歩きたい人
- スマートフォン1台を出先で継ぎ足す使い方の人
- 残量を数値で見ながら使いたい人
向いていない人
- 2台を同時に急速充電したい人(合計15Wに落ちる)
- 本体を充電しながら機器へ給電したい人(パススルー非対応)
- 実際に取り出せる容量を、買う前に数字で確かめたい人
② CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS
CIO
CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS CIO-MB67W2C1A-SS20000
○ 選ぶ理由
- ポートの組み合わせごとの合計出力を仕様表で公表している
- 77.4Whを約90分で満充電にできると公表している(67W以上の充電器が要る)
△ 購入前に確認
- 商品ページにPSEの記載が1つもない(同じシリーズのリチウムイオン版にはあった)
- 5V換算で取り出せる量の記載がない
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑77.4Wh と単ポート67Wで、4製品では別の階層にいます。 ノートPCの充電まで対応すると書いているのはこれだけで、本体の満充電も約90分。ただし67W以上の充電器が要ると製品特徴に書いてあり、その充電器は付属しません。目安価格も1万1千円前後で、4製品では最も高い。
公表の外寸と Wh から体積あたりの容量を計算すると、CIO が 77.4Wh ÷ 193.4cm³ = 0.400Wh/cm³、オウルテックが0.297Wh/cm³、エレコムが0.247Wh/cm³。同じ体積に入っているエネルギーが4製品で最も多いことが、公表値だけで確かめられます。Anker だけは Wh が無いので、この計算にそもそも参加できません。
同じ割り算を分母だけ重さに替えると、4.59 / 4.73 / 6.22 g/Wh。順位は変わらないのに、開き方が変わります。 体積では2位が1位の0.74どまりなのに、重さでは0.97でほぼ並ぶ。「小さい」の1.35倍が「軽い」では1.03倍になるので、この結論は体積の側にしか効いていません。
弱いのは公表の側です。商品ページに PSE の記載が1つもありません。 しかも、同じ TRIO 67W のリチウムイオン版のページには「安心のPSE認証品」という節があり、後から出たこの半固体版でその節が消えています。 同じシリーズで、新しいほうが書いていない。
定格容量も商品ページにはありません。同じシリーズのリチウムイオン版は公式の取扱説明書に定格電圧と定格容量の欄を持っていましたが、この半固体版の取扱説明書は今回取得できていないので、同じ欄があるかどうかも分かりません。約355gという重さもあり、毎日ポケットに入れる用途には向きません。購入者からも、複数台を同時に充電したときの発熱を気にする声が出ています。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
バッテリー容量:5000mAh / 15.48V / 77.4Wh / バッテリーセル:20000mAh 4ICP7732
容量が2つの欄に分かれている。「バッテリー容量:5000mAh / 15.48V / 77.4Wh」と「バッテリーセル:20000mAh 4ICP7732」。15.48V × 5.000Ah = 77.4Wh で小数点まで一致し、同じ 77.4Wh を 20.000Ah で割ると 3.87V(15.48 ÷ 4)になる。つまり2つの mAh は別々の電池ではなく、同じ電池を別の基準電圧で言い直したもので、製品名に出ているのは 3.87V 基準の 20000mAh のほう。同じシリーズのリチウムイオン版は、この4つの数字を「バッテリー容量」の1欄にまとめて書いていた。欄の切り方は同じシリーズの中でも動いている。
記載なし
商品ページに定格容量の欄が無い。77.4Wh が公表されているので5V換算の理論上限までは計算できるが、実際に取り出せる量として公表された数字は無い。同じシリーズのリチウムイオン版は公式の取扱説明書に定格電圧と定格容量の欄を持っていた。この半固体版の取扱説明書は未取得なので、同じ欄があるのかどうかも公表情報からは分からない。
USB-C1+A:合計67.5W/USB-C2+A:合計15W/USB-C1+(C2+A):合計60W(C1+C2の合計65Wは仕様表になく製品特徴の注記)
