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ヘアドライヤー

ヘアドライヤーの「約40%カット」は何と比べた数字か|注記に書かれた比較対象が4段階に割れる

mono-buzz 編集部

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この記事で分かること

公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。

ヘアドライヤー6製品の特長コピーに付いた注記を、比べた相手がどこまで書かれているかで並べ直した。「約40%カット」「史上最大」の根拠を確かめたい人に向けて、型番まで書く注記と何も書かない注記の差と、試験機と比較機で消費電力が100W違うことを示した。

THE REASON BEHIND THE CHOICE

公表資料から、疑問を読み解く。

公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。

6製品の特長コピーで相対を名乗る文10件を、その注記に比較対象がどこまで書かれているかで4段階に分けた図。型番まで書くのが4件(テスコムTD570Aの約11%小型化はTID2400B比、TID2400Bの109%にUPと12%軽量化はTID2250比、コイズミのイオン量約20%UPはKHD-W905比)、試験機と比較機の型番と消費電力まで書くのが1件(コイズミの乾燥時間 約40%カット)、範囲と時点を書くのが2件(テスコム2点のシリーズ最軽量。2022年11月と2024年4月)、範囲だけで時点の無いのが1件(パナソニックのナノケア史上最大風量)、何も書かないのが2件(シャープの軽量・コンパクトと10万回以上のコード屈曲試験)。ダイソンは公表資料に到達できず未確認。下段に、約40%カットの試験機が1300W、比較機が1200Wで差が100Wであること、試験機が同等性能品であることを添えた
目次

商品ページの見出しには、数字の前に言葉が付いています。「乾燥時間を約40%カット」「ナノケア史上最大風量」「従来機種から約11%小型化」。

どれも、その1台だけでは決まらない言い方です。40%カットは何かと比べての40%で、「史上最大」は何かの範囲の中での最大。比べた相手が分からないかぎり、この数字は読めません。

では、その相手は同じページのどこかに書かれているのか。6製品の特長コピーと、そこにぶら下がった注記を、書いてある文字のまま集めました。書き方は4段階に割れます。 型番まで書くもの、試験の条件まで書くもの、範囲だけを書くもの、何も書かないもの。

6製品の風量を規格名ごとに並べ直した比較記事は、この話をテスコムの注記1件ぶんだけ検算して止めています。「従来機種からサイズは約11%小型化」が公表寸法から再現できたところまで。コイズミの「乾燥時間を約40%カット」は、そこに1文字も出てきません。

使うのは2026年9月時点のメーカー公表値(web の特長コピーと注記・ニュースリリース・カタログ)だけです。実機は持っていないので、書けるのは注記に何が書いてあるかと、その注記に出てくる公表値どうしの引き算まで。 数字が合っているかどうかには触れません。

先に結論を書きます。同じ「%」でも、公表値から追える%と、追えない%があります。 分けているのは製品の出来ではなく、注記が比較対象をどこまで書いているかのほうです。

相対を名乗る文10件を、書かれた文字のまま並べる

製品相対を名乗るコピー(メーカー表記のまま)注記に書かれた比較対象
テスコム TD570A従来機種からサイズは約11%小型化※3、質量は約8%※3軽量化※3:従来機種 TID2400Bと体積、質量比較。当社測定法による。
テスコム TID2400B大風圧 従来機種から109%にUP※4:当社製品TID2250と比較。当社測定法による。
テスコム TID2400B従来機種より12%軽量化※5:当社製品TID2250と比較。
コイズミ KHD-W915マイナスイオン量約20%UP※当社従来品KHD-W905との比較
コイズミ KHD-W915独自形状のダブルファンが、乾燥時間を約40%カット試験機:KHD-W915(1300W)同等性能品 / 比較機:KHD-9802(1200W)・ノズル無し、毛束との距離30cm・第三者機関調べ
テスコム TD570Aシリーズ史上最軽量 約455g(セットフード付)※2:2024年4月、テスコムのSpeedomシリーズのドライヤーにおいて
テスコム TID2400Bシリーズ最軽量※2:2022年11月、当社Speedomシリーズのドライヤーにおいて。
パナソニック EH-NA0Kナノケア史上最大風量※4※4 国内販売商品において(風量【強】・ノズル装着なしの時)
シャープ IB-P300約485gで軽量 折りたためてコンパクト記載なし
シャープ IB-P30010万回以上のコード屈曲試験もクリアしています。記載なし。試験方法の記載も無い
ダイソン HD08未確認未確認

