HOW TO CHOOSE
電動昇降デスク電動昇降デスクの昇降音|36dBと50dBに、同じ「静音」が付いている
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
電動昇降デスク6製品で昇降時の音を公表しているのは2点だけ。静かさを数字で選びたい人へ、素の測定値は36dBの1つしかないこと、同じ社の3モデルの振れ幅6dBより社をまたぐ差のほうが大きいことを公表値から読み解いた。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
家族が寝たあとに机を上げ下げする。あるいは在宅勤務で、同じ部屋にもう一人いる。昇降デスクを選ぶときに、音のところで手が止まる人は多いはずです。
ある製品には「昇降時の音は36dB。」とある。別の社のシリーズページには「本をめくる音以下の50dB静音性」とある。どちらも静かさの売り文句として書かれています。 14dB離れた2つの数字に、同じ「静音」が付いている。
6製品を耐荷重の書き方で並べた比較記事は、冒頭で「静かさを数字で選びたい人」を外したきり、本文では音に戻ってきませんでした。ここではその1行だけを掘ります。2026年9月時点のメーカー公表値です。
昇降時の音を公表しているのは、6点で2点
| 製品 | 昇降時の音 | 表記のしかた | どこに書いてあるか |
|---|---|---|---|
| 山善 AED-1460 | 36dB | 「昇降時の音は36dB。」条件のない素の値 | 商品情報サイトと特設サイト |
| FEZIBO 幅140×奥行70 | 45dB以下 | 「動作音45dB以下の静音設計」上限の表記 | 販売ページのみ |
| 山善 ELD-FS + T1400 | 記載なし | — | 脚のページにも天板のページにも行なし |
| アイリスオーヤマ DST-1200 | 記載なし | — | 商品情報サイトにも公式通販にも行なし |
| FLEXISPOT E7H | 記載なし | — | 商品ページに行なし(シリーズページは後述) |
| FLEXISPOT E7セット | 記載なし | — | 商品ページに行なし(シリーズページは後述) |
4点は「昇降時の音」という行そのものがありません。 書いてある2点も、行の名前からして違います。山善は「昇降時の音」、FEZIBOは「動作音」。何を測った音なのかが、揃っていない。
そして数字の性質が違います。36dBは条件のない素の値ですが、45dBには「以下」が付いている。上限の表記は、それより小さいということしか言っていません。 実際に何dBなのかは、この書き方からは出てこない。
素の測定値として横に並べられるのは、36dBの1つだけということになります。1つでは並べられません。
数字を足そうとすると、6点の外に出る
音の値は、同じ社の別モデルやシリーズのページになら、もう少しあります。
| 出所 | 書かれている値 | 今回の6点との関係 |
|---|---|---|
| 山善 ELDシリーズ(完成品)の特設サイト | 昇降時の音は約39.5dB | 6点ではありません。 脚と天板を部材で買う山善 ELD-FS + T1400 と構成は一致しますが、山善は両者が同じだとは書いていません |
| 山善 EHDシリーズの特設サイト | 昇降時の音は約42dB | 6点ではありません。 今回並べていない上位モデルです |
| FLEXISPOT E7シリーズのページ | 本をめくる音以下の50dB静音性 | 6点の商品ページの値ではありません。 シリーズ全体に向けた記述で、E7HとE7セットの商品ページにはdBが1文字もありません |
3つとも、今回の6点そのものの公表値ではありません。以降でこれらを引くときは、そのつど断ります。
50dBには「本をめくる音以下の」という比喩が付いています。36dBは素の値、45dBは上限、50dBは比喩付き。表記の性質が3つとも違うので、1つの列に並べた時点で読み違えが始まります。
社内の6dBと、社をまたいだときの差
ここで、音の数字を昇降速度の隣に置きます。山善は3モデルぶんの音と速度を、どちらも公表しているからです。
| 出所 | 昇降速度 | 10cmあたり | 昇降時の音 |
|---|---|---|---|
| 山善 AED-1460(6点の1つ) | 1.98cm/秒 | 5.1秒 | 36dB |
| 山善 ELDシリーズ(6点ではない) | 3.14cm/秒 | 3.2秒 | 約39.5dB |
| 山善 EHDシリーズ(6点ではない) | 3.88cm/秒 | 2.6秒 | 約42dB |
| FLEXISPOT E7セット(6点の1つ) | 3.8cm/秒(公式ブログ) | 2.6秒 | 商品ページに記載なし |
| FLEXISPOT E7H(6点の1つ) | 4.0cm/秒(公式ブログ) | 2.5秒 | 商品ページに記載なし |
山善の3モデルは、速いモデルほど音の数字が大きい。 順番が3つとも崩れません。1.98cm/秒から3.88cm/秒で速度は1.96倍になり、そのあいだにdBは36から42まで6dB上がります。dBは対数なので、6dBは音のエネルギーにすると約4倍にあたります。
問題はその先です。山善EHDの3.88cm/秒は38.8mm/s、FLEXISPOT E7セットの38mm/s(公式ブログの比較表)とほとんど同じ速さになります。ところが片方は約42dB、もう片方は、そのE7セットが属するシリーズのページで50dB。差は8dBで、エネルギーにすると約6倍です。