4製品で唯一、ポートの組み合わせごとに合計値を公表している。USB-C1+A で合計67.5W、USB-C1+(C2+A) で合計60W、USB-C2+A では合計15W。どのポートに挿すかで 15W と 67.5W が入れ替わる。USB-C1+C2 の合計だけは仕様表に無く、製品特徴の注記に「合計最大65W」とある。単ポート最大は 67W なので、C1+A の合計67.5W はそれを上回る。合計最大出力を1つの数字で書けない構造になっている。
67 W
67W は USB-C 側の値(「USB-C1/C2出力:…20V⎓3.35A(Max 67W)」)。同じ仕様表の USB-A 側は「4.5V⎓5A / 5V⎓3A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A(Max 22.5W)」で、単ポートの最大がポートによって3倍違う。列に出るのは大きいほうだけになる。なお複数ポート時の USB-C1+A の合計は67.5Wで、単ポート最大の67Wを上回る。
記載なし
記載が無い。仕様表に 77.4Wh と書いてあるので、読者が航空会社の区分に当てはめる材料自体はある。ただし 100Wh などの区分そのものには、商品ページのどこでも触れていない。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
複数台を同時に充電したときの発熱を気にする声。発熱で給電が止まった、1か月ほどで使えなくなったという報告もある
数回の使用で充電できなくなった、液晶に何も表示されなくなったという初期不良の報告
67Wで充電するための充電器は別売りで、本体だけを買っても公表どおりの充電時間にはならないという指摘
約355gの重さを、毎日の持ち歩きでは気にするという声
半固体電池が新しい方式なので、長く使えるかは分からないという指摘
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- ノートPCを含めて複数台を持ち歩く人
- 本体の充電時間を短くしたい人
- 重さより出力を優先する人
向いていない人
- 毎日ポケットに入れて持ち歩きたい人
- USB-C2とUSB-Aの組み合わせで使うつもりの人(合計15Wに落ちる)
- 商品ページでPSEの記載を確かめてから買いたい人
③ エレコム 薄型コンパクトモバイルバッテリー DE-C66-10000WH
エレコム
エレコム 薄型コンパクトモバイルバッテリー DE-C66-10000WH
○ 選ぶ理由
- 5Vで取り出せる量を、参考充電回数として数字で公表している
- PSE を仕様表の欄と製品の特長欄の両方に、区分名まで書いている
△ 購入前に確認
- 単ポート使用時の出力が仕様表になく、製品の特長欄にしかない
- 航空機の160Whも参考充電回数も特長欄にあり、仕様表だけ読むと出てこない
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑5V側で取り出せる量に、4製品で唯一「回数」でたどり着ける製品です。 基準2で見たとおり、参考充電回数を掛け算すると 5,700〜5,940mAh。仕様の語ではなく使い方の言葉で書いてあるぶん、買う前に効きます。目安価格は3千円前後。
PSE も4製品で最も厚く書いてあります。 仕様表の「電気用品安全法:○PSE 特定以外の電気用品」と、製品の特長欄の「日本の電気用品安全法(PSE)の技術基準に適合」の両方。区分名まで書いているのはこの製品だけです。
引っかかるのは、その多くが仕様表ではなく製品の特長欄にあることです。参考充電回数も、機内持ち込みの160Whも、パススルー(この製品は「まとめて充電」と呼びます)も、単ポート使用時の出力も、全部が特長欄側にあります。仕様表だけを読むと「37.0Wh のリチウムイオン電池」で終わる。 1台だけつなぐ人がいちばん知りたい単ポートの数字が仕様表の外にあるのは、読み落としやすいところです。
同じページの中で語が揺れている箇所もあります。くり返し使用回数が、仕様表では「500回」、製品の特長欄では「約500回繰り返し使用可能」。 前モデル DE-C38 の仕様表は「約500回」だったので、仕様表側からだけ「約」が取れたことになります。
満充電までは約6時間。37.0Whを6時間で入れるなら平均6.2Wですが、入力は USB Type-C で最大15Wと書かれていて、公表値どうしで2倍以上の開きがあります。この製品は入力が USB Type-C と USB Micro-B の2系統ある(4製品でここだけ)ので、どちらの数字なのかが効くのですが、仕様表の注記は「製品本体のみを充電した場合の目安です」まで。「USB Type-C ポートから」という条件は特長欄にしか書かれていません。