比べた相手が型番や試験機として書いてあるのは5件、範囲で書いてあるのが3件、何も書いていないのが2件でした。1社が複数の型を持つので、製品の数より注記の数のほうが多くなります。

型番まで書く — 4件。ただし追えたのは1件

テスコムの3件とコイズミの1件です。相手の型番が書いてあるので、読者が自分でその製品の公表値に当たれます。

実際に当たれたのは、テスコムの ※3 でした。「従来機種からサイズは約11%小型化」「質量は約8%軽量化」の相手が TID2400B だと書いてあるので、両方の公表寸法と公表質量を持ってくれば計算できる。その検算は比較記事のテスコム TD570A の節にあります(体積は11.8%減、質量はフード付きどうしなら8.1%減、本体のみどうしだと7.4%減)。ここでは数え直しません。

追えないのは残りの3件です。 TID2400B の ※4・※5 が指す TID2250 は今回の6製品に入っておらず、その公表質量も風圧も手元にありません。風圧のほうは、TID2400B 自身の値も公表されていません。同じコピーの「大風量 2.3㎥/分」には値があるのに、風圧は比率だけで出てきて、風量とも風速とも並べられません。「従来機種より12%軽量化」から TID2250 の質量を逆算することはできますが、それは推定であって公表値ではないので、この記事ではやりません。コイズミの「マイナスイオン量約20%UP」も同じで、相手の KHD-W905 の公表値がない。イオンが何をするものかはここでは扱いません。 見ているのは、注記に型番が書いてあるかどうかだけです。

型番が書いてあることと、読者がその先まで追えることは別。 4件のうち追えたのは1件でした。

試験の条件まで書く — 1件

コイズミの「乾燥時間を約40%カット」です。10件でいちばん詳しい注記でした。

比較機の型番、試験機と比較機の消費電力、測った対象、距離、終わりの決め方、誰が測ったか。ここまで書いている注記は、6製品で1件だけです。

そのうえで、この注記を読むと分かることが2つあります。

1つめ。試験機と比較機で、消費電力が100W違います。 試験機は KHD-W915(1300W)、比較機は KHD-9802(1200W)。1300 ÷ 1200 = 1.083 で、試験に使ったほうが8.3%大きい電力の機械です。

2つめ。試験機は「KHD-W915 同等性能品」で、売っている KHD-W915 そのものだとは書かれていません。

この2つから言えるのは、この40%は公表値からは追えない、ということです。分母になった KHD-9802 は今回の6点に入っておらず、毛束を使った試験は仕様表の数字からは再現できない。テスコムの11.8%は公表寸法どうしの割り算で追えました。同じ「%」でも、追える%と追えない%がある。

範囲を書く — 3件。ただし年月があるのは2件

「シリーズ史上最軽量」「シリーズ最軽量」「ナノケア史上最大風量」。この3件は、相手を1台に決めず、範囲で書いています。

  • テスコム TD570A … ※2:2024年4月、テスコムのSpeedomシリーズのドライヤーにおいて
  • テスコム TID2400B … ※2:2022年11月、当社Speedomシリーズのドライヤーにおいて。
  • パナソニック EH-NA0K … ※4 国内販売商品において(風量【強】・ノズル装着なしの時)

テスコムの2件には年月があり、パナソニックの1件にはありません。 代わりにパナソニックは測定の条件(風量【強】・ノズル装着なしの時)を書いています。同じ「範囲で書く」でも、時点を足す社と、測り方を足す社に分かれている。

範囲の中身のほうは、同じ社の資料で確かめられることがあります。パナソニックの新旧比較表では、上位機の EH-NC80 と EH-NC50 が 0.8㎥/分で、同じ社の中ではこの製品のほうが大きい。 これは比較記事のパナソニックの節に書いてあります。

「シリーズ最軽量」が、同じシリーズに2つある

年月の話が効くのはここです。

テスコムの2件は、どちらも Speedom シリーズの最軽量を名乗っています。同じ社の、同じシリーズで、最軽量が2つ。 ところが片方は2022年11月、片方は2024年4月の話で、時点が書いてあるので両方とも成り立ちます。

