HOW TO CHOOSE
電動昇降デスク均等荷重60kgの机に、モニターアームは載るのか|条件つきの耐荷重を割合で揃える
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
「耐荷重60kg(均等荷重)」の机に、天板の端で1点にぶら下がるモニターアームを付けてよいかは決まらない。条件つきの耐荷重を書いた3つの資料を割合に揃えると40%・57%・80%に散り、均等荷重を天板の面積で割ると条件の書き方が逆の2製品が同じ値になることを読み解いた。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
机は決まった。あとはモニターアームを付けるだけ、というところで手が止まります。仕様表には「全体耐荷重:60kg(均等荷重)」。載せるのはモニター1枚とアームで、合わせても10kgに届きません。60kgなら余裕に見える。
ところがアームは、天板の上に置くものではありません。天板の端をクランプで挟んで、そこ1点でぶら下がります。 均等荷重は天板全体に均した重さの条件なので、端の1点に何kgかけてよいのかは、この数字からは出てきません。
では何を見ればいいのか。ここでは、条件つきの耐荷重を書いた資料を集めて、同じ資料の条件なしの値の何%にあたるかに揃え直します。 2026年9月時点のメーカー公表値です。
条件を書いている資料は、3つしか見つからない
| 製品 | 公表されている耐荷重 | 条件は何で割ったものか |
|---|---|---|
| アイリスオーヤマ DST-1200 | 耐荷重|50kg(昇降時:20kg) | 動作状態。「※耐荷重は測定値であり、保証値ではありません」の注記つき |
| サンワダイレクト ERD-ER11060LM(今回は候補から外れた製品) | 耐荷重|総耐荷重/70kg 中心荷重/40kg | 荷重の位置 |
| サンワサプライ ERD-WK12070(今回は候補から外れた製品) | 天板耐荷重|100kg(中心荷重は80kg) | 荷重の位置 |
| 山善 AED-1460 | 全体耐荷重:60kg(均等荷重) | 荷重の分布。ただし値は1つだけ |
このうち2つの値を並べているのは上の3行です。山善は条件を書いていますが値が1つなので、条件を外したときにいくつになるのかが分かりません。
そして荷重の位置で割っている2つは、どちらも今回の6点には入っていない製品です。サンワダイレクトのほうはAmazonに扱いが無く、サンワサプライのほうは在宅ワーク用のデスクではなく作業台で、それぞれ別の理由で候補から外れています。比較記事で並べた6点に、位置による違いを書いている社は1つもありませんでした。帯の両端を、候補から外れた製品が支えていることになります。
条件を付けると、40%・57%・80%まで下がる
同じ資料の中で、条件つきの値を条件なしの値で割ります。
| 資料 | 割り算 | 条件なしの値に対する割合 |
|---|---|---|
| アイリスオーヤマ DST-1200 | 昇降時20kg ÷ 静止50kg | 40% |
| サンワダイレクト ERD-ER11060LM(候補から外れた製品) | 中心荷重40kg ÷ 総耐荷重70kg | 57% |
| サンワサプライ ERD-WK12070(候補から外れた製品) | 中心荷重80kg ÷ 天板耐荷重100kg | 80% |
3つとも条件つきの値のほうが小さい、という向きは共通しています。揃わないのは、どれだけ小さいかのほうです。 40%から80%まで散り、荷重の位置で割っている2つの資料どうしでも23ポイント違う。
そして、位置の条件が書かれていない値が、この帯のどこに入るのかは決まりません。FLEXISPOT E7Hの160kg、E7セットの125kg(公式ブログの比較表)、FEZIBOの70kg、山善 AED-1460の60kg。このうち3つは条件が1行も無く、60kgに付いている条件も分布であって位置ではありません。
均等荷重を天板の面積で割る
条件が1行しか無いなら、公表されている別の数字と突き合わせるしかありません。均等荷重は「天板全体に均した重さ」なので、天板の面積で割れます。
| 製品 | 公表されている耐荷重 | 天板の面積 | 1m²あたり |
|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ DST-1200 | 50kg/昇降時20kg | 0.72m²(120×60cm) | 69.4kg/27.8kg |
| 山善 AED-1460 | 60kg(均等荷重) | 0.84m²(140×60cm) | 71.4kg |
| FEZIBO 幅140×奥行70 | 70kg(条件なし) | 0.98m² | 71.4kg |
| FLEXISPOT E7セット | 125kg(公式ブログ・条件なし) | 0.98m² | 127.6kg |
| FLEXISPOT E7H | 160kg(脚フレームの欄・条件なし) | 0.98m² | 163.3kg |
| 山善 ELD-FS + T1400 | 記載なし | 0.98m² | 計算できない |
割っているのは耐荷重です。机そのものの重さを面積で割った値とは、単位が同じでも別の量になります。