なお、前モデル DE-C38 と比べると公表が増えた製品です。参考充電回数は前モデルの製品仕様書には無く、合計最大出力も「合計3A」の1行から組み合わせごとの3通りに増え、W でも書くようになりました。同じメーカーの新旧で、書く量が増えている。CIO が新しいほうで PSE の節を落としたのと、ちょうど逆向きの動きです。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
電池定格容量:3.7V/10000mAh 37.0Wh
「電池定格容量:3.7V/10000mAh 37.0Wh」と、基準電圧と Wh まで書いてある。3.7V × 10.0Ah = 37.0Wh で公表値どうしが一致するので、この 10000mAh が 3.7V で数えた量だと確かめられる。欄の名前は「電池定格容量」だが、これは内蔵している電池そのものの量で、USB から 5V で取り出せる量ではない。同じ「10000mAh」でも、3.85V 基準で 38.5Wh と書くオウルテックとは Wh で 1.5Wh の差になる。加えてこの製品は、仕様表の外(製品の特長欄)に参考充電回数を書いており、そちらが 5V 側の量を示している。前モデル DE-C38 の製品仕様書には無かった項目。
参考充電回数:1800mAhのスマートフォンを約3.3回、3000mAhのスマートフォンを約1.9回充電可能(製品の特長欄。「定格容量」の語は使っていない)
「定格容量」という語を使わずに、参考充電回数の形で 5V 側の量を公表している。3,000mAh × 1.9回 = 5,700mAh、1,800mAh × 3.3回 = 5,940mAh。仕様表の 37.0Wh から出る 5V 換算の理論上限 7,400mAh に対して 77.0% と 80.3% で、オウルテックが定格出力容量として公表している比率(38.5Wh ÷ 5V = 7,700mAh に対して 5V/6000mAh = 約78%)とほぼ一致する。ただし2つの回数から割り戻すと 240mAh ずれ、条件は「満充電した本製品で電源オフの状態のスマートフォンを充電する際の目安回数」までしか書かれていないため、どちらが実態に近いかは公表値からは決められない。なお、この数字は仕様表にはなく製品の特長欄にしかない。
2ポート同時(C+A):3A(合計最大出力15W)/2ポート同時(A1+A2):2.4A(合計最大出力12W)/3ポート同時:3A(合計最大出力15W)
組み合わせごとに3通りを、電流と合計Wの両方で公表している。USB-A どうしの組み合わせだけ 2.4A(合計最大出力12W)で、他は 3A(合計最大出力15W)。単ポート使用時の出力(USB-A 最大12W / USB Type-C 最大15W)は仕様表になく製品の特長欄にしかないので、1台だけつなぐ人がいちばん知りたい数字が仕様表の外にある。単ポートが 15W なので、2ポート同時でも合計15Wのまま落ちない点は4製品で唯一。
15 W
この15Wは仕様表には無く、製品の特長欄の「USB-Aポートからは最大12W、USB Type-Cポートからは最大15Wで充電できます ※それぞれ単ポート使用時の出力です」から採った。仕様表に載っているのは2ポート/3ポート同時接続時の3通りだけで、1台だけつなぐ人がいちばん知りたい数字が仕様表の外にある。USB-A 側は12Wなので、どのポートに挿すかで3W違う。
機内持ち込み可能/電池容量が160Wh(43,243mAh)以下であるため、機内持ち込みも可能です
この一文は製品の特長欄にあり、仕様表には航空機の記載が無い。160Wh ÷ 43.243Ah = 3.70V で、Anker が公式FAQで使っている換算(100Wh ÷ 27.027Ah = 3.70V)と基準電圧は同じなのに、基準にしている区分が 160Wh と 100Wh で違う。なお前モデル DE-C38 の製品仕様書PDFには、全5ページを通して「航空」「機内」の語が1度も出てこなかった。同じメーカーでも、どこに書くか(あるいは書かないか)が新旧で動いている。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
本体の充電に時間がかかるという指摘。約6時間という公表値どおりでも遅いと感じる、最初は不良品を疑ったという声がある
説明されている回数ほど充電できなかった、満充電後の持ちが期待と違ったという報告。一方で2回フル充電できたという報告もある
付属ケーブル以外に、自分の機器に合うケーブルの用意が要るという指摘。公式の仕様表では付属品は0.1mのUSB Type-C同士のケーブル1本
