BUYING GUIDE / 5 PRODUCTS
ポータブル電源 5製品比較【ポータブル電源比較】1000Wh級5製品|「4000回」は残存70%と80%で割れる
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
ポータブル電源5製品を、サイクル寿命の残存基準と停電時の切替の呼び名で比較。10年使えるのかを買う前に確かめたい人に向けて、4製品が名乗る4000回が残存70%と80%に割れ、その基準を仕様表に書いた社が1つも無いことを、メーカー公表値の突き合わせから読み解いた。
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あなたが重視するのは?
用途から気になる候補へ。対応条件と注意点は、各製品の解説で確認してください。掲載順は順位ではありません。
- 011000Wh級で本体を最も軽くしたい人(約10.8kg)Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000D
- 02停電に備えて、使ったあと短時間で充電し直したい人Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763
- 03後から容量を増やす可能性がある人Anker Solix C1000 Portable Power Station A1761
- 04買う前に取扱説明書PDFまで読む人EcoFlow DELTA 3 Plus EF-DL-H10-4
- 05使える時間を、変換効率込みの数字で見積もりたい人PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh PA100
SIDE BY SIDE
気になる2製品を、並べて比較。
製品を選ぶと比較内容が切り替わります。
Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000DとAnker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763を比較しています
| Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000D | Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763 |
|---|---|
| こんな人の候補 | |
| 1000Wh級で本体を最も軽くしたい人(約10.8kg) | 停電に備えて、使ったあと短時間で充電し直したい人 |
| 目安価格 | |
| 12万円前後(2026-09-06確認) | 13万円前後(2026-09-06確認) |
| サイクル寿命 | |
| サイクル数 4,000回 | 電池 4,000回 |
| 切替機能の呼び名 | |
| UPS | 非常用電源 |
| つないでよい機器 | |
| データサーバ・ワークステーションは不可(取扱説明書) | データサーバ・医療機器は不可/パソコン・冷蔵庫は可 |
| 購入前に確認 | |
| サイクル寿命の基準だけが残存70%で、他4製品の80%と同じ土俵にない | 定格出力が公式3ソースで1550W・1500W・単ポート1500W/合計1550Wに割れる |
| 仕様確認日 | |
| 2026-09-06 | 2026-09-06 |
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。公表値の条件はメーカーごとに異なるため、数字の大小だけで優劣は決められません。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
選び方の根拠を、詳しく。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
- この記事が向いていない人
- 選ぶときに見るべき基準は3つ
- 基準1:「4000回」が4つ並ぶのに、基準は70%と80%に割れている
- 基準2:切替の数字は2つしかないのに、書き方は5通り・呼び名は3通り
- 基準3:「定格1500W」が指しているものが、製品ごとに違う
- 満充電までの時間は、どちらのモードを表に載せるかで倍違う
- 容量の単位は、モバイルバッテリーと向きが逆になる
- PSE は、同じ電池でも枠が変わる
- 比較表
- 商品ごとの解説
- ① Jackery ポータブル電源 1000 New(JE-1000D)
- ② Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station(A1763)
- ③ Anker Solix C1000 Portable Power Station(A1761)
- ④ EcoFlow DELTA 3 Plus(EF-DL-H10-4)
- ⑤ PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh(PA100)
- レビューで多かった不満と、その対処
- 状況別のおすすめ
- 買ったあと、最初にやること
深夜に停電した。冷蔵庫が止まって、Wi-Fiのランプが消える。机の上のPCは、保存していない書きかけごと落ちている。
翌日ポータブル電源を検索すると、1000Wh級の製品が並びます。「4000回の充放電サイクル」「10ミリ秒で自動切り替え」「定格1500W」。数字は揃って見える。
揃っているのは見た目だけです。5製品のうち4つが「4000回」を名乗るのに、その回数がどこまで劣化した時点のものかは、残存70%と残存80%に分かれます。 そしてその基準を、買う前に見る仕様表に書いている社は5製品で1つもありません。
容量からしてそうです。「1000Wh級」と一括りにされる棚に並んでいるのは 1024Wh・1056Wh・1070Wh で、そもそも同じ数字ではない。
ここでは5製品を、2026年9月時点のメーカー公表値で並べ直します。
この記事が向いていない人
先に外しておきます。
- 持ち歩きたい人 — 5製品はどれも約10.8〜12.9kgあります。鞄に入れて出かける道具ではありません。モバイルバッテリー4製品を並べた記事のほうが近いはずです
- 飛行機に持ち込みたい人 — 1000Wh級は、航空会社が使う100Whと160Whの区分から桁で外れています。5製品とも航空機の持ち込みには一切触れていません。 触れる意味がない側にいるからです
- サーバーや医療機器の停電対策を探している人 — 5製品のうち4つが、自社の文章でその用途を断っています(基準2で並べます)
- 実測の稼働時間を知りたい人 — 実機は持たず、メーカー公表値と購入者レビューだけで書いています。測った数字は1つも出てきません
- 家じゅうの電気を賄いたい人 — 1000Whは、600Wの家電なら1.7時間ぶんの計算です(PowerArQ が出している変換効率85%を掛ければ約1.4時間)。冷蔵庫や照明を数時間つなぐための容量帯で、家全体を長時間動かす規模ではありません。Jackery の目安を割り戻した比(520Wで83%、850Wで79%)を掛けても約1.3〜1.4時間になります(各社の使用時間の目安をWhに戻して割り戻した記事)
- 買ってすぐ満充電で使い始めたい人 — 最短でも約54分、遅い側は1.7時間かかります。到着時の残量が低かったという報告も出ています
選ぶときに見るべき基準は3つ
基準1:「4000回」が4つ並ぶのに、基準は70%と80%に割れている
ここが今回いちばん伝えたい部分です。5製品の公表値を、メーカー表記のまま並べます。
- Jackery 1000 New「サイクル数 4,000回」 — 基準は残存70%
- Anker Solix C1000 Gen 2「寿命 電池 4,000回」 — 基準は残存80%
- Anker Solix C1000(旧)「寿命 電池 3,000回」 — 基準は残存80%
- EcoFlow DELTA 3 Plus「バッテリー寿命 4000回以上」 — 基準は残存80%
- PowerArQ S10 Pro「充放電サイクル 約4,000回」 — 基準は残存80%
サイクル寿命の回数は、「初期容量の何%まで落ちたら寿命と数えるか」を決めないと出てきません。70%まで許容すれば、同じ電池でも回数は伸びる。だから残存70%の4000回と残存80%の4000回は、同じ土俵にありません。
しかも、それぞれ公表していないほうの数字は出てきません。Jackery は80%到達での回数を書いておらず、他の3社は70%到達での回数を書いていない。どちらが長く持つかは、公表値からは決められません。 分かるのは、並べて比べられないということまでです。
もうひとつ、回数を年数に言い換えるところでも引っかかります。5製品のうち4つが「1日1回使っても約10年」と書いていますが、1日1回なら10年は3,650回です。Anker Solix C1000(旧)は3,000回で「約10年」と書いています。 3,000 ÷ 365 は約8.2年。同じ社が4,000回の新世代を「約10年以上」と書いているので、10年という言い方のほうが先にあって、回数が後から入れ替わったようにも読めます。 ただしそう書かれているわけではないので、ここで言えるのは割り戻すと合わないということまでです。
