HOW TO CHOOSE
シュレッダーシュレッダーの運転音|静かだという評判の数字が、メーカーの書いていない値だった
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
家庭向けシュレッダー7製品の運転音の公表を並べ直した。買う前に音で選べるか知りたい人へ、数字があるのは3製品で条件を書いた社は1つ、その条件は紙を入れていない空転時であること、静かだという評価に添えられた3つの数値のうち公表値で確かめられるのは1つだけであることを示した。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
夜のうちに郵便物を片づけたい。集合住宅で、隣の部屋には子どもが寝ている。あるいは在宅勤務で、通話が入るかもしれない時間に書類を処理したい。シュレッダーを選ぶときに、音のところで手が止まる人は多いはずです。
商品ページを開くと「静音設計」と書いてある。ただし dB の数字が付いている製品と、付いていない製品がある。数字の無いほうを調べようとして購入者の書き込みを見に行くと、そこには「空転時45dB」のような具体的な値が出てきます。それで安心して買う。
ところが、その数値がメーカーのどこにも書かれていないことがあります。
7製品を並べた比較記事は、冒頭で「音を最優先で選びたい人」を先に外し、最後にも「買う前に音で選び分けることは、この7製品ではできません」と書いて閉じました。できないとは書きましたが、なぜできないのかの中身には入っていません。 ここではその1行だけを掘ります。2026年9月時点のメーカー公表値と、購入者の書き込みだけを使います。実機は持っていないので、音そのものを測った話は出てきません。
音の数字を公表しているのは、7点で3点
| 製品 | 運転音の公表値 | 測定条件 | 欄の名前と、載っている資料 |
|---|---|---|---|
| オーム SHR-MX302 | 約68dB | 空転時、本体正面から1mの距離で測定 | 「作動音」。商品ページの【特長】欄で、【仕様】欄には音の行が無い |
| サンワ 400-PSD063W | 50dB | 記載なし | 「騒音」。商品ページの仕様表と、同じページの比較表 |
| フェローズ LX85 | 70dB | 記載なし | フェローズは「動作音」、コクヨは「作動音」。カタログと取扱説明書には行が無い |
| アイリス P5GCX2 | 記載なし | — | 仕様欄に音の行そのものが無い |
| アイリス P4GM-45 | 記載なし | — | 公式ページにも取扱説明書にも dB が無い(シリーズ見出しは後述) |
| GBC A3312M | 記載なし | — | 公式4資料のどこにも dB が無い |
| アイリス AFSB60C | 記載なし | — | 公式ページにも取扱説明書にも dB が無い |
4製品は、音の行そのものがありません。 そして数字のある3製品も、欄の名前が揃っていない。作動音・動作音・騒音の3通りで、同じ70dB に2つの名前が付いています。
同じ製品の4つの資料で、音の欄が2つに割れる
その70dB がフェローズ LX85 です。フェローズのブランドサイトが「動作音:70dB」、総代理店のコクヨが「作動音:70dB」。カタログと取扱説明書には、音の行そのものがありません。
比較記事は基準1で、この製品の連続で動かせる時間の欄が4つの公式資料で3通りの名前と「欄なし」に割れることを書きました。音の欄でも、同じことが起きています。 数え方だけが違って、連続時間は4資料のうち3つに行があって名前が3通り、音は4資料のうち2つにしか行が無くて名前が2通り。値は70dB のまま動かないので、動いているのは名前と置き場所だけという点まで同じです。
条件が書かれた数字は、どちらも「紙を入れていない状態」
条件を書いた1社が、オーム電機です。「作動音約68dB(空転時、本体正面から1mの距離で測定)」。距離まで書いたのはここだけでした。
そして、条件の付いた dB はもう1つあります。 アイリスオーヤマの SHIZCUT シリーズのページ見出し「静音設計(空転時35~45dB)」と、そこに並ぶ兄弟機のバッジ「静音設計(空転時35dB)」「静音設計(空転時45dB)」。こちらも「空転時」です。
