HOW TO CHOOSE
サムターンの測り方測った数字を、 選べる条件に変える。
同じ「62mm」でも、測る場所が違います。購入前に確認する7項目と、比較のしかたを整理しました。
この記事の結論
測る場所は7つ。数字だけでは、適合は決まりません。
同じ62mmが高さ・直径・長さに使われています。測った場所と、メーカーが指定する場所をセットで照合します。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
玄関の内側のつまみに定規を当てること自体は、5分もかかりません。難しいのは、出てきた数字を何と比べるかのほうです。
後付けスマートロック5製品を比較した記事では、買う前に5か所を測ってほしい、と書きました。厚み、長さ、ドアの端から中心まで、ドア面から先端まで、回転軸から台座の端まで。ただ、その5つの数字が各社のどの条件に当たるのかは、そこでは書いていません。
この記事はそれだけを扱います。測った1つの数字は、5製品のうち何製品の可否を判定できるのか。
先に答えを3つ書きます。
- 同じ「62mm」が、3か所で3つの別の寸法に付いています。 高さ・直径・長さ
- 範囲で書かれた条件は、書いている社どうしでは入れ子です。 一方が他方を完全に含む。ところが同じ2社が、回転角度のほうでは衝突します
- どの1項目を測っても、5製品全部は判定できません。 最も多く当てられる項目で4社。そして7項目を全部測っても、1製品は1つも判定できない
対象は5製品の2026年9月時点のメーカー公表値です。実機は持っていないので、書けるのは公表値どうしの突き合わせと計算で分かることに限ります。
測る場所は、公表値の側から数えると7つある
| 測る項目 | どこからどこまで | 条件を持つ社 |
|---|---|---|
| ① つまみの厚み | つまみ板の厚さ | 3社 |
| ② つまみの長さ | 3社が3つの別の場所(下の節) | 3社 |
| ③ ドアの端からつまみの中心まで | いわゆるバックセット | 4社 |
| ④ ドア面からつまみの先端/頂点まで | ドアからの出っ張り | 2社 |
| ⑤ つまみの回転軸から台座の端まで | 台座の張り出し | 2社 |
| ⑥ つまみ部分の高さ | 台座からつまみ板が立ち上がる高さ | 1社 |
| ⑦ 台座の直径(円形の場合) | 台座の外径 | 1社 |
①から⑤までが、比較記事で挙げた5か所です。⑥と⑦はそこに無かったもので、Aqara J200 だけが条件にしています。
同じ「62mm」が、3つの別の寸法に付いている
| 製品 | 62mm が付いている項目 | 何の長さか |
|---|---|---|
| SwitchBot ロック Pro | プレートの高さ(最大62mm) | 台座からつまみの先端までの高さ |
| Aqara J200 | B サムターン座の直径(62mm以内) | 円形の台座の直径 |
| Aqara J200 | C サムターンの長さ(62mm以内) | つまみの長さ |
Aqara J200 は、同じ取付確認ページの中で B と C の2つに62mmを使っています。そこへ SwitchBot ロック Pro の62mmが加わって、1つの数字が高さ・直径・長さの3つを指すことになります。
比較記事の基準2では、同じ90度が2社で逆の意味に使われていることを書きました。似た形が mm の側でも起きています。 ただしこちらは矛盾ではありません。別々のものに、たまたま同じ数字が付いているだけです。 面倒なのはそこで、「62mm以内なら大丈夫」と1つ覚えると、3か所のどれの話だったか分からなくなります。
31mm も同じ形をしています。SADIOT LOCK 2 の取付ページの図には、角形台座のときの「回転軸から端まで31mm」と「回転軸から台座端まで31mm」が両方ある。数字が揃っていることと、同じ場所を指していることは別です。
「つまみの長さ」は、3社が3つの別の場所を測っている
| 製品 | 各社の書き方(測る起点) | 値 |
|---|---|---|
| SwitchBot ロック Pro | 台座からつまみの先端までの高さ | 最大62mm |
| Aqara J200 | C サムターンの長さ | 62mm以内 |
| SADIOT LOCK 2 | つまみの回転軸から端までの長さ | 丸型台座 6〜27mm/角形台座 31mm(取付ページの図) |