その年数を保証年数と突き合わせると、もう1段はっきりします。1日1回で年に直せば4,000回は約11.0年ですが、条件なしで始まる保証は5製品で1年6ヶ月から5年まで開いていて、いちばん長い5年でも1,825回、4,000回の約46%までしか届きません(寿命と保証を年に直して並べ直した記事)。
そして、その基準がどこに書いてあるか。
- どの製品も、仕様表・比較表の行には回数しか入っていません。 5製品で0です
- Jackery — 商品ページ本文の※注記と FAQ。「4000回使用後も工場出荷時の70%を電池残量を維持します」(原文ママ。日本語が崩れています)。取扱説明書PDFの「主な仕様」には、サイクル寿命の行そのものがありません
- Anker(2製品) — 本文の※注記「電池容量が初期容量の80%まで劣化するまでのサイクル回数」。取扱説明書PDFには「サイクル」の語が1件も出てきません
- EcoFlow — FAQ と、取扱説明書PDFの技術仕様表。「サイクル寿命|4000 サイクル後も80%以上の容量」と、回数と基準が1行に収まっています
- PowerArQ — FAQ の回答文「充電サイクル約4,000回(容量80%維持の目安)」。仕様表は15行ありますが、そのどこにもありません
回数と基準が仕様表の1行に収まっているのは、5製品で EcoFlow の取扱説明書PDFだけです。 そしてそれは、買ったあとに開く冊子にあります。
比較表のサイクル寿命の列に最良値のハイライトを付けていないのは、これが理由です。条件の違う数字を大きい順に並べると、比べられないものを優劣として見せてしまいます。
基準2:切替の数字は2つしかないのに、書き方は5通り・呼び名は3通り
停電したとき、コンセント側からバッテリー側へ何ミリ秒で切り替わるか。5製品の公表値は 10msと20msの2つしかありません。
ところが、その2つの数字の書き方が5製品で全部違います。「10ms」「20ms」「10ミリ秒未満」「20ミリ秒未満」「約20ミリ秒以内」。2種類しかない値が、5通りに書き分けられています。 比較表はメーカー表記のまま載せてあるので、そこで見比べられます。
呼び名はさらに割れます。同じ20msを、Jackery は UPS、PowerArQ は EPS と呼びます。 同じ10msを、EcoFlow は UPS、Anker Solix C1000 Gen 2 は「非常用電源」と呼ぶ。
1社の中でも割れます。EcoFlow は商品ページの本文と比較表が「UPS」、同じページの FAQ が「EPS(非常用電源)」、取扱説明書は章題も本文も「電源自動切り換え機能」で、UPS の語が出てきません。1社で3通りです。
いちばん効くのは Anker の新旧です。旧 C1000 は取扱説明書の仕様表に「UPS(切替時間)|20ms」という行を持ち、章題も「UPS(無停電電源装置)機能の利用」でした。Gen 2 は切替が10msに速くなり、UPS という語が商品ページ・特設ページ・取扱説明書のどこにも1件もありません。 行名は「停電時自動切り替えの時間」に変わっている。速くなったほうが、名乗りを下げています。
そして、つないでよい機器の説明も、速さの順には並んでいません。 買う人が本当に知りたいのは何ミリ秒かではなく、自分のPCやNASをつないでよいかです。そしてそこは、公表されたミリ秒を並べても答えが出ません。
- 10ms の Anker Solix C1000 Gen 2 — ご注意欄に「データサーバや医療機器など、非常時に不具合が起こると人命 / 財産に重大な危険を及ぼしうる用途でのご使用はお控えください」
- 10ms未満の EcoFlow — 「急な停電でも PC などの精密機器を安全に稼働させ続けます」。比較表の UPS の行だけ「(サージ保護/NAS)」の括弧書きが付きます
- 20ms未満の Jackery — 商品ページは「UL1778 認証済みのUPS(< 20 ms)機能搭載」。ところが取扱説明書は「非専門レベルのUPS機能のため、0msで切り替えることができません。そのため、データサーバーまたはワークステーションのような無停止充電が必要な要求の高い設備に接続しないようにしてください」
- 20ms の Anker Solix C1000(旧) — Gen 2 と同じご注意欄。本文では「UPS機能も搭載しており…バックアップ電源としてご使用いただけます」
- 約20ms以内の PowerArQ — FAQ に「PC・ルーター・NASなど、停電時に電源が切れると困る機器の保護にご活用いただけます。※医療機器や生命維持装置など、瞬断が許されない用途には使用しないでください」
いちばん速い10msの製品がデータサーバを断り、いちばん遅い20msの製品がNASを名指しで挙げています。 速い順に許容範囲が広がる並びには、まったくなっていない。
規格番号を出しているのは Jackery だけですが、その同じ製品の取扱説明書が水準を下げて説明しています。規格番号を出すページと、用途を断る冊子が、同じ機能を指している。
基準3:「定格1500W」が指しているものが、製品ごとに違う
5製品の定格出力は 1500W・1550W・1500W・1500W・1600W。ほぼ横並びに見えます。ところが「W」の1語が指しているものは同じではありません。
- Jackery — 「3×AC出力:100V~50/60Hz, 3ポート合計1500W」。3口の合計で1500W
- Anker Gen 2 — 商品ページの比較表は「定格 1550W」、特設ページの仕様表は「1500w」、取扱説明書は「単ポート 1500W、合計最大 1550W」。公式3ソースで3通りに書かれています。取扱説明書を読むと、1550Wは5口合計の値で、1口に挿せるのは1500W
- Anker C1000(旧) — 定格1500W。ただし取扱説明書の仕様表には「AC出力(パススルー)最大1200W」「AC出力(インバーター)最大1500W」の2行があり、充電しながら給電しているあいだは上限が1200Wに下がります
- EcoFlow — 定格1500W。取扱説明書の X-Boost の表を見ると、これは100Vと110Vのときの値で、120V以上では1800Wになります。日本向けページの1500Wはこの表の1行目です
- PowerArQ — 1,600Wで5製品では最も高い。出力波形(正弦波)の行を仕様表に持つ唯一の製品でもあります
さらに、定格を超える出力の扱いが2種類あります。瞬間最大(サージ)は瞬間の耐性、SurgePad と X-Boost は電圧を下げて動かす機能。仕組みが違うのに、同じ「W」の顔で並びます。Anker C1000(旧)の比較表では「AC出力(定格 / 瞬間最大) 1500W / 2000W」と「AC出力(SurgePad™技術) 2000W」が、別の行に同じ数字で並んでいます。
そして上乗せ機能には、どちらもACにつないでいる間は使えないという条件が付きます。
- SurgePad — 「パススルー充電中(本製品を充電しながら機器に給電している状態)は利用できません」(ご注意欄)
- X-Boost — 「本ポータブル電源が AC 電源に接続されている間(…充電中やバイパスモードのときなど)は使用できません」(取扱説明書)。しかも既定では無効で、アプリで有効にする必要があります
どちらも比較表の行には書かれていません。 停電に備えてコンセントにつないだまま置いておく、というこのカテゴリで最も典型的な使い方が、まさに上乗せ機能の効かない状態にあたります。
パススルー中の上限を数字で書いているのは、5製品で Anker C1000(旧)の取扱説明書だけです。Gen 2 にはその行が無く、Jackery は書こうとして文が壊れています。原文はこうです。「停電前に蓄電池の最大出力は定格出力の1500wを下回り、1500Wになります」。下回った先の数値が抜けています。 PowerArQ は FAQ に「対応可否や条件はモデルにより異なりますので、各商品ページの仕様欄をご確認ください」と書いていますが、その仕様欄にパススルーの行がありません。
なお、ここで並べた1500Wから1600Wという合計は、5製品で約7%しか違いません。開いているのは合計ではなく、それを何口で分けるかのほうです。 公表のAC口数で割ると1口あたり250Wから500Wまで2.0倍に開き、口数を1口あたりのWに割り直した記事のとおり、口数の多い順とちょうど逆さに並びます。
満充電までの時間は、どちらのモードを表に載せるかで倍違う
各社が表に載せている数字はこうです。約54分・最短約58分・最短56分・約1.5時間・1.7時間。いちばん速い54分といちばん遅い1.7時間(102分)で、約2倍の差に見えます。
条件を揃えると、この差はほとんど消えます。
