HOW TO CHOOSE
デスクライトデスクライトの1ワットあたりのルーメン|公表された効率でも分子と分母が揃っていない
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
デスクライト5製品の明るさを消費電力で割り、1ワットあたりのルーメンを出した。明るさと消費電力を突き合わせて選びたい人に向けて、メーカー自身が公表した効率でも分子が器具光束と定格光束(LED)に分かれること、分母の条件が5製品で揃わないことをメーカーの公表値から読み解いた。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
仕様表の消費電力の欄に、6.5Wと書かれた製品と、約15Wと書かれた製品が並ぶことがあります。どちらも机の上に置く器具で、2.3倍。小さいほうがいいに決まっている、と読みたくなるところですが、この2台は明るさが同じではありません。
では明るさで割ればいい、という話になります。1ワットあたり何ルーメン出ているのか。 実際、5製品のうち2社は、その割り算を自分でやって仕様表に書いています。「固有エネルギー消費効率」という行がそれです。
ここで見るのは1点だけです。メーカーが自分で書いたその数字は、同じ土俵に載っているのか。 2026年9月時点の公表値で並べ直します。先に書くと、同じラベルの下で、分子も分母も別のものを指していました。
消費電力の欄は、5製品とも別の条件で書かれている
まず分母のほうから見ます。消費電力の行は5製品ぜんぶにありますが、括弧の中身が5通りに割れています。
| 製品 | メーカー表記の消費電力 | 数字に付いている条件 |
|---|---|---|
| BenQ ScreenBar Halo | 6.5W | (最大) — 行のラベルが「消費電力(最大)」 |
| 山田照明 Z-108NB | 7.2W | (LED) — 行のラベルが「消費電力(LED)」 |
| サンワダイレクト 800-LED090 | 8W | 条件なし(取扱説明書の新しい版は約8.5W) |
| パナソニック SQ-LC570-W | 9.4W | 条件なし |
| オーム電機 ODS-LDC6K-W | 約15W | (調光100%時) |
端から端で 15 ÷ 6.5 = 2.3倍。ただし片方は上限として書かれた値、もう片方は調光を全開にしたときの値です。大小を比べる前に、比べているものが違う。 条件なしの2点は、最大なのか常用なのかも書かれていません。
1ワットあたりのルーメンは、4製品で出せる
分子のほうを足します。並べる順番は、数字の大小ではなくメーカーが自分で割っているかどうかにしました。
| 製品 | 1ワットあたりのルーメン | 分子 ÷ 分母(メーカー表記のラベルのまま) |
|---|---|---|
| 山田照明 Z-108NB | 86.6(メーカー公表) | 定格光束(LED) 624lm ÷ 消費電力(LED) 7.2W |
| パナソニック SQ-LC570-W | 90.9 / 88.8(メーカー公表) | 器具光束 855lm・835lm ÷ 消費電力 9.4W |
| サンワダイレクト 800-LED090 | 23.8(この記事の割り算) | 光束 190lm ÷ 消費電力 8W |
| オーム電機 ODS-LDC6K-W | 80.0 / 83.3(この記事の割り算) | 全光束 約1200lm・約1250lm ÷ 消費電力 約15W(どちらも調光100%時) |
| BenQ ScreenBar Halo | 出せない | 分子にあたる行が無い ÷ 消費電力(最大)6.5W |
分子のラベルにも注目してください。器具光束・定格光束(LED)・全光束・光束の4通りあって、そのうえ記載なしが1つ。 明るさを名乗る数字が揃わない話は照度・測定距離・全光束・JIS形の4列で5製品を並べ直した比較記事にありますが、効率の分子でも同じことが起きています。
公表されている4件は、四捨五入ではなく切り捨てだった
公表値を検算すると、丸められた向きまで見えます。
- 855 ÷ 9.4 = 90.957… → 公表は 90.9(四捨五入なら91.0)
- 835 ÷ 9.4 = 88.829… → 公表は 88.8
- 624 ÷ 7.2 = 86.666… → 公表は 86.6(四捨五入なら86.7)
- 1057 ÷ 11.5 = 91.913… → 公表は 91.9(山田照明の別機種 Z-10G。今回の5点には入っていません)
4件とも、小数第2位以下を切り捨てた値と一致します。 うち2件は四捨五入なら別の数字になるので、偶然ではありません。分子と分母をそのまま割った結果が書かれている、と確かめられます。
その4.3ポイントは、同じものどうしの差ではない
ここが本題です。公表されている86.6と90.9を並べると差は4.3ポイントですが、割る前の2つが別のものを指しています。
山田照明 Z-108NB の仕様表は、明るさ・消費電力・効率の3行そろって「(LED)」が付きます。 「定格光束(LED)|624lm」「消費電力(LED)|7.2W」「固有エネルギー消費効率(LED)|86.6lm/W」。そして同じ表の別の行に「光源仕様|E26 LED電球(昼白色)7.2W×1」があり、同じ7.2Wが、挿さっている電球の定格として出てきます。 この製品は交換球の型番(適合ランプ No.255S/使用可能ランプ LDA7N-G/2)まで公表しているので、球は替えられる。替えれば分子も分母も動く側の数字とみられます。