複数ポートに同時につないだときに出力が下がるという指摘
ケーブルを挿したままにすると残量が減る、本体を充電しながらだと機器が反応しない、充電中かどうかが分かりにくいという報告
USB-A から Type-C のケーブルでは本体を充電できなかったという報告
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 5Vで実際に取り出せる量を、買う前に数字で確かめたい人
- 3台まで同時につなぐことがある人
- PSEの区分表示と安全規格を仕様表で確かめたい人
向いていない人
- 本体の充電を短時間で終わらせたい人
- USB PD で急速充電したい人(急速充電規格の記載がない)
- ノートPCを充電したい人
④ オウルテック 準固体電池採用 デジタル表示搭載 OEC-LPB10024-BK
オウルテック
オウルテック 準固体電池採用 デジタル表示搭載 モバイルバッテリー OEC-LPB10024-BK
○ 選ぶ理由
- 5V で取り出せる量を出力電圧ごとに公表している、4製品で唯一の製品
- 約182gで4製品では最も軽い
△ 購入前に確認
- 製品名は「準固体電池採用」だが、仕様表の内蔵バッテリー欄は「リチウムイオン電池」
- 販路限定版のページはパッケージ寸法と重量がプレースホルダのまま公開されている
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑5V で取り出せる量を、仕様の語のまま仕様表に書いている製品です。 しかも5電圧ぶん。メーカー表記の10000mAhとの差が、メーカー自身の数字で見える。約182gで4製品では最も軽く、満充電までの時間も「約1時間40分(PD30W充電時)」と条件つきで書いてあります。目安価格は5千円前後。
ただ、その公表にも段差があります。同じ製品が、販路によって説明の量が違う。 一般流通版のページには「※10000mAhのバッテリーを内蔵し、5V出力時6000mAhの出力が可能です」という注記が付きますが、Amazon で扱われている販路限定版のページでは、数字は1つも変わらないまま、この一文だけが落ちています。 6000mAhという数字が何を意味するのかを日本語で言い切った部分が、実際に売られている側から消えている形です。
表記の割れもあります。製品名は「準固体電池採用」なのに、仕様表の内蔵バッテリー欄は「リチウムイオン電池」。 製品ページ・販路限定版ページ・ニュースリリース・取扱説明書PDFの4つの公式ソースすべてが同じ書き方なので、1ページの誤記ではなく社としての表記の切り方です。取扱説明書のほうには「準固体電池とは?」という説明欄が別にあります。
パススルーは対応と書かれていますが、本体を充電しながらの給電は最大7.5W。加えて取扱説明書には「Type-Cポートの入力と出力は兼用です。同時には使用できません」という、商品ページに無い一行があります。パススルー中に使えるのは Type-A 側だけ、と読める書き方です。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
内蔵バッテリー:リチウムイオン電池/3.85V 10000mAh(38.5Wh)
「3.85V 10000mAh(38.5Wh)」で、3.85V × 10.0Ah = 38.5Wh と公表値どうしが一致する。エレコムと同じ「10000mAh」でも、こちらは 3.7V ではなく 3.85V で数えているので Wh は 1.5Wh 大きい。mAh だけを見比べると同じに見えて、電池に入っているエネルギーは同じではない。加えてこの製品には、メーカー表記とは別に「定格出力容量」という欄があり、そちらに5V で取り出せる量が書いてある。
定格電圧/定格容量:5V/6000mAh、9V/3300mAh、12V/2450mAh、15V/1960mAh、20V/1475mAh
4製品で唯一、出力電圧ごとに取り出せる量を公表している。Wh に直すと 5V/6000mAh=30.0Wh、9V/3300mAh=29.7Wh、12V/2450mAh=29.4Wh、15V/1960mAh=29.4Wh、20V/1475mAh=29.5Wh で、どの電圧でも 29.4〜30.0Wh に収まる。電圧が上がっても取り出せるエネルギーはほぼ変わらず、mAh の数字だけが変わることが読み取れる。5V の 6000mAh はメーカー表記の 38.5Wh に対して 77.9%。なお同じ製品の一般流通版(OWL- で始まる型番)のページには「※10000mAhのバッテリーを内蔵し、5V出力時6000mAhの出力が可能です」という注記が付くが、Amazon で扱われている販路限定版(OEC-)のページでは数字は同じままこの一文だけが無い。