公表質量を並べれば順番は決まります。TID2400B が470g(本体のみ)/495g(セットフード付き)、TD570A が435g(本体のみ)/455g(フード付き)。どちらの組で比べても、2024年4月の側が軽い。 いま売られている2台のうち軽いのは TD570A のほうです。

ただし、それは注記の年月まで読んだ人にしか分かりません。 コピーだけを見ると、同じ「シリーズ最軽量」という言葉が2台に付いている。最上級の言葉は、日付を読むまで順位が決まらない。

誰が測ったかを書いているのは、5件で3件

比べた相手を書いた5件を、測り方の書き方でもう一度分けます。

  • 当社測定法による … テスコム TD570A ※3、テスコム TID2400B ※4
  • 第三者機関調べ … コイズミ 乾燥時間 約40%カット
  • 記載なし … テスコム TID2400B ※5、コイズミ マイナスイオン量約20%UP

いちばん効くのはテスコム TID2400B です。隣り合う注記で、※4(大風圧)には「当社測定法による。」が付き、※5(12%軽量化)には付きません。 比べた相手はどちらも TID2250 で同じ。1ページの中で、測り方を名乗る注記と名乗らない注記が並んでいます。

パナソニックは、個別の注記ではなくページの末尾で受けていました。商品トップ・速乾ページ・新旧比較表の3ページに「試験条件は、特に記載のない場合は日本電機工業会自主基準HD-129に基づきます。」の1行がある。ページ全体の受け皿を1つ置く書き方で、6製品ではここだけです。 ただし、この自主基準が何を測るものなのかは、今回の資料からは確かめられていません。

何も書かない — 2件。「書いていない」と「読めていない」は別

シャープの2件です。カタログPDFの「約485gで軽量 折りたためてコンパクト」には、何より軽いのかが書かれていません。ニュースリリースの「10万回以上のコード屈曲試験もクリアしています。」にも、どういう試験なのかが書かれていない。 回数だけがあって、条件がない。

念のため書いておくと、この社が手を抜いているという話ではありません。 同じシャープは風量の欄では「※1 IEC規格にて測定。」と根拠を書いていて、それは6製品で2点しかない側です。社ごとではなく注記ごとに書き方が違うというのが、10件を並べて出てきた形でした。

そしてダイソン HD08 は、この2件と同じ欄に置けません。 公式の製品ページに到達できず、取扱説明書には仕様表そのものが無いので、このメーカーが何と比べて何を名乗っているのかを1文字も取れていない。 読んだうえで無いことを確かめた状態と、そもそも読めていない状態は別です。

注記はあるのに、たどり着けないことがある

TD570A の商品ページには、同じ ※3 が2つあります。

  • ※3:従来機種 TID2400Bと体積、質量比較。当社測定法による。
  • ※3:放出イオン量 約1,000万個/c㎥以上

本文の「約11%小型化※3」がどちらを指すかは前後から読めますが、記号としては同じ ※3 で、番号をたどるだけでは決まりません。 同じページにはもう1つ「※4:当社測定法/当社比較検証法による。」という注記もあり、こちらは測り方だけを書いていて、比較対象がありません。

注記があることと、比較対象にたどり着けることは別、という例です。

購入者が比べている相手は、いま使っている1台

6製品の評価を横断して読むと、「前に使っていたものと比べて」という形の言葉が5製品に出てきます。

  • 前のモデルより劣っている、別のブランドのほうが良かった(シャープ IB-P300)
  • 前のドライヤーと乾くスピードが変わらない(テスコム TD570A)。同じ製品の低評価には、風量の割に時間が短くならないという指摘もあります
  • 前に使っていたドライヤーより優れている(テスコム TID2400B)
  • 以前使っていたドライヤーより優れている、他社の製品より劣っている(コイズミ KHD-W915)
  • もっと安い製品でも足りる(ダイソン HD08)

読者が持っている比較対象は、たいてい「いま使っている1台」です。 一方、メーカーが注記に書いている比較対象は、自社の前の型(TID2400B・TID2250・KHD-W905)か、自社のシリーズの中か、試験用の機械(KHD-9802)。この2つは1件も重なりません。

だから「約40%カット」を読んでも、自分の1台から何がどうなるかは、その注記からは出てきません。 出てくるのは「メーカーの前の型から、その試験の条件で」という話です。