- Anker は速いほうを表に置いています。 約54分・約58分はどちらも「専用アプリで超急速充電モード設定時」の値で、通常モードは約60分と約90分。それは本文の※注記にしかありません(カタログPDFだけが「超急速充電モード:約58分 / 通常モード:約90分」と両方を1行に書いています)
- Jackery は遅いほうを表に置いています。 充電時間表と公式のスペック欄は1.7時間。「最速60分」は緊急充電モードの値で、見出しと meta description にしかありません
Anker Gen 2 の通常モード60分と、Jackery の緊急充電モード60分は同じ数字です。 どちらのモードの数字を取るかで、順位が入れ替わります。
満充電時間から平均の入力を割り戻すと、公表されている入力の上限に対する比もばらつきます。すべて公表値どうしの割り算です。
| 製品 | 容量 ÷ 公表の時間 | 公表の入力上限に対して |
|---|---|---|
| Jackery | 1070Wh ÷ 1.7h = 629W | 100V・15A に対して約42% |
| Anker Gen 2 | 1024Wh ÷ 54分 = 1138W | 超急速1500Wに対して約76% |
| Anker C1000(旧) | 1056Wh ÷ 58分 = 1092W | 超急速1300Wに対して約84% |
| EcoFlow | 1024Wh ÷ 56分 = 1097W | 1500Wに対して約73% |
| PowerArQ | 1024Wh ÷ 1.5h = 683W | 入力の公表が無い |
PowerArQ だけは検算する相手がいません。 同社は FAQ に「充電時間(時間)≒ バッテリー容量Wh ÷ 入力電力W」という式まで出していますが、その式に代入する入力電力Wが、本機の仕様表にありません。
EcoFlow だけは途中経過も公表しています。「40分で約80%」なら 819Wh ÷ 0.667h = 1229W で、56分の平均1097Wより速い。最初の80%までのほうが速いことが、同社の公表値2つから読めます。 残る4社は途中の推移を書いていないので、同じことが起きているかどうかも分かりません。
容量の単位は、モバイルバッテリーと向きが逆になる
同じ 1024Wh を、3社が別の書き方で書いています。
- EcoFlow「定格容量 1024Wh(51.2V⎓20Ah)」 — 基準電圧つき。ただしこの行は取扱説明書PDFにしかありません
- PowerArQ「バッテリー容量 1,024Wh / 20,000mAh」 — mAh を併記。基準電圧は書かれていません
- Anker Gen 2「バッテリー容量 1024Wh」 — Wh だけ。Ah も基準電圧もありません
Jackery は「定格容量 30.4Ah/35.2VDC(1070Wh)」で、30.4 × 35.2 = 1070.08Wh。EcoFlow は 51.2 × 20 = 1024Wh。どちらも公表値どうしが小数点まで一致します。 35.2V は 3.2V のセルを11本、51.2V は16本直列にした電圧です。
ここで PowerArQ の 20,000mAh を割り戻すと 1024 ÷ 20 = 51.2V。EcoFlow と同じ構成とみられます。 ではもし Jackery と同じ 35.2V で数えていたら、同じ 1024Wh は 29,090mAh になる。同じ電池を別の電圧で言い直しただけで、数字が1.45倍動きます。
モバイルバッテリー4製品を並べた記事で書いたのは、同じ「10000mAh」でも基準電圧が3.7Vと3.85Vで違い、Whに直すと差が出るという話でした。ここで起きているのは、その裏返しです。 モバイルバッテリーは mAh を主役にして Wh のほうを落とす。ポータブル電源は Wh を主役にして mAh のほうを落とす。 向きが逆なだけで、片方の単位しか書かないので読者が換算できないという構造は同じです。
しかも PowerArQ は、同じ公式サイトのモバイルバッテリーには「3.65V/15,000mAh or 10.95V/5,000mAh 54.75Wh」と、2通りの基準電圧を両方書いています。単価がずっと高いポータブル電源のほうが、書いてある情報は少ない。
PSE は、同じ電池でも枠が変わる
もうひとつ、モバイルバッテリーの記事とつながるところがあります。
5製品で PSE に触れているのは PowerArQ だけで、しかも「対象外」だと書いています。
「蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外です」
残る4社は、商品ページにも取扱説明書にも PSE / 電気用品安全法の語が1件もありません。モバイルバッテリーの記事では、PSE は「どこに書いてあるか」の軸でした。仕様表の欄に区分名まで書く社、特長欄にだけ書く社、1件も書かない社に分かれた。こちらでは「そもそも対象なのか」に変わります。 同じリン酸鉄の電池が、100Whを超えてACを出せるようになった瞬間に、別の枠へ移る。
なお、5製品ともセルはリン酸鉄(LFP)でした。表記は「リン酸鉄リチウムイオン電池」「リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)」「LFP (LiFePO₄)」と割れますが、指しているものは同じです。1000Wh級の現行機では、セルの種類で選ぶという選び方がそもそも成立しません。 500Wh級まで下りると三元系の製品があり、そちらはサイクルが数百回台になるので桁が変わりますが、この容量帯では見つかりませんでした。
比較表
| 項目 | Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000D | Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763 | Anker Solix C1000 Portable Power Station A1761 | EcoFlow DELTA 3 Plus EF-DL-H10-4 | PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh PA100 |
|---|---|---|---|---|---|
| 目安価格 | 12万円前後 | 13万円前後 | 8万2千円前後 | 8万8千円前後 | 14万3千円前後 |
| サイクル寿命 | サイクル数 4,000回 | 電池 4,000回 | 電池 3,000回 | バッテリー寿命 4000回以上 | 充放電サイクル 約4,000回 |
| 残存容量の基準 | 残存70% | 残存80% | 残存80% | 残存80% | 残存80% |
| 基準の記載場所 | 本文の注記 | 本文の注記 | 本文の注記 | 取扱説明書PDF | FAQ |
| 停電時の切替時間 | 20ミリ秒未満 | 10ms | 20ms | 10ミリ秒未満 | 約20ミリ秒以内 |
| 切替機能の呼び名 | UPS | 非常用電源 | UPS | UPS | EPS |
| つないでよい機器 | データサーバ・ワークステーションは不可(取扱説明書) | データサーバ・医療機器は不可/パソコン・冷蔵庫は可 | データサーバ・医療機器は不可 | PC などの精密機器は可/比較表の行に NAS | PC・ルーター・NAS は可/医療機器は不可 |
| メーカー表記の容量 | 30.4Ah/35.2VDC(1070Wh) | 1024Wh | 1056Wh | 1024Wh(51.2V⎓20Ah)※PDFのみ | 1,024Wh / 20,000mAh |
| 容量表記の書き方 | Wh+Ah+基準電圧 | Whのみ | Whのみ | Wh+Ah+基準電圧 | Wh+mAh(電圧なし) |
| 定格出力 | 1500W(3ポート合計) | 1550W(取扱説明書は単ポート1500W・合計最大1550W) | 1500W(パススルー中は最大1200W) | 1500W(100V時。120V以上では1800W) | 1,600W |
| 瞬間最大出力 | 瞬間最大3000W | 2300W | 2000W | サージ3000W | 瞬間最大2,400W |
| 定格を超える出力の呼び名 | なし | なし | SurgePad | X-Boost | なし |
| AC満充電時間 | 1.7時間(緊急充電モードなら最短60分) | 約54分(超急速モード時。通常モードは約60分) | 最短 約58分(超急速モード時。通常モードは約90分) | 最短56分(40分で約80%) | 約1.5時間(専用ケーブル) |
| AC入力電力 | 100-120V〜 最大15A | 通常1200W/パススルー1500W/超急速1500W | 通常1000W/パススルー1200W/超急速1300W | 100-120V〜15A(本文は「1500W AC入力」) | 記載なし |
| 外寸 | 327 × 224 × 247 mm | 384 × 208 × 244 mm | 376 × 205 × 267 mm | 398 × 202 × 284 mm | 345 × 232 × 236 mm |