USB Type-C+Type-A:5V/3A(合計最大出力)
仕様表の出力欄は「USB Type-C+Type-A:5V/3A(合計最大出力)」で、W では書いていない。掛けると 15W で、製品特徴のほうには「2ポート同時使用時は合計最大5V/3A(15W)」と W でも書いてある。単ポートの最大 30W とは別の数字で、2台つないだ時点で半分になる。さらに、本体を充電しながら給電するパススルー時は最大7.5W という注記が別にある。
30 W
30W は仕様表の出力欄「USB Type-C:…20V/1.5A」(20V × 1.5A = 30W)と、製品特徴の「USB PD に対応し、最大30Wで急速充電が可能」が一致する。同じ仕様表の USB Type-A 側は最上段が 12V/1.5A(18W)で、ポートによって単ポート最大が違う。またこの30Wは1台だけつないだときの値で、2ポート同時では合計15Wに落ちる。
多くの航空会社の機内持ち込み手荷物の規定を満たしております
数値を出さずに「多くの航空会社の…規定を満たしております」と言い切る書き方。38.5Wh は仕様表に書いてあるが、その数字と航空機の記述が結びついていない。読者は自分で区分に当てはめることになる。なお「※航空会社により機内持ち込み手荷物の規定が異なりますので、事前に各航空会社へお問い合わせください」という注記が続く。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
特定の機種で充電が始まらない、接続が途中で途切れる、機器に認識されなくなるという相性の指摘
低温の環境でPD出力が繰り返しリセットされたという報告
保証期間の記載が1年と1.5年で統一されていないという指摘。公式の仕様表では1.5年間
外装がプラスチックで、中央を押すと少したわむという指摘
スマートフォンを2〜3回充電できたという報告
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 実際に取り出せる量を、買う前に数字で確かめたい人
- 毎日持ち歩くので重さを最優先したい人
- PD30Wの充電器を持っていて、本体を短時間で充電し直したい人
向いていない人
- 2台を同時に急速充電したい人(合計15Wに落ちる)
- 本体を充電しながらType-Cで給電したい人
- ノートPCを充電したい人
セル種別・PSE・航空機は、「どこに書くか」で割れる
容量以外にも、公表の場所がきれいに割れた項目が3つありました。どれも書いてあるかどうかより、ページのどこに書いてあるかで分かれます。
電池の種類は、比較表では1語ずつ埋まりますが、その1語の出どころが製品ごとに違います。Anker は仕様表に欄そのものが無く、ページ全体に「リチウム」の語も出てきません。CIO も仕様表に欄が無く、半固体だと分かるのは製品特徴の説明だけ。オウルテックは製品名「準固体電池採用」と仕様表「リチウムイオン電池」が割れています。4製品で唯一、電池の種類が独立した欄にあって、製品名とも食い違っていないのがエレコムでした。
PSE の記載は、エレコムが仕様表の欄(「○PSE 特定以外の電気用品」)と特長欄の両方に持ち、区分名まで書いています。オウルテックは仕様表に「PSE適合製品」の欄。Anker と CIO はページ全体に PSE の語が出てきません。繰り返しますが、記載が無いことは非適合を意味しません。 書いてあるかどうかは、買う前に自分で確かめられるかどうかの違いです。安全規格の番号(JIS C8711 / JIS C8712)まで出しているのは、4製品でエレコムだけでした。
同じ電池でも、AC100Vを出せる大きさになると枠そのものが変わります。ポータブル電源5製品でPSEに触れているのは1社だけで、しかも書いてあるのは「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」でした。こちらは「どこに書いてあるか」で割れましたが、あちらは「そもそも対象なのか」から割れます。
航空機の持ち込みは、4社が4通りに分かれます。Anker は公式FAQでだけ100Wh区分に触れ、エレコムは製品の特長欄で160Wh区分に触れ、オウルテックは数値を出さずに「多くの航空会社の規定を満たしております」と書き、CIO は言及そのものがありません。Anker とエレコムはどちらも3.7V基準で換算しているのに、基準にしている区分が違う(100Wh ÷ 27.027Ah も、160Wh ÷ 43.243Ah も 3.70V)。