パナソニック SQ-LC570-W のほうは、分子のラベルに「器具」が入っています。「器具光束|855 lm(文字くっきり光)」÷「消費電力|9.4 W」で、分母には条件が付いていません。
同じ「固有エネルギー消費効率」という行名の下で、片方は「(LED)」と断られた側の数字、もう片方は器具と書かれた側の数字。 山田照明が器具全体としての消費電力を書いているところは、同社の2つある公式ページのどちらにもありません。4.3ポイントを「こちらのほうが効率が良い」とは読めない、というのがここまでの結論です。
同じ1台の中でも、効率の数字は動く
そもそも1つの製品につき1つの数字、にもなっていません。
パナソニックは光色ごとに2つ書いています。文字くっきり光で90.9、パソコンくっきり光で88.8。切り替えるだけで2.1ポイント動く。 2社をまたいだ4.3ポイントの、およそ半分がこの1台の中にあります。分子の器具光束も855lmと835lmの2つで、同じ855lmを各段の割合に掛けて調光の下限を出した話は7段調光の各段をルーメンに直した記事にあります。あちらは掛け算、こちらは割り算です。
サンワダイレクト 800-LED090 は、公表値そのものが同社の資料の中で2組に割れています。商品ページの仕様表は190lm・8W、取扱説明書の新しい版は最大約230LM・約8.5W。この2組で割ると 23.8 と 27.1 になります。
- 山田照明とパナソニックのあいだ … 90.9 ÷ 86.6 = 1.05 で、開きは約5%
- サンワダイレクト1製品の中 … 27.1 ÷ 23.8 = 1.14 で、開きは約14%
社をまたいだ開きより、1つの型番の中で資料を持ち替えたときの開きのほうが、3倍近く大きい。 どの資料を開いたかで、効率の数字は先に動きます。
消費電力がいちばん小さい製品だけが、割り算のできない側にいる
BenQ ScreenBar Halo の6.5Wは、5製品で最も小さい数字です。ところが**「ルーメン」「lm」という語が、仕様タブにも商品ページにも1度も出てきません。** 割る相手そのものが無いので、この製品でだけ1ワットあたりのルーメンが出ない。比較記事が「他の4製品では出せる」と書いて止まったのは、この製品の節でした。
同社の後継2機種も同じ形です。消費電力(最大)は8.5Wと15Wと書かれていますが、公表されている明るさは中央照度、つまりルクス。ルクスは机の面の1点の値なので、ワットで割ってもルーメン毎ワットにはなりません。 世代が変わっても、分子が出てこない側にいます。
明るさの列で起きたことが、消費電力の列でも起きている。 5製品ぜんぶが同じ条件で埋まる列は、ここにもありませんでした。
購入者の指摘は、電力そのものより給電側に出ている
BenQでは、モニターのUSBポートにつなぐと電力が足りず点滅する、PCのUSBでは反応しない、1.5A以上を出せる電源でないと点滅する、という報告が繰り返し出ています。6.5Wという数字が効いたのは、効率としてではなく給電元の余裕としてでした。 その読み方は給電元とアダプターで並べ直した比較記事の基準3にあります。
オーム電機では、電源アダプターの大きさについての指摘が出ています。約15Wを供給するのは付属の専用ACアダプターで、机か足元に1つ増える。消費電力の数字が小さいことと、アダプターが増えないことは別の話です。この5製品では、いちばん大きい15Wの製品にアダプターが付き、いちばん小さい6.5Wの製品はモニターやPCのUSBから取る前提で書かれています。
では、何を見ればいいのか
1. 効率の行を見つけたら、そのすぐ上下の2行を見る — 分子と分母がその表の中にあるかどうか。公表されている効率は、その2つを割っただけの数字です。
2. 分子のラベルを読む — 今回は器具光束・定格光束(LED)・全光束・光束の4通りに割れ、記載なしが1つありました。「器具」と「(LED)」は、含んでいる範囲が違う可能性があります。
3. 分母の括弧を読む — 最大・(LED)・調光100%時・条件なし。条件なしが最大値なのかどうかは、書かれていません。
4. 効率が無くても、分子と分母が揃っていれば自分で割れる — 5製品のうち2点はこれで出ました。ただし出した値を他社と並べるのは、同じ形の中までです。
買う前にやること
- 消費電力の行を、括弧ごと書き写す — 「6.5W」ではなく「消費電力(最大)6.5W」まで。条件を落とすと、並べたときに揃っているように見えてしまいます
- 明るさの行のラベルも書き写す — 器具光束か、定格光束(LED)か、全光束か、光束か。効率を比べていいかどうかは、ここで決まります
- 効率が書いてあれば、自分で割って検算する — 今回は4件とも切り捨てで一致しました。合わないなら、分子か分母が別の条件の値です
- 並べるのは同じ形の中まで。電気代の見当は付けない — 待機電力が5製品とも記載なしなので、年間の数字は作れません
- 明るさそのものは、効率とは別の列で見る — 明るさを名乗る4つの数字を並べ直した比較記事のほうに、その列があります
1ワットあたりのルーメンは、メーカーが自分で割って書いてくれている数少ない数字です。それでも、割る前の2つが何を指しているかが揃っていない。 効率の行があるかどうかより、その上下2行に何と書いてあるかのほうが、読むべき場所でした。2026年9月時点の公表値から言えるのは、ここまでです。