| 本体重量 | 10.8 kg | 11.3 kg | 12.9 kg | 12.5 kg | 12.5 kg |
| 重量あたり容量 | 99.1 Wh/kg | 90.6 Wh/kg | 81.9 Wh/kg | 81.9 Wh/kg | 81.9 Wh/kg |
| 拡張バッテリー | 記載なし | 非対応 | 対応 | 対応 | 記載なし |
| セル種別 | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン |
| PSE の記載 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」と明記 |
| 騒音 | 記載なし | 20dB(600W以下の入出力時。Anker調べ) | 記載なし | 30dB(600W出力以下) | 記載なし |
| 解説 | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ | 解説を読む ↓ |
| 購入 | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る |
※記載の価格は目安です。仕様はメーカー側で変更される場合があります。最新の情報は各商品ページでご確認ください。
外寸の列には注意が要ります。3つの数字がどの軸なのかを書いているのは、Anker の2製品と EcoFlow の取扱説明書だけです。 Jackery と PowerArQ は数字を3つ並べるだけ。しかも EcoFlow は取扱説明書が「寸法 (W×D×H) 202 × 397.6 × 283.6mm」、商品ページが「39.8x20.2x28.4cm」と並び順が違います(体積はどちらも約22.8Lで一致します)。Anker C1000(旧)はカタログPDFだけ2値目と3値目が入れ替わっている。表では、他の4製品と同じく長辺を幅に置きました。軸の割り当ては公表値ではなく、こちらの解釈です。
商品ごとの解説
① Jackery ポータブル電源 1000 New(JE-1000D)
Jackery
Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000D
○ 選ぶ理由
- メーカー表記の1070Whは5製品で最大、重量あたり99.1Wh/kgも最も高い
- 定格容量を Ah と基準電圧つきで書いている(30.4Ah/35.2V)
△ 購入前に確認
- サイクル寿命の基準だけが残存70%で、他4製品の80%と同じ土俵にない
- 満充電時間が公式の中で1.7時間と最短60分の2つあり、1.7時間側に条件の記載がない
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑5製品で最も容量が大きく、最も軽い製品です。1070Wh を 10.8kg に収めていて、割ると99.1Wh/kg。他の4製品は90.6・81.9・81.9・81.9Wh/kg なので、重さあたりでは頭ひとつ出ています。外寸から体積を出すと 327 × 224 × 247mm = 18.09L で、59.1Wh/L。こちらも5製品で最も高い。 目安価格は12万円前後です。
容量の書き方も5製品で最も丁寧です。「定格容量 30.4Ah/35.2VDC(1070Wh)」で、Ah・基準電圧・Wh の3つが揃っている。掛け算すると1070.08Whで一致します。基準電圧まで書いているのは、この製品と EcoFlow の取扱説明書だけです。
引っかかるのは基準1で書いたところです。5製品でこの製品だけが、残存70%を基準にしています。 4,000回という数字は他の3製品と同じですが、70%まで落ちてよい前提の4,000回なので、そのまま並べられません。しかも基準は本文の※注記と FAQ にしかなく、取扱説明書PDFの仕様表にはサイクル寿命の行そのものがありません。
充電時間も公式の中で2つあります。仕様欄と充電時間表は1.7時間、見出しと meta description は「最速60分」。60分の側には「アプリで緊急充電モードを利用の場合」と条件が付きますが、1.7時間の側には条件が書かれていません。 どちらが通常なのかは、公表値からは決められない。
そして商品ページと取扱説明書が逆を向いているのがこの製品です。ページは「UL1778 認証済みのUPS」と規格番号を出し、取扱説明書は「非専門レベルのUPS機能」としてワークステーションへの接続を断り、「一台だけの設備に接続することをお勧めします」とまで書いています。PCを守るつもりで選ぶなら、取扱説明書の側を先に読んでおいたほうがいい。 拡張バッテリーの記載も、PSE の記載もありません。
購入者からは、AC充電もソーラー充電もできない、ボタンが反応しないという初期不良の報告と、サポートの手続きに時間がかかるという指摘が出ています。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
サイクル数 4,000回
公式スペックAPI(=商品ページの「スペック」欄)の行は「サイクル数 4,000回」で、残存容量の基準が入っていない。基準が出てくるのは本文の※注記「4000回使用後も工場出荷時の70%を電池残量を維持します」(原文ママ)と、FAQ の回答文の2か所だけ。取扱説明書PDFの「1.主な仕様」には、サイクル寿命の行そのものが無い。5製品で「4000回」を名乗るのは4つあるが、残存70%まで許容しているのはこの製品だけで、残る3つは残存80%。70%基準の4000回と80%基準の4000回は同じ土俵にない。80%到達での回数は公表されていないので、どちらが長く使えるかは公表値からは決められない。※注記は商品ページの上部と下部の2か所にあり、どちらにも70%が付く。つまり「仕様」と名の付く場所には、この製品の場合ひとつも基準が置かれていない。
UPS
UPS。5製品で唯一、切替機能に規格番号(UL1778)を出している。ただし FAQ の見出しだけは「UPS/EPS機能は搭載していますか?」と2語を並べ、回答は UPS だけで答える。さらに取扱説明書は同じ機能を「非専門レベルのUPS機能のため、0msで切り替えることができません」と説明していて、規格番号を出すページと、水準を下げて説明する冊子が、同じ機能を指している。
データサーバ・ワークステーションは不可(取扱説明書)
商品ページと取扱説明書が逆を向いている。商品ページは UL1778 を名乗り「非常用電源として使えます」と書くが、取扱説明書はデータサーバーやワークステーションのような無停止充電が必要な設備には接続しないよう求め、使うなら複数回テストして互換性を確認すること、同時接続は避けて1台だけにすることまで書いている。20ミリ秒という数字は同じ 20ms の PowerArQ と変わらないのに、PowerArQ は FAQ で PC・ルーター・NAS を名指しで挙げる。数字ではなく文章のほうが割れている。
30.4Ah/35.2VDC(1070Wh)
30.4 × 35.2 = 1070.08Wh で、公表の Ah・基準電圧・Wh が小数点まで一致する。35.2V は 3.2V セルの11直列にあたる。5製品で最大の容量だが、mAh は書かれていない。35.2V 基準で数えれば 30,400mAh、EcoFlow や PowerArQ と同じ 51.2V 基準なら約20,900mAh 相当で、mAh の数字だけを他社と並べても比較にならない。基準電圧まで書いているのは、この製品と EcoFlow の取扱説明書の2つだけ。
記載なし
商品ページにも取扱説明書PDFにも、PSE / 電気用品安全法の語が1件も無い。PowerArQ だけが「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」と明記しているので、記載が無いこと自体は不適合を意味しない。ここで分かるのは、買う前のページで確かめる手立てが無いということまで。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
AC充電もソーラー充電もできない、ボタン操作を受け付けないという初期不良の報告
梱包の状態に不安があり、発火を心配する声
保証やサポートの手続きに時間がかかる、購入後の対応に不安があるという指摘
ソーラーからの充電は晴天でも伸びにくく、影や曇天では効率が落ちるため補助と考えるべきという指摘。説明書が分かりにくいという声も
10kgを超える重さは年配の人には負担になる、持ち運び時に場所を取るという指摘
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 1000Wh級で本体を最も軽くしたい人(約10.8kg)
- 定格容量の Ah と基準電圧を確かめてから買いたい人
- AC3口をまとめて合計1500Wまで使う人
- 同じ設置面積により多くの容量を入れたい人
向いていない人
- サイクル寿命を他社と同じ残存80%で比べたい人