100Whと160Whは航空規則の中で意味の違う区分です。どちらを見るべきかはこの記事では決めません。 ここで確かめられるのは、同じ規則について4社が別の言い方をしている、という事実までです。そしてWh を書いていない製品では、読者が自分で mAh × 基準電圧を計算するしかないのに、その基準電圧も書かれていない。 基準1の段差が、そのままここに効いてきます。
その計算を実際にやったのが機内持ち込みのWhを公表値から出すです。100Wh の境界を mAh の側に翻訳すると、基準電圧の置き方で 27,778mAh から 25,840mAh まで 1,938mAh 動きます。 上に挙げた Anker の 27.027Ah とエレコムの 43.243Ah は、どちらもその 3.70V の行にそのまま乗ります。
レビューで多かった不満と、その対処
製品をまたいで共通していた指摘が4つありました。
1. 公表されている数字から思い描いた回数と、実際の回数が合わない
スマートフォンを1.8回ほど充電できた、2回できた、2〜3回できた、という報告が製品をまたいで出ています。エレコムでは、2回フル充電できたという報告と、説明されている回数ほど充電できなかったという報告が両方ありました。いずれも購入者の報告であって、この記事で測ったものではありません。
対処:5V換算で見積もる。 公表されていればその数字を、Wh があれば Wh ÷ 5V を上限として見る。エレコムの参考充電回数には「電源オフの状態のスマートフォンを充電する際の目安」という条件が付いています。充電しながら画面を見ていれば、そのぶん回数は減ります。 条件まで読んだうえで見積もるのが、いちばん外れにくい。なお、報告されている1.8回・2回・2〜3回で取り出せる量を割り戻すと、3製品とも2,000〜3,400mAhの帯に収まります。公表と報告が食い違っているというより、割る側に置いた機種の容量が違うと読めます。
2. 本体の充電に時間がかかる
Anker とエレコムで挙がっています。ここは公表の条件と直結していて、CIO は約90分(67W以上の充電器が要る)、オウルテックは約1時間40分(PD30W充電時)と条件が書いてあるのに対し、エレコムの約6時間はどのポートから充電したときの数字かが仕様表に無く、Anker は数字自体がありません。
対処:手持ちの充電器の W 数を先に確認する。 公表されている充電時間は充電器の条件込みの数字です。条件が書かれていない製品では、その数字が何を前提にしているかも分かりません。Wh を満充電時間で割った平均入力を公表の入力Wと比べると、CIO とオウルテックはどちらも77.0%に着き、エレコムだけが41.1%(Micro-B の10Wを分母にすれば61.7%)でした。手持ちの充電器が公表の入力Wに届かないと何時間になるかは、充電時間を入力Wで割り直した記事で割り戻しています。
3. 2台以上つないだときに、出力が落ちる/発熱する
Anker とエレコムでは複数ポート同時使用時の出力制限が挙がり、CIO では複数台を同時に充電したときの発熱が挙がっています。CIO には発熱で給電が止まった、1か月ほどで使えなくなったという報告もあり、届いてから気づくと取り返しがつかない部類なので重く見ています。
対処:基準3の表を見て、自分がよく使う組み合わせの合計Wを先に確かめる。 そのうえで、充電中に不自然に熱くならないか、本体が膨らんでいないかを月に一度は見てください。平らな面に置いてぐらつけば分かります。異常があれば使用をやめて、購入店やメーカーの案内に従ってください。
4. 機器やケーブルとの相性で、充電が始まらない・途切れる
オウルテックで繰り返し挙がっていました。特定の機種で充電できない、接続が途切れる、認識されなくなる、という内容です。低温環境でPD出力がリセットされたという報告もありました。エレコムでも、USB-A から Type-C のケーブルでは本体を充電できなかった、本体を充電しながらだと機器が反応しないことがある、という報告が出ています。
対処:届いたら返品期間のうちに、充電したい機器を全部つないでみる。 付属ケーブルにも注意が要ります。エレコムの付属品は0.1mの USB Type-C 同士のケーブル1本で、購入者からは「別のケーブルが要る」という指摘が繰り返し出ていました。相性は公表値からは読み取れません。この記事でも書けませんでした。
状況別のおすすめ