空転時は、紙を入れずに刃だけを回している状態を指します。つまり、7製品の公表資料の中で条件が添えられた dB は、オームの1つとアイリスのシリーズページの2か所しかなく、そのどちらも紙を入れていないときの値ということになります。残る50dB と 70dB には、条件そのものがありません。
細断しているときの音を公表した社は、7製品で1つもない。 比較記事は「条件を書いているのは1社だけ」まで書いて止まりましたが、その1社が書いた条件は、音の話としては細断中を外しています。紙を入れたときにどう変わるかは、公表資料からは分かりません。
値の隣に条件が添えられているかを数えると同じ形になるカテゴリが、もう1つあります。シャワーヘッドの使える水圧を並べた記事では、吐水量(L/min)に水圧の条件が付くのは5製品で1点、気泡数に付くのは別の1点で、両方を持つ社が1つもありませんでした。 条件を書く社は書くのですが、書く欄が社ごとに違います。
静かだという評価に添えられた数値は、3つとも出所が違う
購入者の書き込みには、静かだという評価に具体的な数値が添えられることがあります。今回の7製品では3つ現れました。その数値をメーカーの公式資料で確かめられるかを見ると、こうなります。
| 製品 | 添えられている数値 | 公式資料で確かめられるか |
|---|---|---|
| サンワ 400-PSD063W | 50dB | 確かめられる。 商品ページの仕様表に「騒音:50dB」がある |
| アイリス P4GM-45 | 空転時45dB | 確かめられない。 同じシリーズページの別の型番に付いたバッジの値で、この型番には dB が1つも無い |
| GBC A3312M | あり(数値は本文に出しません) | 確かめられない。 販売店のページにある値で、公式4資料のどこにも辿れない |
3つのうち2つは、その製品のメーカーが公表していない数字です。 しかも出所の種類が違う。片方は同じメーカーのページの中にあって別の型番のものであり、もう片方はメーカーの外、販売店のページにあります。
比較記事は、前者を「読める形になっているだけで、書かれてはいない数字が、そのまま評判として流通している」と書き、後者を「公式のどこにも辿れないので、この記事では採っていません」と書きました。製品ごとの解説に分かれていたので、この2つが同じ形をしていることは、そこには書かれていません。
並べるとこうなります。音の数字を公表していない4製品のうち、2製品には数値が付き、2製品(P5GCX2 と AFSB60C)には付かない。付いた2つの数値は、どちらもメーカーがその型番について書いていない値です。
GBC A3312M の数値をここに書かないのは、公式のどこにも辿れないからです。比較記事も同じ理由で採っていません。加えてこの製品は書き込みの母数が小さく、数値が現れるのも1件なので、購入者がそう言っている、という傾向としては扱えません。販売店のページに値があり、書き込みにも同じ数字が現れる、というところまでです。
音を売り文句にしていて、比べられる数字が無い製品が2つ
アイリスオーヤマの SHIZCUT は、シリーズページの見出しで「静音設計(空転時35~45dB)」とうたっています。ところがそのバッジは、同じページに並ぶ6型番のうち3型番にしか付いていません。 P4GM-45 は付かない側です。型番の末尾が「-45」で、同じページに45dB の兄弟機(P5GC-45)が並んでいるので45dB だと読めてしまうのですが、公式ページにも取扱説明書にも dB の記載は1つもありません。読めてしまう形になっているだけで、書かれてはいない。
GBC A3312M は別の形です。公式は「静音タイプ(当社従来品比)」「当社の同等レベルの従来品に比べて作業時の音を抑えています」と書いています。比較の相手が自社の従来品で、その従来品の値も公表されていません。 小さくなったという向きだけがあって、どこから小さくなったのかが無い。
比較記事の入口は「各社の値が同じ条件で測られていない」でした。この2つは、比較の相手を自社にした形で、同じことが起きている例になります。相手が自社であっても、相手の値が出ていなければ引き算はできません。