山善 AED-1460 と FEZIBO が、小数点以下まで同じ71.4kg/m²になりました。 片方は「(均等荷重)」と条件を書き、もう片方は条件を1文字も書いていない。値は60kgと70kgで1.17倍離れているのに、面積あたりでは一致します。荷重の比 60:70 と、天板の面積の比 0.84:0.98 が、どちらも 6:7 だからです。
一致した理由が計算の側にある以上、これは2社が同じ基準で数字を出した証拠にはなりません。 残るのは、条件の書き方が正反対の2つが同じ面密度に落ちる、という事実だけです。
山善の完成品ELDシリーズの幅140×奥行70(今回の6点ではありません)は「耐荷重:80kg(均等荷重)」で、81.6kg/m²。AED-1460 との1.33倍が、面積あたりでは1.14倍に縮みます。 机の大きさが違うぶんを落とすと、同じ社の中の差はほとんど残りません。
山善 ELD-FS + T1400 だけは、この列に載りません。山善の公式には、脚のページにも天板のページにも耐荷重が1文字も無いので、割る相手がない。
その面密度を、クランプが噛む面に当てる
クランプが天板のどこをどれだけ使うかは、アーム側にわずかに数字があります。モニターアーム5製品を並べた記事では、ある1製品のFAQが取り付けに幅約91mm・奥行き約71mmのスペースが要ると書き、別の1製品のFAQが天板端から約48mm飛び出すと書いていました。どちらも仕様表ではなくFAQにしかない値です。
幅91×奥行71mmは約65cm²、つまり0.0065m²。ここに71.4kg/m²を当てると、0.46kgになります。
均等荷重60kgという条件が指しているのは、クランプ1台ぶんの面では0.5kg弱にあたる載せ方だ、ということです。実際に付けるアームとモニターは、その面に桁の違う重さをかけます。
購入者の報告も、同じ「アームを付けた話」で割れている
アームを付けた話や、モニターを複数載せて安定していたか傾いたかという話が出ているのは、6点のうち4点です。そして向きが揃っていません。
- FLEXISPOT E7H — モニターアームを付けた状態でもぐらつかない、という評価
- FLEXISPOT E7セット — モニター2台でもウルトラワイドでも動かない、20kg級のモニターを載せても昇降の動きは変わらない、という評価
- 山善 AED-1460 — モニターを2台使うと奥に傾くことがある、という報告
- FEZIBO — モニターアームと組み合わせると揺れが増すことがある、という報告
山善 AED-1460 にいたっては、複数のモニターを置いてもぐらつかないという評価と、2台で奥に傾くという報告が、同じ製品に並んでいます。 何を、どこに、いくつ付けたのかは購入者ごとに違うので、この並びから優劣は出てきません。ただ、公表値の側にも位置の条件を書いた社が6点に1つも無いので、割れている報告を公表値のほうから説明する材料がありません。ここで読み手にできるのは、数字を比べることではなく、報告の向きを見ることだけです。
では、何を見ればいいのか
- 条件の語が付いているか — 「均等荷重」「中心荷重」「総耐荷重」「昇降時」「天板含む」。条件が無い値は、どんな載せ方でもよいという意味ではありません。書かれていないだけです
- 値が2つ並んでいるか — 総と中心を並べて書く社は、位置で下がることを自分で書いています。その下がり幅が、上で見た40〜80%
- 動作状態で分けているか — アームを付けた机も昇降させます。止まっているときの値しか無いなら、その値は動かしている間の条件を含んでいません
- どの公式ページを見たか — 山善は取扱説明書PDFで「(均等荷重)」が落ち、アイリスは自社の公式通販で「昇降時:20kg」が落ちます。条件は、同じ社の中でもページによって消えます
- メーカー自身の断り書き — アイリスは「※耐荷重は測定値であり、保証値ではありません」と自分で書いています。断ってある数字のほうが、扱い方を決めやすい
買う前にやること
- 載せるものの重さを、スタンドを外した状態で足す — アーム本体とモニター。この買い物で自分で量れる数字は、ここだけです
- 耐荷重の行を、語ごと書き写す — 「60kg」ではなく「全体耐荷重:60kg(均等荷重)」と写す。条件は値の外側に付いています
- 同じ製品の公式ページをもう1枚開く — 商品情報サイト・公式通販・特設サイト・取扱説明書PDF。同じ60kgが4通りに書かれていた製品があります。6点ぶんの書き分けは6製品の耐荷重の書き方を並べた比較記事にまとめました
- 昇降させる前提で読む — 動作時の値を書いているのは6点で1点だけで、静止50kgに対して20kgでした。書いていない社の机が、動かしながら何kgでも支えるという意味ではありません
- アーム側の占有面の数字を控える — 幅約91mm・奥行き約71mm、天板端から約48mm。どちらも1製品ぶんの値ですが、クランプがどれだけの面を使うかの見当は付きます
- 位置で不安が残るなら、重いものを脚の真上へ寄せられる配置にしておく — 端の1点でどれだけ持つかは、6点のどの公表値からも出てきません
均等荷重60kgは、嘘の数字ではありません。別のことを言っている数字です。天板全体に均したときの話をしていて、端の1点の話をしていない。条件を書いている3つの資料でさえ、条件を付けた側の値は40%・57%・80%まで下がりました。位置の条件が書かれていない値を、位置の条件として読まないこと。 いまのところ、公表値からできるのはそこまでです。