では、何を見ればいいのか

1. %や「最大」を見たら、同じ画面で注記記号を探す。 10件のうち、比べた相手が書いてあったのは5件、範囲だけが3件、何も無いのが2件でした。

2. 注記に型番があるなら、それが自分の1台かを見る。 違うなら、その%は自分の乗り換えの話ではありません。今回の4件は、すべて自社の前の型が相手でした。

3. 「史上」「最」の付いた言葉は、年月を探す。 同じシリーズに最軽量が2つある例がありました。年月が無いものは、いつの時点の話かが決まりません。

4. 試験の条件が書いてあるなら、試験機の型番まで見る。 「同等性能品」と書いてあれば、それは売っている製品そのものではありません。

5. 比較対象が書かれていないコピーは、順位を作らない。 「軽量」「コンパクト」は、比べる相手を決めた人の側で決まる言葉です。同じ「コンパクト」が6製品でいちばん小さい製品にも、いちばん大きい製品にも付いていることは、収納の記事のほうで見ました。

注記に書かれた試験の条件が自分の使い方と同じかを先に見る、という同じ型は「洗濯物2kg・6畳・20℃」は自分の部屋のことかにも書きました。

買う前にやること

  1. いま使っている1台の型番を控える — メーカーの注記が指しているのは自社の前の型です。自分の1台と同じでないかぎり、その%は自分の乗り換えの話になりません
  2. 注記記号を、本文と注記の両方で数える — 同じ番号が2回出てくるページがありました。番号が合わないときは、その%の分母は決まりません
  3. 年月の入った注記を先に読む — 「シリーズ最軽量」は時点で入れ替わります。公表質量まで見れば、いま軽いのがどちらかは決まります
  4. 6製品の風量と規格名を並べ直した比較記事に戻る — 同じことが仕様表の側でも起きています。同じ2.3㎥/分に「JIS規格」と「当社測定法」が付いていて、その根拠がどこに書いてあるかは製品ごとに違います

「約40%カット」も「史上最大」も、メーカーが嘘を書いているという話ではありません。書いてあるのは事実で、足りないのは比較対象のほうです。 そして比較対象は、製品ごとどころか、同じページの注記ごとに書かれたり書かれなかったりしていました。

次のステップ

条件が分かったら、製品を比較。

各製品の対応条件と注意点を確認して、候補を絞りましょう。

ヘアドライヤーの比較を見る →

読み終えたあとに

  • 注記の読み分けはついても、では6製品のどれを候補にするかという段になると、仕様表に戻った先の風量が製品ごとに別の測り方で出ていて、そこで止まることがあります。

    風量と規格名で並べた6製品の比較

    注記の側で起きていたことは、仕様表の側でも起きています。同じ2.3㎥/分に「JIS規格」と「当社測定法」が付き、その語の置き場所も製品ごとに違います。

    同じ㎥/分が規格名の書かれ方で3倍ひらくところを、6製品ぶん並べています。

  • 注記に書かれた比較対象を自分で確かめようとしたとき、手元に届いた取扱説明書に、突き合わせる相手の行そのものが見当たらないことがあります。

    取扱説明書と web の仕様表で違う行

    注記を読んだページと、届く紙は別の抜粋です。風量の行そのものが取説の仕様欄に無い製品が3点ありました。

    取説の仕様欄と web の仕様表を行ごとに突き合わせ、落ちる行を数え直しています。

  • 試験の条件まで書いてある注記に出会ったとき、その条件を同じ社の仕様表とどこまで突き合わせられるのかで、また止まることがあります。

    効能試験の吐水量と、その確かめ方

    シャワーヘッドでは、注記に書かれた試験時の流量5つのうち、同じ社の仕様表に突き合わせる相手があるのは1つだけでした。試験品が前の世代だと書かれている注記もあります。

    効能の注記に書かれた試験時の吐水量を並べ、仕様表で確かめられる数を数えています。

候補のページで注記記号を開いて、比較対象の型番と年月を書き写しておけば、どれにするかを決めるのが後日になっても同じところから続けられます。

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運営者

mono-buzz 編集部

メーカーの公開仕様と購入者レビューを読み込み、各社で書き方の揃わない数字を同じ条件に並べ直しています。実機は持たないため、使用感はレビューに共通する指摘として扱い、価格は目安を示し、最新の金額は販売先で確認していただく形にしています。