- PC やワークステーションを常時つないでおきたい人
- 容量を後から増やす可能性がある人
- 既定の設定のまま1時間で満充電にしたい人
② Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station(A1763)
Anker
Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763
○ 選ぶ理由
- 満充電までの最短時間が5製品で最も短い(約54分)
- 重量あたり容量90.6Wh/kgは5製品で2番目
△ 購入前に確認
- 定格出力が公式3ソースで1550W・1500W・単ポート1500W/合計1550Wに割れる
- 拡張バッテリーが非対応(旧世代は対応していた)
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑満充電までの最短時間が5製品で最も短い製品です。約54分。重量あたりも90.6Wh/kgで、Jackery に次ぐ2番目です。USB-Cを3口持つのも5製品でこの製品だけで、残る4製品は2口(EcoFlow は取扱説明書の「各ポート最大 140W、合計 280W」から2口と読めます)。ただしその3口は100W・100W・15Wで、USB-Cを口数ではなくWで並べ直すと合計215W。2口で各140W・合計280Wの EcoFlow のほうが大きく、口数とWで順位が入れ替わります。 目安価格は13万円前後です。
AC入力を「通常モード 最大1200W」「パススルー 最大1500W」「超急速充電 最大1500W」と3つに分けて公表している点は、5製品では丁寧な部類に入ります。静音の主張にも「600W以下の入出力時」という条件が付いている。
一方で、定格出力が公式3ソースで3通りに書かれています。 商品ページの比較表と本文は1550W、特設ページの仕様表は1500W、取扱説明書は「単ポート1500W、合計最大1550W」。取扱説明書を読んで初めて、1550Wが5口合計の値で、1口には1500Wしか挿せないと分かります。 特設ページには「定格出力は家庭用コンセントと以上の1550Wを実現」という、日本語が崩れた一文も残っています。
新旧で後退している軸もあります。旧 C1000 は拡張バッテリーに対応していましたが、Gen 2 は比較表の行に「-」と書かれた非対応です。 SurgePad も無くなっている。切替は20msから10msへ速くなり、容量は1056Whから1024Whへ減り、拡張は消えた。新しいほうが常に上位互換とは限らない、が1組で見える並びです。
「製品仕様」表の中身も減っています。旧 C1000 の表にあった「出力(AC出力:1500W)」と「充電時間」の2行が、Gen 2 の表から消えました。値は同じページの比較表と本文にはありますが、「製品仕様」という見出しの下からは出ていっています。
もうひとつ、体積の使い分けにも注意が要ります。「世界最小クラス」の根拠は※注記で「ハンドル部分を除く体積計算に基づく」と書かれていて、公表している外寸(ハンドル込み)とは別の体積で比べています。 ギネス記録の49分も米国仕様(120V)での値で、日本仕様は54分。
購入者からは、シガーソケットから充電するとソケット付近がかなり熱くなるという指摘と、AC差込口の保護ドアが固くてプラグを差しにくいという指摘が出ています。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
電池 4,000回
同ページの比較表の行は「寿命 | 電池 4,000回 / 電子部品 50,000時間」で、残存容量の基準が入っていない。基準は本文の※注記「電池容量が初期容量の80%まで劣化するまでのサイクル回数4,000回以上」にだけある。取扱説明書PDFには「サイクル」の語が1件も出てこない。旧世代 A1761 の3,000回と基準が同じ80%なので、この2台のあいだだけは回数をそのまま比べられる。一方、残存70%を基準にしている Jackery の4,000回とは同じ土俵に置けない。※注記は商品ページと特設ページの両方に同じ文で入っているが、どちらも表の行ではなく本文側にある。
非常用電源
商品ページ・特設ページ・取扱説明書PDFのいずれにも「UPS」の語が1件も無い。本文は「約 0.01秒で自動切り替えする機能」と秒で書いたうえで「非常用電源として安心です」と続き、比較表の行名は「パススルー充電」(値は「◯ (停電時10ミリ秒で切り替え)」と切替時間になっている)、取扱説明書の仕様表の行名は「停電時自動切り替えの時間」。旧世代 A1761 は同じ行を「UPS(切替時間)|20ms」と書いていたので、切替が20msから10msへ速くなった世代のほうが、名乗りを下げていることになる。
データサーバ・医療機器は不可/パソコン・冷蔵庫は可
5製品で最も速い10msを出しながら、ご注意欄はデータサーバや医療機器を断っている。特設ページが挙げるのはパソコンと冷蔵庫。20msの PowerArQ が FAQ で PC・ルーター・NAS を名指しするのと比べると、速い側が用途を狭く書いている。ミリ秒の順に許容範囲が広がっているわけではない。
1024Wh
「1024Wh」だけで、Ah も基準電圧も無い。旧世代も同じく Wh だけ。同じ 1024Wh を、EcoFlow は 51.2V⎓20Ah、PowerArQ は 20,000mAh と書いているので、この製品も同じ構成なら 20,000mAh 相当になる。ただしそう書いてあるわけではないので、mAh に直した数字は公表値からは出せない。Jackery の 35.2V 基準で数えれば同じ 1024Wh でも約29,090mAh になり、1.45倍動く。
記載なし
商品ページにも特設ページにも取扱説明書PDFにも、PSE / 電気用品安全法の語が1件も無い。PowerArQ が「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」と書いているとおり、記載が無いこと自体は不適合を意味しない。買う前のページに手掛かりが無いという事実だけが分かる。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
シガーソケットから充電するとソケット付近がかなり熱くなる、接続が不安定になるという指摘
約11.3kgの重さと、大容量ゆえの大きさを気にする声
電子レンジやドライヤーを同時に使うと減りが早く、冬キャンプ2泊では容量が足りないという声
AC差込口に保護ドアがあり、プラグを差し込むのに力が要るという指摘
初期設定でアプリからのファームウェア更新が必要、シガーソケット出力の起動もアプリ前提という指摘
複数のポートを同時に使うと放熱の音が大きくなるという指摘
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 停電に備えて、使ったあと短時間で充電し直したい人
- 同じ容量帯で本体をなるべく軽くしたい人
- 夜間の運転音の条件を数字で確かめたい人
- USB-Cを3口使いたい人
向いていない人
- 容量を後から増やす可能性がある人
- 定格出力を1つの数字で確かめたい人
- 1500Wを超える家電を上乗せ機能で動かしたい人(SurgePadは非搭載)
- サーバーや医療機器の停電対策を探している人
③ Anker Solix C1000 Portable Power Station(A1761)
Anker
Anker Solix C1000 Portable Power Station A1761
○ 選ぶ理由
- 別売りの拡張バッテリーで容量をちょうど倍にできる(1056Wh → 2112Wh)
- 5製品で唯一、パススルー中のAC出力上限(1200W)を数字で書いている
△ 購入前に確認
- サイクル回数が3,000回で5製品では最も少ない
- 約12.9kgで5製品では最も重い(81.9Wh/kg)
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑別売りの拡張バッテリーで容量をちょうど倍にできる製品です。1056Whを足して2112Whまで。拡張に対応しているのは、5製品でこの製品と EcoFlow の2つです。目安価格も8万2千円前後で、5製品では最も低い帯に入ります。
このカテゴリで最も見落とされる条件を、5製品でこの製品だけが数字で書いています。 取扱説明書の仕様表にある「AC出力(パススルー)最大 1200W」と「AC出力(インバーター)最大 1500W」の2行です。充電しながら給電しているあいだは、AC出力の上限が1500Wから1200Wへ下がる。停電に備えてつなぎっぱなしにするなら、こちらが実際の上限になります。 Gen 2 の取扱説明書にはこの行が無く、Jackery は文が壊れ、PowerArQ は仕様欄にパススルーの行そのものがない。
