HOW TO CHOOSE

モバイルバッテリー

モバイルバッテリーのWh|機内持ち込みの前に、同じ1台にある2つのWhを見分ける

mono-buzz 編集部

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この記事で分かること

公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。

モバイルバッテリー4製品の公表値から、Whが書かれていないときのmAh換算と、同じ1台に並ぶ2つのWhの差を計算した。飛行機に持ち込む前に自分の製品のWhを出したい人に向けて、基準電圧の違いで区分の境界が何mAh動くかまで並べ直した。

THE REASON BEHIND THE CHOICE

公表資料から、疑問を読み解く。

公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。

4製品の内蔵バッテリーのWhと、5Vで取り出せる側のWhを2本ずつ並べた棒グラフ。エレコムは37.0Whと28.5Wh、オウルテックは38.5Whと30.0Whでどちらも差が8.5Wh、CIOは77.4Whの1本だけで5V側は記載なし、Ankerは両方とも記載がなく計算そのものができない
目次

出発の前夜、鞄に入れるモバイルバッテリーを手に取る。航空会社の案内には「100Wh以下」「160Wh未満」と Wh で書いてある。ところが手元の製品に印刷されているのは 10000mAh で、Wh はどこにも見当たらない。単位が違うので、そのままでは比べようがありません。

Wh が書かれていない製品の Wh は、mAh に基準電圧を掛ければ出ます。 掛ける電圧が分かっていれば、の話です。そして Wh が書いてある製品では、今度は別の問題が出てきます。同じ1台に Wh が2つ載っていることがある。

ここで並べるのは、2026年9月時点のメーカー公表値と、その公表値どうしの計算だけです。どの数字で判定されるかは、この記事では決めません。

同じ1台に、Wh が2つある

4製品の公表値から Wh を抜き出すと、こうなります。

製品内蔵バッテリーの Wh5V に直した側の Wh差
Anker A1388記載なし記載なし計算できない
CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS77.4Wh記載なし計算できない
エレコム DE-C66-10000WH37.0Wh28.5Wh8.5Wh
オウルテック OEC-LPB10024-BK38.5Wh30.0Wh8.5Wh

右の2列は、どちらもメーカーが自分で書いた数字です。

オウルテックは仕様表に「内蔵バッテリー:3.85V 10000mAh(38.5Wh)」と「定格出力容量:5V/6000mAh」の両方を持っています。後者を Wh に直すと 5V × 6.0Ah = 30.0Wh。同じ製品の仕様表の中に、38.5Wh と 30.0Wh が並んでいることになります。

エレコムは「電池定格容量:3.7V/10000mAh 37.0Wh」を仕様表に、「3000mAhのスマートフォンを約1.9回充電可能」を製品の特長欄に書いています。後者を掛け算すると 5,700mAh、5V で直すと 28.5Wh。こちらも同じページの中に 37.0Wh と 28.5Wh がある。

差はどちらも 8.5Wh になります。ただし、この一致をそのまま結論にはできません。 エレコムの特長欄にはもう1つの書き方があり、「1800mAhのスマートフォンを約3.3回」を採ると 5,940mAh、Wh に直すと 29.7Wh で、差は 7.3Wh になります。どちらの回数が実態に近いかは公表されている条件からは決められないので、8.5Wh で揃うのは片方を採ったときだけです。

なお、この2つの Wh を比率で見た並べ直し(どちらも8割弱に着く)は、4製品の容量表記を段で並べた比較記事ですでにやっています。ここで差を Wh のまま出しているのは、航空機の区分が比率ではなく Wh の絶対値で書かれているからです。同じ数字でも、区分の話に持っていくなら差のほうが直接効きます。

残る2製品は、この列が埋まりません。CIO は 77.4Wh を書いていますが、5V に直した側の数字が商品ページにありません。Anker は Wh そのものが1つも無い。2つあるどころか、0個です。 この記載なしは Wh の列だけの話ではありません。満充電時間も公表されていないので、Wh ÷ 時間で平均入力Wを出す割り算も4製品でこの1点だけ成り立たず、下に出す36.0〜38.5Wh の幅がそのまま時間の推計の幅として乗ります(充電時間を入力Wで割り直した記事)。