| こういう人 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 取り出せる量を数字で確かめてから買いたい | ③ エレコム または ④ オウルテック | 参考充電回数(約1.9回)と定格出力容量(5V/6000mAh)。書き方は違うが同じところに着く |
| とにかく軽くしたい | ④ オウルテック | 約182gで4製品では最軽量。ただし1Whあたりでは4.73gで、②の4.59gより3%重い |
| 鞄の隙間に入る薄さがほしい | ① Anker | 厚さ16mmで4製品では最も薄い |
| ノートPCも充電したい | ② CIO | 単ポート67W。他の3製品は30W以下 |
| 3台つなぐことがある | ③ エレコム | 出力3ポート。3ポート同時でも合計15Wを保つ |
| 本体を短時間で充電し直したい | ② CIO または ④ オウルテック | 約90分(67W以上の充電器が要る)/約1時間40分(PD30W時) |
| PSE の区分表示を仕様表で確かめたい | ③ エレコム | 区分名と安全規格の番号まで書いてある唯一の製品 |
| 2台を同時に急速充電したい | ② CIO のみ | ①③④は2ポート同時で合計12〜15W。②もC2+Aの組み合わせでは15W |
| 費用を抑えたい | ① Anker または ③ エレコム | 目安価格が同じ帯に収まる |
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W, 2 Ports) A1388
CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS CIO-MB67W2C1A-SS20000
エレコム 薄型コンパクトモバイルバッテリー DE-C66-10000WH
オウルテック 準固体電池採用 デジタル表示搭載 モバイルバッテリー OEC-LPB10024-BK
買ったあと、最初にやること
順番にやってください。
- 本体ラベルの定格容量(mAh)を読む — PSE の表示の関係で、本体には定格容量が印字されているのが通常です。商品ページで見えなかった数字が、ここで初めて見えます。 買う前に確かめられないことが問題であって、届けば読めます
- 手持ちの充電器の W 数を確認する — 公表されている満充電時間は充電器の条件込みです。67W以上、PD30Wといった条件が付いている製品は、その充電器が無ければ公表どおりにはなりません
- 2台つないだときの挙動を見る — 合計15Wに落ちる製品では、2台目を挿した瞬間から遅くなります。急ぐときは1台だけにする、という運用が要ります
- 充電したい機器を全部つないでみる — 相性の報告が出ています。返品や交換を申し出られる期間のうちにやってください
- 手持ちのケーブルで足りるか確かめる — 付属ケーブルは製品によって長さも端子も違います。0.1mのケーブル1本だけ、という製品もあります
- Wh を控えておく — 航空機に持ち込むなら、公表されている Wh をメモしておく。公表が無い製品では本体ラベルの表示を見る。同じ1台に Wh が2つ並んでいることもあります(④は内蔵バッテリーの 38.5Wh と、定格出力容量 5V/6000mAh から出る 30.0Wh で 8.5Wh 違う)。どちらをどう読むかは同じ1台にある2つのWhの見分け方に並べました。区分は利用する航空会社の規定を確認してください
- パススルーの可否と条件を確かめる — 対応していても出力が大きく下がる製品があり、非対応と明記している製品もあります。呼び方も「パススルー充電」「まとめて充電」と揃っていないので、商品ページでは言葉を変えて探してください。探す場所も割れていて、仕様表に欄があるのは4製品で0、製品特徴・特長欄が3、ご注意欄が1、残る1つは取扱説明書にしか無い制約でした(記載がどこにあるかを4層に分けた)
- 月に一度、膨らみと発熱を見る — 平らな面に置いてぐらつかないか。充電中に不自然に熱くならないか。異常があれば使用をやめる
- 保証期間を控えておく — ①は18ヶ月(会員登録でさらに6ヶ月)、③は1年間、④は1.5年間。②は今回集めた仕様表には記載がありませんでした
同じ「10000mAh」でも、買う前にたどり着ける情報の深さは製品によってまったく違いました。5V で何 mAh 取り出せるのかにたどり着けるのは、4製品のうち2つだけです。 しかもその2つは、片方が充電回数、もう片方が定格容量と、まったく別の言葉で書いている。数字が大きいかどうかより、その数字が何を数えたものかが書いてあるかどうか。今回4製品を並べて、いちばん効いたのはそこでした。