起点が3つとも違います。台座から立ち上がった高さ、つまみの全長、回転軸から片側の端まで。同じ列に並べると誤読されるので、定義ごと書いています。
SADIOT LOCK 2 だけ、台座の形で条件が2組あります。 丸型か角形かで当てる数字が変わる。5製品でここだけです。
④のほうも起点が別です。Aqara の「E サムターン先端からドア面までの高さ 14〜67mm」と、SwitchBot ロック Pro の「台座からつまみの先端まで 最大62mm」は、どちらも「先端まで」と書いてありますが、片方はドア面から、片方は台座から測っています。 差は台座の厚みのぶんで、その台座の厚みを条件に挙げている社はありません。
範囲で書かれた条件は、書いている社どうしでは入れ子になっている
範囲(帯)で条件を書いている項目は2つあり、どちらも2社ずつが値を持っています。
| 測る項目 | 広いほう | 狭いほう | 関係 |
|---|---|---|---|
| ① つまみの厚み | SwitchBot ロック Pro 0〜23mm | Aqara J200 2〜22mm | 下で2mm・上で1mm内側。完全に含む |
| ④ ドア面から先端/頂点まで | Aqara J200 14〜67mm | SADIOT LOCK 2 21〜63mm | 下で7mm・上で4mm内側。完全に含む |
どちらも、狭いほうが広いほうの内側に丸ごと入っています。書いてある社の間では、帯は衝突しません。 使うときは向きが決まっていて、厚みなら「Aqara の範囲に入るなら SwitchBot ロック Pro の範囲にも入る」。ドア面からの高さなら「SADIOT に入るなら Aqara にも入る」。逆は言えません。
ただし④は、呼び方が「先端」と「頂点」で揃っていません。同じ場所とみられますが、そう書かれてはいない。
そのうえで、今回いちばん出したかったのがここです。 ④で入れ子になっているのは SADIOT LOCK 2 と Aqara J200 の2社です。ところが同じ2社は、回転角度では書いてあるとおりに読むと許容が1度も重なりません。SADIOT は「90度以上動くものは不可」、Aqara は「90°〜120°の間」。mm の条件は入れ子で衝突せず、角度の条件は排他。同じ2社が、項目によって逆を向いています。
項目ごとに、当てられる社の数が割れる
7項目を、値を持つ社の数の順に並べ直します。
| 測る項目 | 社数 | 各社の条件 |
|---|---|---|
| ③ ドアの端からつまみの中心まで | 4社 | Pro 40mm以上/SADIOT 40mm以上/Aqara D 40mm以上/SESAME 22mm以上 |
| ① つまみの厚み | 3社 | Pro 0〜23mm/Aqara A 2〜22mm/SADIOT 13.8mm(図の値) |
| ② つまみの長さ | 3社 | 上の表のとおり、測る場所が3通り |
| ④ ドア面から先端/頂点まで | 2社 | SADIOT 21〜63mm/Aqara E 14〜67mm |
| ⑤ 回転軸から台座の端まで | 2社 | SADIOT 31mm以下/Aqara H 31mm以内 |
| ⑥ つまみ部分の高さ | 1社 | Aqara F 5mm以上 |
| ⑦ 台座の直径(円形) | 1社 | Aqara B 62mm以内 |
5製品すべてに当てられる項目は、1つもありません。 最も多い③で4社。⑥と⑦は、測っても1社しか判定できません。
その③にしても、SESAME 5 の22mm以上は別製品のページの比較表にある値で、比較記事で書いたとおり他3社の40mm以上と同じ測り方かどうかは決められません。4社に当てられるとは言っても、そのうち1社は数字を直接くらべないほうがいい。
製品の側から数え直すと、こうなります。
| 製品 | 7項目のうち値を持つ数 | 測って判定できる数 |
|---|---|---|
| Aqara J200 | 7 | 7 |
| SADIOT LOCK 2 | 5 | 4 |
| SwitchBot ロック Pro | 3 | 3 |
| SESAME 5 | 1 | 1(別製品のページの値) |
| SwitchBot ロック Ultra | 0 | 0 |