Wh が書かれていないとき、mAh に何を掛けるのか

Anker A1388 の容量欄は「10000mAh」の1行だけです。基準電圧が書かれていないので、掛ける数字は読者が仮に置くしかありません。ほかの3製品のページに出てくる値と、それより少し低い値を置いてみます。

  • 3.6V と置けば 36.0Wh — この値は今回の4製品には出てきません。仮に置いたものです
  • 3.7V と置けば 37.0Wh — エレコムの容量欄と、Anker 自身の公式FAQが使っている値
  • 3.85V と置けば 38.5Wh — オウルテックの内蔵バッテリー欄の値

幅は 2.5Wh。 どれを置いても 100Wh を大きく下回るので、この製品ではどの仮定でも結論は変わりません。ただし「答えは同じでも、答えの出し方は決められない」状態ではあります。

割れているのは Wh の欄だけではありません。この製品は公表重量も商品ページの約260gとサポートページの248gで12g違います。しかも Wh が無いので、その12gが1Whあたり何gにあたるのかも出せません。

逆向きのずれもあります。CIO の製品名にある 20000mAh を、上の 3.7V で換算すると 20.0Ah × 3.7V = 74.0Wh。ところがメーカー公表は 77.4Wh です。読者が自分で換算すると 3.4Wh 低く出る。

理由は換算の間違いではありません。この製品の「20000mAh」は、比較記事で割り戻したとおり 15.48V ÷ 4 = 3.87V で数えた mAh だからです。掛ける電圧が違えば、同じ mAh から違う Wh が出ます。

区分を mAh に翻訳すると、境界は1,938mAh動く

では、電圧の置き方で境界そのものがどれだけ動くのか。100Wh と 160Wh を mAh の側に翻訳します。

基準電圧100Wh の境界160Wh の境界この電圧の出どころ
3.60V27,778mAh44,444mAh4製品には出てこない。仮に置いた値
3.70V27,027mAh43,243mAhAnker 公式FAQ/エレコム 特長欄
3.85V25,974mAh41,558mAhオウルテック 内蔵バッテリー欄
3.87V25,840mAh41,344mAhCIO の 15.48V ÷ 4

100Wh の境界は 27,778mAh から 25,840mAh まで、1,938mAh 動きます。 160Wh のほうは 44,444mAh から 41,344mAh で 3,100mAh。仮に置いた 3.6V を外して、メーカーのページに実際に出てくる 3.70V と 3.85V だけで比べても、160Wh の境界は 43,243mAh と 41,558mAh で 1,685mAh ずれます。

太字にした行は、こちらが計算した値ではありません。Anker が公式FAQに書いている「27,027mAh(100 watt-hours)」と、エレコムが特長欄に書いている「160Wh(43,243mAh)」が、そのままこの行に乗ります。 メーカー2社が、別々の区分について、同じ 3.7V で換算していたことになります。

そしてどちらも、メーカー表記の mAh に 3.7V を掛けた数字です。同じ1台にある2つの Wh のうち、大きいほう(内蔵側)で区分を書いている、と読めます。書き方からそう読めるところまでで、両社がそう決めていると断定はできません。

ただし、この4製品では境界が動いても結論は変わらない

正直に書いておきます。上の 1,938mAh が効くのは、25,000〜28,000mAh の帯に入っている製品だけです。今回の4製品は 10000mAh が3つと 20000mAh が1つ。どれもその帯に入りません。電圧をどれに置いても 100Wh を超えないので、境界が動いても4製品の結論は1つも変わりません。

効いているのは境界そのものではなく、Wh を書いていない製品では読者が自分で換算するしかないのに、その換算に幅があるという事実のほうです。CIO の 74.0Wh と 77.4Wh のずれも量としては 3.4Wh でしかありませんが、自分の計算とメーカーの計算が合わない、という形で先に表に出ます。

購入者レビューは、この話にほとんど触れていない

今回集めたレビューの範囲では、飛行機で止められた、あるいは問題なく持ち込めたという具体的な報告は見当たりませんでした。 4製品のどれについてもです。

エレコムの高評価には、機内に持ち込める仕様である、海外旅行にも使える、という趣旨の声が出ています。ただしこれは、特長欄の「160Wh(43,243mAh)以下であるため、機内持ち込みも可能です」という一文をなぞった内容とみられます。確かめた結果ではなく、書いてあることを読んだ、という水準です。