切替機能の書き方も5製品で最も揃っています。取扱説明書に「UPS(無停電電源装置)機能の利用」という章があり、仕様表の行名も「UPS(切替時間)|20ms」。給電方式(ラインインタラクティブ給電方式)を名指しするのも、5製品でこの製品だけです。ただし同じ商品ページの比較表では行名が「パススルー充電」に変わり、値が切替時間になっています。1製品の中でも揃ってはいない。
弱いところは3つ。サイクルが3,000回で5製品では最も少ないこと(基準は他3社と同じ80%なので、Gen 2 の4,000回とは素直に比べられます)。約12.9kgで最も重いこと。そして**「瞬間最大2000W」と「SurgePad 2000W」が、仕組みの違うまま同じ数字で並ぶ**ことです。SurgePad はパススルー充電中には使えず、精密機器にも使えないとご注意欄にありますが、比較表の行には条件が付いていません。
外寸にも注意点があります。商品ページと取扱説明書は「約37.6 × 20.5 × 26.7cm」ですが、**カタログPDFだけが「約 37.6 × 26.7 × 20.5cm」**と2値目・3値目を入れ替えています。軸ラベルを書いているのは商品ページだけなので、カタログだけを見た読者は違う形の箱を思い浮かべることになる。
購入者からは、ファームウェア更新の工程が複雑で、更新後に拡張バッテリーが認識されなくなったという報告が出ています。この製品のいちばんの持ち味に関わる部分なので、更新のタイミングには気をつけたほうがいい。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
電池 3,000回
5製品で唯一の3,000回で、基準は他3社と同じ残存80%。ただし基準が書かれているのは本文の※注記「電池容量が初期容量の80%まで劣化するまでのサイクル回数は3,000回以上」だけで、比較表の行(「電池 3,000回」)にもカタログPDFの行(「約3,000回以上」)にも入っていない。取扱説明書PDFには「サイクル」の語が0件。接頭辞も比較表とカタログで「3,000回」と「約3,000回以上」に割れる。新世代 A1763 とは同じ社・同じ基準なので、3,000回と4,000回の差はそのまま比べられる。カタログPDFは充放電サイクル数の行を持っているので、行はあるのに基準だけが落ちている形になる。
UPS
5製品で唯一、仕様表の行名に UPS が入っている(取扱説明書PDF「UPS(切替時間)|20ms(ミリ秒)」)。章題も「UPS(無停電電源装置)機能の利用」で、本文は給電方式(ラインインタラクティブ給電方式)を名指しする唯一の製品。ただし同じ商品ページの比較表では行名が「パススルー充電」になり、値が「◯ (停電時20ミリ秒で切り替え)」と切替時間になっている。1製品の中でも呼び名が揃っていない。
データサーバ・医療機器は不可
取扱説明書の行名にまで UPS と書きながら、商品ページのご注意欄はデータサーバや医療機器を断っている。切替20msは PowerArQ とまったく同じ数字だが、PowerArQ の FAQ は PC・ルーター・NAS を名指しで挙げる。同じ数字に対して、片方は用途を狭め、片方は広げている。
1056Wh
「1056Wh」だけで、Ah も基準電圧も無い。5製品で唯一 1024Wh でも 1070Wh でもない値だが、mAh に直す材料が無いので、同じ棚に並ぶ他社の mAh 表記とは突き合わせられない。拡張バッテリー(1056Wh)を足したときの2112Whだけは本文に書かれている。
記載なし
商品ページにも取扱説明書PDFにもカタログPDFにも、PSE / 電気用品安全法の語が1件も無い。PowerArQ の「規制対象外」という記述があるとおり、記載が無いことは不適合を意味しない。買う前のページで確かめられないという事実だけが分かる。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
ファームウェア更新の工程が複雑で、更新後に拡張バッテリーが認識されなくなったという報告
アプリの反応が遅い、文字が小さい、細かい設定がアプリからでないとできないという指摘
高出力で使うとファンの音が気になるという指摘
約12.9kgは片手では持ちにくいという声
到着時の充電残量が低めで、長期保管の前にはフル充電が要るという指摘
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 後から容量を増やす可能性がある人
- 充電しながら家電を使う前提で、そのときの上限を数字で確かめたい人
- 1500Wを超える熱を出す家電を動かすことがある人
- 同じ容量帯で費用を抑えたい人
向いていない人
- 本体の重さを抑えたい人
- サイクル回数を優先する人
- パススルー中も2000Wまで使えると考えている人
- カタログPDFの寸法だけを見て設置場所を決める人
④ EcoFlow DELTA 3 Plus(EF-DL-H10-4)
EcoFlow
EcoFlow DELTA 3 Plus EF-DL-H10-4
○ 選ぶ理由
- 5製品で唯一、残存容量の基準が仕様表の1行に収まっている(取扱説明書PDF)
- 定格容量を基準電圧つきで書いている(51.2V 20Ah)
△ 購入前に確認
- web の商品ページに仕様表が無く、技術仕様は取扱説明書PDFにしかない
- 切替機能の呼び名が1社の中で3通りに割れる
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑5製品で唯一、残存容量の基準が仕様表の1行に収まっている製品です。「サイクル寿命|4000 サイクル後も80%以上の容量」。定格容量も「1024Wh (51.2V⎓20Ah)」と基準電圧つきで書かれています。目安価格は8万8千円前後です。
ただし、そのどちらも取扱説明書PDFにしかありません。 この製品はweb の商品ページに仕様表が存在しないからです。ページ上部には「仕様」タブがありますが、押しても何も表示されません。 リンク先の #section_3 に対応する要素が、配信されている HTML に無いためです。数字が置かれているのは、3機種の比較を並べた段落列と FAQ と本文だけ。買う前にいちばん詳しい表を読もうとすると、取扱説明書までたどる必要があります。
呼び名の割れも5製品で最も大きい。商品ページの本文と比較表は「UPS」、同じページの FAQ は旧世代の30msを「EPS(非常用電源)」と呼び、取扱説明書は「電源自動切り換え機能」。同じ社の中で3通りです。 数字(10ms未満)は3ソースとも一致しているので、割れているのは呼び名だけ。
X-Boost にも条件が付きます。比較表の行は「X-Boost 2000W」の1行ですが、取扱説明書には既定で無効であること、アプリで有効にする必要があること、AC電源に接続されている間は使用できないこと、電圧保護機能を備えた精密機器には対応しないことが書かれています。ついでに、同じ表を読むと「定格1500W」は100Vと110Vのときの値で、120V以上では1800Wになる。日本向けページの1500Wは、その表の1行目です。
物理的には5製品で最も大きい箱です。398 × 202 × 284mm = 22.83L で、44.8Wh/L。同じ12.5kg・同じ1024Whの PowerArQ(18.89L)より約21%大きい。 重さが同じでも、置き場所の余裕は同じではありません。
購入者からは、ファームウェアの完成度に改善の余地があり、満充電や放電のときに予期しない動作をすることがあるという指摘が出ています。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
バッテリー寿命 4000回以上
web の比較表の行は「バッテリー寿命 | 4000回以上」で基準が入っていない。基準が出てくるのは FAQ の回答文「4000回のサイクル後でも残容量は80%以上です」と、取扱説明書PDFの技術仕様表の行「サイクル寿命 | 4000 サイクル後も80%以上の容量」。この行が5製品で唯一、回数と基準が1行に収まっている例で、それが買ったあとに開く冊子にある。なお同じページの比較表には旧世代 DELTA 2 の列があり、そちらは3000回。この製品は web の商品ページに仕様表そのものが無く(「仕様」タブのリンク先が HTML に存在しない)、技術仕様は取扱説明書PDFにしかない。買う前に見るページから基準が落ちて、買ったあとに読む冊子に残っている。
UPS
1社の中で3通りに割れる。商品ページの本文と比較表は「UPS」、同じページの FAQ は旧世代 DELTA 2 の30msを「EPS(非常用電源)」と呼び(同じページの比較表はその30msを「UPS機能 <30ms」と書いている)、取扱説明書は章題も本文も「電源自動切り換え機能」で UPS の語が出てこない。取扱説明書に UPS が出るのは、PC 側ソフトウェアの設定名としてだけ。数字(10ms未満)は3ソースとも一致していて、割れているのは呼び名だけ。
PC などの精密機器は可/比較表の行に NAS