SADIOT で1つ減るのは、①の13.8mmに以上/以下の別が無いためです。そして7項目を全部測っても、SwitchBot ロック Ultra は1つも判定できません。 適合条件の mm がページに1つも無く、判定は外部のフォームに送られるためです。
比較記事では「各社のページにある数値の条件」を7・6・3・0・0 と数えました。ここは数え方が違います。SADIOT の6条件のうち「ホルダーの重なり3mm以上」は本体側の条件で、つまみを測っても判定できない。SESAME の22mm以上は自分の製品ページに無いので、あちらでは0でした。
型番の側から数え直しても、下に来るのは同じ2点です。各社が名指しした型番と台座の形を1枚に集めると、型番や形を名指ししているのは5製品で3点だけで、SwitchBot ロック Ultra と SESAME 5 は0件でした。 上の表で0と1(別製品のページの値)だった2点です。mm でも型番でも、判定の材料がこの2点からは出てきません。
購入者レビューは、この7項目の外側にも触れている
複数の購入者から、ドアロックの形状が合わず取り付けられなかった、ドアとサムターンの間にスペースがなくて設置できなかった、という報告が SwitchBot ロック Ultra について出ています。SwitchBot ロック Pro でも、取り付け位置にスペースが要りドアに干渉する、という指摘があります。
ここは分けて読んだほうがいいところです。「つまみに付かない」は、①〜⑦を測れば買う前に判定できる可能性があります。 一方の**「ドアに干渉する」は、7項目の外側です。** 測っているのはつまみの側で、干渉するのは本体の側だから。本体が要する余白を電池交換のぶんまで公表しているのは、5製品で1点だけでした。
つまり、7項目を全部測っても残る問いがあります。 本体がどれだけ張り出して、ドアを開けたときに何に当たるか。ここは公表値からは埋まりません。
測る項目を増やしても埋まらない、という形はほかでも起きます。シャワーヘッドの取付ネジ規格を並べ直した記事では、購入者から「付かなかった」と報告されている条件——バランス釜、シャワーホース一体型、井戸水や温泉水の環境——が、5社のどの公表資料にも1行もありませんでした。 あちらで残るのは浴室の側の形で、こちらで残るのは本体の張り出し。どちらも、残った問いがどこに書かれていないかまでは分かります。
測る順番
当てられる社の数が多い順です。どれも買う前にできます。
- ③ ドアの端からつまみの中心まで — 4社に当てられる唯一の項目です。呼び方は「ドア枠まで」「扉の端まで」と割れていますが、3社は40mm以上でそろっています。ドアを閉めた状態で測る、と測り方まで書いているのは SwitchBot ロック Pro だけです
- ① つまみの厚み — 3社。狭いほうの範囲(2〜22mm)に入っていれば、帯を書いている2社は両方とも通ります
- ② つまみの長さは、3か所とも測る — 台座から先端まで、つまみの全長、回転軸から端まで。1つだけ測って使い回すと、別の社に当てたときに間違えます
- ④ ドア面からつまみの先端まで と ⑤ 回転軸から台座の端まで — それぞれ2社。⑤は31mmで2社が一致しているので、測った値が31mmを超えるかどうかだけで両方が決まります
- ⑥ つまみ部分の高さ と ⑦ 台座の直径 — Aqara J200 を候補に入れるときだけ効きます
- 台座が丸型か角形かを見る — SADIOT LOCK 2 は、ここで②の条件が変わります
- つまみを回して、何度で止まるかを見る — 数字が全部入っても、同じ90度が2社で逆の意味に使われているので、回転角度と台座の形は別に確かめる必要があります
- メモには、測った場所も一緒に書く — 「62mm」だけ書き残すと、あとで何の62mmだったか分からなくなります
測る位置で答えが変わるのは、このサイトで一度書いた話です。クランプ式のケーブルトレーで天板のどこを測るかでは、縁の面取り部分で測ると実際より薄く出ることを書きました。出てきた数字より「どこを測ったか」のほうが先に要ります。
まとめ
7項目を測っても、条件を公表していない製品の可否は決まりません。それでも、7つの数字を持っていれば問い合わせの中身が変わります。「うちの鍵に付きますか」ではなく、「厚みが15mm、ドアの端から中心まで45mm、ドア面から先端まで30mmですが付きますか」と聞ける。測る値打ちは、そこにもあります。