つまり持ち込みの可否は、レビューからは埋まりません。 材料は公表値と自分の換算しかない。だからこそ、Wh と基準電圧を書くかどうかがそのまま効いてきます。

では、何を見ればいいのか

自分の製品で Wh を出すなら、この順に見ていくと、たいていどこかに着きます。

  • Wh が書いてあるなら、換算しない — CIO の 77.4Wh のように、自分で掛けると違う値が出ることがあります
  • Wh が無く基準電圧だけあるなら、mAh × 電圧 ÷ 1000 — 「3.7V/10000mAh」と書いてあれば 37.0Wh
  • どちらも無いなら、幅つきで見積もる — 10000mAh なら 36.0〜38.5Wh。1つに決まらないことを承知で、上のほうの値を採っておく
  • Wh が2つ出てきたら、欄名で見分ける — 「内蔵バッテリー」「電池定格容量」は内蔵側、「定格出力容量」「参考充電回数」は 5V に直した側で、後者のほうが小さい。どちらかが間違っているわけではありません。 5V側は持ち込みの判断には使いませんが、5Vで割り戻せば 30.0Wh は 6,000mAh、28.5Wh は 5,700mAh に戻ります。そこから先は自分の機種の容量で割る話になります
  • 本体のラベルを読む — PSE の表示の関係で定格容量が印字されているのが通常です。買う前には見えませんが、届けば読めます

買う前と、乗る前にやること

  1. Wh を仕様表だけで探して終わらせない — エレコムは航空機の一文も参考充電回数も特長欄にあります。仕様表だけを読むと 37.0Wh で止まります
  2. Wh が2つ出てきたら、両方を控える — 今回の2製品では、内蔵側と 5V 側が 7.3〜8.5Wh 離れていました
  3. 利用する航空会社の規定を確認する — 区分も、どの数字を見るかも、決めるのはそこです。数値を出さずに「多くの航空会社の規定を満たしております」とだけ書く製品もあり、その一文では自分の便に当てはまるかを確かめられません
  4. 買う前なら、自分が選ぼうとしている製品がどの段にいるかを見る — 4製品のメーカー表記の容量を書いてある量の順に並べた比較記事に、mAh の1行だけの製品から定格出力容量まで書く製品までを並べてあります

まとめ

Wh を書いていない製品では、読者が mAh に電圧を掛けるしかありません。その電圧が、4製品の公表値だけでも 3.70V・3.85V・3.87V に散っていて、1つは公表そのものがない。 書いてある製品には、今度は Wh が2つある。内蔵側と、5V に直した側で、今回の2製品では 7.3〜8.5Wh 離れていました。

数字が大きいか小さいかより、その Wh がどちらの Wh なのか。 4製品を並べて、いちばん効いたのはそこでした。

次のステップ

条件が分かったら、製品を比較。

各製品の対応条件と注意点を確認して、候補を絞りましょう。

モバイルバッテリーの比較を見る →

読み終えたあとに

  • 手元の1台のWhは出せたものの、これから買う製品を選ぶ段になると、どの製品がどこまで数字を書いているのかが分からない。

    モバイルバッテリー4製品の比較

    Whや基準電圧をどこまで書くかは4製品で4段に分かれていて、その段差がそのまま換算のしやすさになります。

    4製品の容量表記を、書いてある量の順に並べてあります。

  • 同じ機内持ち込みでも、スーツケースのほうは測った3辺をメーカーのどの公表値と比べればいいのかで止まることがある。

    スーツケースの3辺の測り方

    寸法欄の呼び方は6通りに割れていて、同じ1台が2つも3つも3辺合計を持つことがあります。

    測った3辺をどの公表値と突き合わせるかを整理しています。

どちらも手元の公表値だけで確かめられる範囲の話です。この時点で何かを決めきらなくても構いません。

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運営者

mono-buzz 編集部

メーカーの公開仕様と購入者レビューを読み込み、各社で書き方の揃わない数字を同じ条件に並べ直しています。実機は持たないため、使用感はレビューに共通する指摘として扱い、価格は目安を示し、最新の金額は販売先で確認していただく形にしています。