つまり、同じ社の中で速度が約2倍になったときの差が6dB、速度がほとんど同じ2つを社をまたいで並べたときの差が8dB。 後者のほうが大きい。速度で説明できる幅を、社の違いのほうが超えています。
「静音」の語が付いた両端に戻ると、36dBと50dBで14dB、エネルギーにすると約25倍の開きです。それが機械の差なのか、測り方の差なのか、売り文句の書き方の差なのかは決められません。測定距離を書いている社が、今回の資料に1つもないからです。 値が並んでいても条件が揃っていなければ比べられない、という形は、6製品の耐荷重を条件ごと並べ直した比較記事が耐荷重で書いたことと同じです。
デュアルモーターだから静か、という向きには並んでいない
購入者の評価には「デュアルモーターだから音が気にならない」という受け止めが出てきます。ところが山善の3つの数字は、逆の順に並びます。いちばん小さい36dBは1モーターのAED-1460で、2モーターのELDとEHDが約39.5dBと約42dBです。
言えるのは、この3つがモーターの数ではなく速度の順に並んでいるということまでです。並んでいるのは1社の3モデルだけで、しかもうち2つは今回の6点ではありません。デュアルモーターの側に数字が無い以上、社をまたいだ向きは出てきません。
その音は、1回に十数秒しか続かない
dBは音の大きさで、鳴っている時間の長さではありません。昇降デスクの音は、端から端まで動かしても16.3秒から22.7秒で終わります(速度が公表された4点。昇降速度を秒に揃え直した記事で計算したものです)。
ここで順番が反転します。いちばん小さい36dBを公表している山善 AED-1460 は、その4点でいちばん遅い22.7秒。 音の数字が最も小さい机が、その音を最も長く出していることになります。1日に4往復させるなら、AED-1460 は約182秒、いちばん速いFLEXISPOT E7Hは約130秒(こちらは音の数字そのものがありません)。1分弱の差です。
購入者の評価は、公表値がある側に寄っていない
昇降の音についての評価は、6点のうち5点に出ています。そのうち3点は、dBを1つも公表していない製品です。 数字が無い側にも「静か」という受け止めが集まっている、という形になっています。
うるさい側の報告が出ているのは2点だけで、どちらも山善でした。AED-1460には昇降時の音が静かだという評価と、動作音がゴロゴロするという報告が並び、ELD-FS + T1400にも昇降がスムーズで静かだという評価と、モーターの駆動音がやや大きいことがあるという報告が並びます。カタログで最も小さい36dBを書いている製品が、静かとうるさいの両方を言われている側です。
音への言及が1つも無いのはアイリスオーヤマ DST-1200 で、この製品は公表値のほうにもdBがありません。公表もレビューも音の話をしていない唯一の1点です。
FEZIBOの評価には注意が要ります。静かだという受け止めに「45dB以下」という数字がそのまま添えられている。これは商品ページの記述と同じ表記なので、公表値を別の経路で確かめたことにはなりません。逆にFLEXISPOT E7セットには、深夜でも気にせず使えるという評価が複数の購入者から出ていますが、その商品ページにはdBが1文字もありません。
では、何を見ればいいのか
- その値が素の測定値か、上限か、比喩か — 6点で素の値は36dBの1つだけです。「45dB以下」は上限で、それより小さいことしか言っていません
- 測定距離の記載があるか — 今回の資料では、どの社にもありません。書かれていない値どうしを並べて大小を読まない
- 同じ社の中の並び — 山善は3モデルぶんの数字を出しているので、社内の上下だけは読めます。速いモデルほど大きい、という向きでした
- 昇降速度の行 — 音の数字が無い製品でも、速度なら公表されていることがあります。山善の並びでは、速さを取ると音の数字は大きくなる側へ動きました
- その音が何秒続くか — 端から端まで16.3〜22.7秒です。1日に何回動かすかを掛ければ、音が出ている時間になります
買う前にやること
- 昇降させる時間帯を先に決める — 深夜に何度も動かすのか、日中だけか。dBの大小より、こちらのほうが効きます
- 候補の音の行を、語ごと書き写す — 「36dB」ではなく「昇降時の音は36dB。」、「45dB」ではなく「動作音45dB以下」。上限かどうかは値の外側に付いています
- 同じ社の別モデルの数字も見ておく — 山善は3モデルぶん出しています。社内の上下だけは読めますが、それは今回の6点の値ではありません
- 昇降速度の行を隣に置く — 秒に直すと、その音が何秒続くかまで出ます
- 数字の無い製品を、静かでもうるさくもないと考えない — 4点は行そのものが無いだけで、静かだとも大きいとも書かれていません
- 届いたら、いちばん静かにしたい時間帯に1往復させる — 測定距離も荷重条件も公表されていない以上、自分の部屋での音は、そこでしか分かりません
昇降時の音は、6点のうち2点にしか書かれていませんでした。そのうち素の測定値は1つだけで、比べる相手がありません。 数字を足そうとすると6点の外に出て、そこでは速度が同じくらいの2つに8dBの差が付く。「静音」という語は、36dBにも50dBにも同じように付きます。 その語を数字の代わりに読まないこと、いまのところ公表値からできるのはそこまでです。