商品ページは「PC などの精密機器を安全に稼働させ続けます」と書き、比較表の UPS 機能の行にだけ「(サージ保護/NAS)」の括弧書きが付く。同じ表の DELTA 3 は同じ「<10ms」でも括弧が無い。同じ10msの Anker Gen 2 がデータサーバや医療機器を断っているのとは逆向きの書き方で、ミリ秒の数字からは、どちらの書き方になるかを予想できない。
1024Wh(51.2V⎓20Ah)※PDFのみ
51.2 × 20 = 1024Wh で、公表の基準電圧・Ah・Wh が一致する。51.2V は 3.2V セルの16直列にあたる。ただしこの行があるのは取扱説明書PDFだけで、web の比較表は「容量 1024Wh」の1語だけ。同じ 1024Wh の PowerArQ が「20,000mAh」と書いているのは 1024 ÷ 20 = 51.2V で辻褄が合う。一方 Jackery の 35.2V 基準で数え直すと同じ 1024Wh が約29,090mAh になり、mAh の数字は1.45倍動く。
記載なし
商品ページにも取扱説明書PDFにも、PSE / 電気用品安全法の語が1件も無い。PowerArQ が「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」と書いているので、記載が無いことは不適合を意味しない。ここで分かるのは、買う前に確かめる手立てが無いということまで。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
初期不良にあたったという報告
ファームウェアの完成度に改善の余地があり、満充電や放電のときに予期しない動作をすることがあるという指摘
ソーラーパネルは別売りで、冬場や走行中の充電では発電量が期待より少ないという声
高負荷での連続使用や、複数機器の同時接続には向かない側面があるという指摘
約12.5kgは女性には少し重い、収納ケースが付属しないという声
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 買う前に取扱説明書PDFまで読む人
- 容量を後から増やす可能性がある人
- 充電の途中経過まで見て予定を立てたい人
- 同じ容量帯で費用を抑えたい人
向いていない人
- 商品ページの仕様表だけで判断したい人
- 設置スペースを最小にしたい人
- アプリを使わずに定格を超える出力を使いたい人
- 呼び名が揃っていることを確かめてから買いたい人
⑤ PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh(PA100)
PowerArQ
PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh PA100
○ 選ぶ理由
- 5製品で唯一、変換効率(85%)と実効容量の計算前提を自分から出している
- 5製品で唯一、出力波形(正弦波)の行を仕様表に持つ
△ 購入前に確認
- AC入力電力の公表が無く、充電時間を検算する相手がいない
- 公式の性能比較ページに、公表値どうしで辻褄の合わない行がある
目安価格は変動します。最新の価格・在庫は販売先でご確認ください。
全製品の比較表へ戻る ↑5製品で唯一、変換効率を数字で出している製品です。商品ページの使用時間シミュレータに「1,024Wh 計算基準容量 / 1,600W 定格AC出力 / 85% 変換効率固定」と並び、計算結果の欄には「実効容量 870Wh」と出ます。1024 × 0.85 = 870.4。FAQ の式も「使用時間(時間)≒(バッテリー容量Wh × 0.85)÷ 消費電力W」で揃っています。目安価格は14万3千円前後で、5製品では最も高い。
インバータの変換効率を仕様として公表している社は、5製品で0です。 PowerArQ の85%も「シミュレータの計算前提」として出ている数字であって、製品の性能値として公表されているわけではありません。それでも、読者が使える時間を見積もるときに掛ける係数を、自分から出しているのはこの1社だけです。他社の実効容量をこの85%で計算することはできません。
効率を書いていない社でも、載せている使用時間の目安を「消費電力W × 時間」で Wh に戻せば、掛けている係数のほうは見えてきます。Jackery の FAQ を戻すと、同じ回答の中でメーカー表記の1070Whに対する比が33%(LED照明10W)から83%(冷蔵庫520W)まで割れる。ただしこの割り戻しができるのは、目安に消費電力Wが併記されている2製品だけです(各社の目安から係数を割り戻した記事)。
定格出力1,600Wは5製品で最も高く、出力波形(正弦波)の行を仕様表に持つ唯一の製品でもあります。切替は約20ミリ秒以内で EPS。FAQ が「PC・ルーター・NASなど…の保護にご活用いただけます」と、つないでよい機器を最も具体的に挙げています。
弱いのは公表の量です。「製品仕様」表は15行で、AC入力電力・ソーラー入力・切替時間・保証期間・型番の行がありません。 充電時間(約1.5時間)は書いてあるのに入力Wが無いので、自社の式に当てはめても検算できない。なお保証期間の行を持つ4製品のほうも、条件なしで始まる年数は1年6ヶ月から5年まで3.3倍開いていました(保証年数を年に直して並べ直した記事)。
公式の性能比較ページにも、公表値どうしで辻褄が合わない行があります。「充電時間(車から 80W×2台)〜1.5時間」は、160Wで1024Whを入れるなら6.4時間のはずで、同社自身の式に当てはめても合いません。 使用時間の目安も「電気毛布(35W)17時間」に対して「電気毛布(同時2枚)29時間」と、2枚のほうが長くなっています。 なお「扇風機(30W)29時間」は 30 × 29 = 870Wh で、公表の実効容量とぴったり一致する。29時間の側が870Whを基準にした値で、17時間の側は別の基準で出ているとみられますが、条件が公表されていないので断定はできません。
そして5製品で唯一、PSE に触れています。 しかも「規制対象外」だと書いている。書いていない4社との差は、適合の有無ではなく、買う前に確かめられるかどうかの差です。
購入者の書き込みはまだ少なく、そのこと自体を指摘する声も出ています。判断材料としてのレビューは、他の4製品より薄いのが現状です。
メーカー表記の読み解きを詳しく読む
充放電サイクル 約4,000回
商品ページの「製品仕様」表の行は「充放電サイクル | 約4,000回」で、残存容量の基準が入っていない。基準は同じページの FAQ「バッテリーの寿命はどのくらいですか?」の回答文にある「充電サイクル約4,000回(容量80%維持の目安)」だけ。EcoFlow が FAQ に置いているのと同じ形になる。「約4,000回」と接頭辞が付くのは5製品でこの製品だけで、Anker は「4,000回」、EcoFlow は「4000回以上」と書く。同じ4000でも、約・以上・そのままの3通りが並ぶ。取扱説明書PDFは公開されていないので、仕様表の外を探すなら FAQ しか行き先が無い。
EPS
EPS。FAQ の見出しが「EPS機能はありますか?」で、UPS の語は商品ページ全体に1件も無い。同じ 約20ミリ秒を Anker C1000(旧)は UPS と呼び、取扱説明書の仕様表の行名にもしている。数字が同じでも呼び名が違うので、UPS で検索した読者はこの製品にたどり着かない。なお切替時間そのものも「製品仕様」表には無く、FAQ にしか書かれていない。
PC・ルーター・NAS は可/医療機器は不可
10msの2製品より遅い20msを出しながら、つないでよい機器としてPC・ルーター・NASを名指しする。10msの Anker Gen 2 はデータサーバや医療機器を断り、20msの Jackery は取扱説明書でワークステーションを断っている。速い順に許容範囲が広がる並びにはなっていない。なおこの製品も医療機器と生命維持装置は※で断っている。
1,024Wh / 20,000mAh
5製品で唯一 mAh を併記するが、基準電圧を書いていない。1024 ÷ 20 = 51.2V で、基準電圧まで書いている EcoFlow と同じ構成とみられる。同じ 1024Wh を Jackery の 35.2V 基準で数え直すと約29,090mAh になるので、mAh の数字だけを他社と並べても比べたことにならない。なお同じ PowerArQ 公式サイトのモバイルバッテリーは、製品名の中に「3.65V/15,000mAh or 10.95V/5,000mAh 54.75Wh」と2通りの基準電圧を両方書いている。単価の高いこちらのほうが、書いてある情報は少ない。
「ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外」と明記
5製品で唯一 PSE に触れていて、しかも「対象外」だと書いている。「蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、ポータブル電源本体は電気用品安全法の規制対象外です」。モバイルバッテリーでは表示義務のある区分だったものが、AC を出せる容量帯に来ると枠そのものが変わる、という説明になっている。残る4社はこの語に一度も触れていない。