もう1つ、アイリスオーヤマのオートフィード機 AFSB60C は、同じ社が SHIZCUT で静音をうたっているのに、公式ページにも取扱説明書にも dB がありません。 給紙トレイに載せて席を離れることを想定した機械のほうに、音の数字が無い形になっています。
購入者の書き込みは、数字がある側にも無い側にも出ている
音への言及があるのは、7製品のうち6製品です。そのうち GBC A3312M は前の節のとおり傾向としては扱えないので外し、残りを並べます。
- dB を公表していないアイリス P5GCX2 では、低評価でいちばん多く挙がっているのが音です。夜のあいだは使いにくい、同じ家にいる人を起こしてしまう、という内容です。静音をうたっているわりに大きい、という受け止めも出ています
- 同じく dB の記載が無いアイリス P4GM-45 では、逆に高評価でいちばん多いのが静かさでした
- 50dB を公表しているサンワ 400-PSD063W では、静かさが高評価の側に繰り返し挙がります
- 68dB を条件付きで公表しているオーム SHR-MX302 では、家庭用としては音が気になるという指摘が出ています。ただしこの製品は書き込みの母数が小さいので、単発の報告として扱います(比較記事と同じ扱いです)
- アイリス AFSB60C では、従来モデルより静かになったという評価が出ています。メーカーの「当社従来品比」と同じ形の、相対だけの言い方です
- 70dB を公表しているフェローズ LX85 には、音への言及そのものが見当たりません
言えるのはここまでです。「静音」という語はメーカーの側にも購入者の側にも付いていて、その語に添えられる数字の出所が揃っていない。 どちらが静かかを決める材料にはなりません。
では、何を見ればいいのか
- 条件が書かれているか — 7製品で条件が付いた値は2つで、どちらも「空転時」でした。条件の無い50dB と 70dB は、何を測った値なのかが書かれていません
- その dB が、その型番の公表値か — シリーズページの見出しやバッジは、型番ごとに付いたり付かなかったりします。P4GM-45 は付かない側でした
- 「当社従来品比」の相手の値があるか — 無ければ、どこから小さくなったのかが出てきません
- 仕様表の外も同じ目で読む — オーム SHR-MX302 の作動音は【特長】欄にあり、【仕様】欄には行がありません。仕様表だけを見比べると、条件を書いた唯一の製品が「記載なし」になります
- 音以外の数字で絞る — 定格時間は7製品とも、休止時間は6製品ぶん、ダストボックスが何分で満杯になるかは枚数を公表している5製品ぶんが、公表値から出せます。音の列とは、確かめられる度合いが違います
買う前と、届いてからやること
- 候補の音の行を、語ごと書き写す — 「68dB」ではなく「作動音約68dB(空転時、本体正面から1mの距離で測定)」。条件は値の外側に付いています
- 開いているページが、その型番のものか確かめる — シリーズの見出しやバッジは、同じページの中でも型番ごとに違います
- 数字の無い製品を、静かでもうるさくもないと考えない — 4製品は行そのものが無いだけで、静かだとも大きいとも書かれていません
- 音で選び分けられないと分かったら、別の軸で絞る — 7製品を連続運転時間と休止時間で並べ直した比較記事に、定格2分から20分という差と、休止まで入れた1サイクルの稼働率を出してあります
- 使う時間帯を先に決める — 定格時間が製品で10倍違うので、まとめて動かす段取りのほうが先に決まります
- 届いたら、いちばん静かにしたい時間帯に、定格の枚数を入れて動かしてみる — 公表されているのが空転時の値だけである以上、紙を入れたときの音は、自分の部屋でしか分かりません
音は、7製品のうち3製品にしか数字がありませんでした。条件が付いたのは2つで、その2つはどちらも紙を入れていないときの値です。そして数字の無い製品のうち2つには、メーカーが書いていない数値が評判として付いている。買う前に音で選び分けられない、というのはそういう状態のことでした。