HOW TO CHOOSE
デスクライトAA形の250ルクスは机のどこの値か|半径50cmと手前側1/3円周という条件
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
JIS AA形の下限とされる250ルクスが机のどこを測った値なのかを、デスクライト5製品の公表値と、判定点をルクスで書いた1製品の仕様表から並べ直した。照らしたい範囲の広さで選びたい人に向けて、面のしきい値が500ルクスと250ルクスで揃っていないことまで書いた。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
手元は明るいのに、机の奥に広げた資料や、キーボードの脇に置いた紙は同じようには見えない——ということがあります。仕様表に戻っても、明るさの欄にあるのは「LEDスタンド照度JIS:AA形」の一行だけで、数字が1つも入っていません。
AA形は、机の上のどこかで最低これだけは出る、ということを言っています。問題は、その「どこか」が机のどこなのかです。
この記事が答えるのは1つだけです。AA形が下限として約束している250ルクスは、机のどこを測った値なのか。 AA形は明るさの上限を決めないと読み解いた比較記事のほうは、同じ1台が直下で2200ルクス、AA形の判定点で250ルクス以上を満たしていて、その比が8.8倍になる、という上限側の話でした。ここで見るのは反対側、下限が机のどこに置かれているのかです。2026年9月時点の公表値で並べ直します。
AA形を名乗る書き方は3通りあって、場所を書くのは1社だけ
まず、5製品がJIS形の欄に何を書いているかを並べます。
| 製品 | JIS形の欄の書き方 | 判定の場所についての記述 |
|---|---|---|
| オーム電機 ODS-LDC6K-W | 机上面照度:AA形(JIS C8112:2014)準拠 | 記載なし |
| パナソニック SQ-LC570-W | LEDスタンド照度JIS:AA形 | 半径50cmを250 lx以上(商品ページの注釈) |
| 山田照明 Z-108NB | 明るさJIS-AA相当(2つある公式ページの片方だけ) | 記載なし |
| サンワダイレクト 800-LED090 | 記載なし | 記載なし |
| BenQ ScreenBar Halo | 記載なし | 照明範囲(500Lux) 63cm x 40cm(JISとは別の書き方) |
「準拠」「AA形」「相当」の3通りに割れていて、判定の場所に触れているのはパナソニックの1社だけです。規格番号まで書くオーム電機も、書いているのは番号であって場所ではありません。
そのパナソニックの一文はこうです。「AA形は半径50cmを250 lx以上でより明るく照らすことができます」。比較記事ではこれを「半径50cmの円周上で250ルクスを下回らない」と読みましたが、原文は「半径50cmを」としか書いていません。 円周のことなのか円の内側のことなのか、全周なのか一部なのかは、この一文だけでは決まらない。
判定点を数字で書いた仕様表は、今回の5点の外に1つある
その読みを裏から支える資料が1つあります。アイリスオーヤマ LDL-501 の仕様表です。ただしこの製品はAmazonに扱いが無く、今回の5点からは落ちています。 買える先が無いので、ここで引くのは仕様表の書き方だけです。
| 仕様表の行のラベル | 値 |
|---|---|
| JIS照度 | AA形相当 |
| 光源中心直下を中心とする手前側半径30cmの1/3円周上 | 650lx |
| 光源中心直下を中心とする手前側半径50cmの1/3円周上 | 250lx |
行のラベルのほうが値より長い。 条件が3つ入っています。円の中心は光源の真下、円周の手前側、しかも円周の3分の1(角度でいえば120度ぶん)です。
250という数字はパナソニックの解説と一致します。ただしこの2つが同じ条件を指しているとは、どちらの資料にも書かれていません。 この仕様表の欄も「AA形相当」で、AA形そのものだとは名乗っていない。ここで言えるのは、AA形あるいはAA形相当を名乗る製品が、半径50cmの点で250ルクスという値を出しているというところまでです。
30cmと50cmのあいだで、照度は2.6分の1になる
判定点が2つ並んでいるので、そのあいだで照度がどれだけ落ちてよいのかが出ます。
650 ÷ 250 = 2.6倍。 半径が30cmから50cmへ1.67倍になると、判定点の照度は2.6分の1になる。比較記事が出したのは中心(直下)と半径50cmのあいだの8.8倍だけで、その中間にあたる650ルクスは一度も出ていません。
参考までに、水平距離が1.67倍になったときの逆二乗則は (50 ÷ 30)² = 2.78倍です。実際の2.6倍と近い値になります。ただしこれは机の上の水平距離であって、光源からの距離ではありません。 光源の高さが公表されていないので、そこから先は追えない。近い値になる、というところで止めます。
「500ルクスで63×40cm」と「半径50cmで250ルクス」は並べられない