実機は持たず、メーカーの公表値と販売ページの記載だけから読み解いています。
購入者レビューで挙がった指摘
そもそも購入者の書き込みが少なく、判断材料が乏しいという指摘
コンセントの差し込みが少しきついという指摘
思ったより軽くコンパクトで置き場所に困らず、操作も直感的だという声
同社のソーラーパネルやポータブル冷蔵庫と組み合わせて、キャンプで問題なく使えているという報告
購入者レビューに共通していた指摘を要約したものです。原文は載せていません。
向いている人
- 使える時間を、変換効率込みの数字で見積もりたい人
- PC・ルーター・NASにつなぐつもりで、メーカーの言い方を確かめたい人
- 定格出力の高さを優先する人
- 出力波形を仕様表で確かめたい人
向いていない人
- 充電にかかる時間を入力Wから検算したい人
- 仕様表に書かれている項目の数で選びたい人
- 容量を後から増やしたい人
- 購入者の使用報告を多く読んでから決めたい人
レビューで多かった不満と、その対処
製品をまたいで共通していた指摘が4つあります。どれも、この記事で並べた公表値の側とつながっていました。
1. 「最短◯分」は、アプリの設定を変えないと出ない
Anker の2製品では、初期設定でアプリからのファームウェア更新が要る、細かい設定がアプリからしかできない、シガーソケット出力の起動もアプリ前提、という指摘が出ています。EcoFlow でも高度な設定にはアプリが要るという指摘。
これは公表の側と直結しています。比較表に載っている54分・58分は超急速充電モードの値で、そのモードは専用アプリで設定します。 箱から出して挿しただけなら通常モードの60分・90分です。Jackery の「最速60分」も緊急充電モードで、こちらもアプリから。
対処:買ったらまずアプリを入れて、充電モードがどちらになっているかを確かめる。 急がないときは通常モードのほうが電池にやさしいと Anker 自身がご注意欄に書いているので、常用は通常モード、備えるときだけ超急速、という使い分けが素直です。
2. ソーラーからの充電が、思ったほど伸びない
Jackery で繰り返し挙がり、Anker Gen 2 と EcoFlow でも出ています。晴天でも弱い、曇りや冬場は発電量が落ちる、影があると効率が下がる、走行充電は時間がかかる、といった内容です。
公表値の側を見ると、ソーラーの最短充電時間はどれも特定の枚数と出力のパネルを使ったときの条件付きです(400Wパネル2枚で1.8時間、など)。今回の5製品はいずれも本体単体で、パネルは別売り。セット品と本体単体が同じ棚に並んでいるので、そこも混ざりやすいところです。
対処:ソーラーは補助と考えて、ACで満充電にできる前提で選ぶ。 パネルを足すなら、本体側の入力上限(600W・1000Wなど)とパネルの枚数条件を先に見てください。
その2つを突き合わせると、400Wパネル2枚は定格の合計が800Wで、入力上限600Wを200W超えます。パネル定格の75%より上は、天候と関係なく仕様表の側で先に閉じていることになる(ソーラーの最短◯時間をパネル定格で割り戻した記事)。
3. 10kg台の重さは、想像より効く
5製品とも約10.8〜12.9kgで、全製品にわたって「重い」という声が出ています。年配の人にはきつい、片手では持ちにくい、女性には少し重い、車内で滑るので固定したい、という内容です。
重さあたりの容量は99.1Wh/kgから81.9Wh/kgまで1.2倍の幅があります。同じ1000Wh級でも、いちばん軽い製品といちばん重い製品で2.1kg違う。 ペットボトル1本ぶんの差ですが、階段を上がるなら効きます。
対処:置き場所から動かす回数を先に見積もる。 家に置いて停電に備えるだけなら重さはほぼ効きません。車に積んで下ろすなら、2kgの差は毎回かかります。
4. 高い出力で使うと、音が出る
Anker の2製品で挙がっています。高出力時に「ウイーン」という音がする、複数ポートを同時に使うと放熱の音が大きくなる、という内容です。
静音を数字で書いているのは2製品だけで、どちらも「600W以下」という条件付きです(20dBと30dB)。条件が偶然そろっているので、この2つだけは並べられます。ただし測定距離も暗騒音もどちらの社も書いていないので、10dBの差をそのまま体感差として扱うことはできません。そして600Wを超えたときの音は、5製品とも公表されていません。
対処:寝室に置くなら、夜間につなぐ機器の合計Wを600W以下に収める。 冷蔵庫と照明とルーターくらいなら収まります。電気ケトルやドライヤーを使うと、そこは条件の外です。
状況別のおすすめ
| こういう人 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 同じ容量でいちばん軽くしたい | ① Jackery | 1070Whを10.8kgに収めて99.1Wh/kg。体積あたりも最高 |
| 停電のあと短時間で充電し直したい | ② Anker Gen 2 | 約54分(超急速モード時)。通常モードでも約60分 |
| 後から容量を増やす可能性がある | ③ Anker C1000(旧) または ④ EcoFlow | 拡張バッテリーに対応。Gen 2 は非対応 |
| 充電しながら家電を使う前提 | ③ Anker C1000(旧) | パススルー中のAC出力上限(1200W)を数字で書いている唯一の製品 |
| 仕様の根拠を仕様表の行で確かめたい | ④ EcoFlow | 残存容量の基準が仕様表の1行に入る唯一の製品。ただし取扱説明書PDF |
| 使える時間を係数込みで見積もりたい | ⑤ PowerArQ | 変換効率85%と実効容量870Whを自分から出している |
| PC・ルーター・NASにつなぐつもり | ⑤ PowerArQ | つないでよい機器を最も具体的に挙げている。ただし瞬断の可否は機器側にもよる |
| 定格出力の高さを優先したい | ⑤ PowerArQ | 1,600Wで5製品では最高。出力波形の行も持つ |
| 費用を抑えたい | ③ Anker C1000(旧) または ④ EcoFlow | 5製品では下の帯に入る |
| 設置スペースを詰めたい | ① Jackery または ⑤ PowerArQ | 18.09Lと18.89L。④は22.83Lで約21%大きい |
Jackery ポータブル電源 1000 New JE-1000D
Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station A1763
Anker Solix C1000 Portable Power Station A1761
EcoFlow DELTA 3 Plus EF-DL-H10-4
PowerArQ S10 Pro ポータブル電源 1024Wh PA100
買ったあと、最初にやること
順番にやってください。
- アプリを入れて、充電モードを確かめる — 表に載っている「最短◯分」は、たいてい超急速や緊急のモードでの値です。既定のままだと違う数字になります
- 満充電にしてから、実際につなぐ機器を全部挿してみる — 定格が合計値なのか1口あたりなのかは製品で違います。挿してみれば分かります
- 落ちて困る機器があるなら、返品できる期間のうちに試す — 停電時の切替は10msか20msですが、耐えられる時間は機器側で違います。ブレーカーを落として確かめるのがいちばん確かです
- 充電しながら使うときの上限を確かめる — パススルー中に出力上限が下がる製品があり、それを書いているのは5製品で1つだけです。上乗せ機能(SurgePad・X-Boost)もAC接続中は使えません
- 本体または箱のPSE表示を見る — 5製品のうち4社はページに何も書いていません。PowerArQ は「規制対象外」と書いています。現物の表示は届けば読めます
- 取扱説明書PDFを保存しておく — 残存容量の基準、パススルー中の上限、切替機能の用途の制限は、web ではなく冊子の側に書かれていることがあります
- 置き場所を決めて、動かす回数を数える — 10〜13kgあります。持ち出す前提なら、階段と積み下ろしの回数で重さの効き方が変わります
- 月に一度は残量を確認して、必要なら継ぎ足す — 長期保管の前にフル充電が要るという指摘が出ています。備えとして置くなら、使わなくても残量は見てください。その継ぎ足しができる温度も公表されていて、下限は充電温度を出している4製品とも0℃で一致します(温度の公表値を給電側と充電側に分けて重ねた記事)。冷える土間や物置に置いているなら、暖かい部屋へ移してから継ぎ足すほうが公表の枠に収まります
同じ棚に並ぶ1000Wh級でも、買う前にたどり着ける情報の深さは製品によってまるで違いました。「4000回」という数字にたどり着くのは簡単ですが、その4000回が何%まで落ちた時点の話なのかは、5製品とも仕様表の外にあります。 そして基準が1行に収まっている唯一の場所は、買ったあとに開く冊子でした。数字が大きいかどうかより、その数字がどんな条件で数えられたものかが書いてあるかどうか。今回5製品を並べて、いちばん効いたのはそこでした。