面の広さを書くもう1つの流儀が、BenQの「照明範囲(500Lux)|63cm x 40cm」です。カタログの上ではどちらも「これだけの広さを照らせます」に見えますが、面積に直すと、そう読めない理由が出てきます。
| 面の書き方 | 面積 | しきい値 |
|---|---|---|
| BenQ 照明範囲 63cm × 40cm | 2520cm² | 500ルクス |
| 半径50cmの円(π×50²) | 約7854cm² | 250ルクス |
面の広さは 7854 ÷ 2520 = 3.1倍。 ところが明るさの条件のほうが2倍違うので、この3.1倍は「3.1倍広く照らせる」という意味になりません。 しきい値を下げれば、同じ器具でも面は広く書けます。
しかも、この2つは性格が違います。500のほうは、同社が「作業エリアでは500ルクスを目安に、オフィス空間全体では300〜1000ルクスの範囲が推奨されます」と目安として掲げている値です(自動調光が保とうとする目標も同じ500ルクス)。250のほうは等級の合否ライン。目標値と、下回ってはいけない線が、同じ「照らせる範囲」の欄に並んでいます。
もう一点。半径50cmの円は直径1mです。奥行60cm前後の天板なら、円の前後方向は机からはみ出します。「半径50cmを明るく照らす」と書いてあっても、その円のうちどれだけが自分の天板に載るかは、光源を机のどこに置くかで変わります。
同じ会社の中でも、面は2つある
面の書き方が揃わないのは、社をまたいだときだけではありません。
BenQは世代で面が動いています。ScreenBar Halo の 63 × 40cm = 2520cm² に対して、後継機は 85 × 50cm = 4250cm² で 1.69倍。中央照度のほうは、比較記事が45cmに揃えて出した1235ルクスと800ルクスで1.54倍でした。中央が1.54倍、面が1.69倍。 単純に「同じ配光のまま明るくなった」ではないとみられます。ただし面の側は片方が45cm、もう片方が50cmで測った値なので、どちらがどう変わったのかは決められません。
さらに同社のトップページには、「社内ラボ試験では、40×50cm の測定面で理想値『1』に近い高い均一性を確認しました」という別の面が出てきます。40 × 50cm = 2000cm² で、照明範囲の 63 × 40cm とは別の面。しかもこちらにはしきい値のルクスが付いていません。同じ会社の同じ製品群に、目的の違う面が2種類あるということです。
レビューは、同じAA形の2製品で逆に出ている
購入者の指摘を、AA形を名乗るかどうかで並べ直すと、対応していないことが分かります。
- パナソニック(AA形) — 広めのテーブルでは中央まで光が届きにくい、という指摘が出ています
- オーム電機(AA形) — 照射範囲が広くて手元や足元まで照らせる、影ができにくい、という声が出ています
- 山田照明(AA相当) — 照射範囲が広い、部屋全体を明るくできる、という声が出ています
- BenQ(JIS形を名乗らない) — 部屋が暗めだと感じる、照射範囲をもっと狭く調整できるとよい、という要望が出ています
同じAA形の2製品で、範囲の評価が正反対に出ている。 等級が下限の合否である以上、これは矛盾ではありません。下限を満たしたうえでどこまで上に出るかを等級は決めておらず、照らしたい範囲の広さも読者ごとに違うからです。半径50cmの円に収まる作業をしている人と、その外に紙を広げる人では、同じ1台の評価が逆になります。
では、何を見ればいいのか
1. 面が「半径」で書かれているか、「縦×横」で書かれているか — 半径は円、縦横は長方形です。同じ面積でも形が違うので、そのままでは重ならない。
2. その面にしきい値が付いているか — 500ルクスなのか、250ルクスなのか、書かれていないのか。しきい値の無い面は、他社の面と並べられません。
3. 「手前側」「円周上」の条件が付いているか — 今回の5製品では、この条件を書いた製品はありません。書いていたのは、5点の外にある1製品の仕様表だけでした。
4. 等級の語を、同じものとして扱わない — 「準拠」「AA形」「相当」の3通りがあり、同じことを言っているかは検証されていません。
買う前にやること
順番にやってください。机の側を測る作業なので、製品が届く前にできます。
- 照らしたい範囲の実寸を測る — A4用紙は297 × 210mm、キーボードは自分のものの幅を測ります。実際に置く配置のまま、いちばん外側までの寸法を取る
- 光源の直下を机のどこに置くつもりかを決める — クランプ式なら天板の縁、ベース置きなら土台を置ける場所。ここが円の中心になります
- 中心から、照らしたい範囲のいちばん遠い端までの水平距離を測る — 50cmを超えるなら、AA形の記述はその外側について何も言っていません
- 仕様表の面の欄を、しきい値ごと書き写す — 「63×40cm」ではなく「照明範囲(500Lux) 63cm x 40cm」まで。しきい値を落とすと、別の条件の面と並んでしまいます
- 中心の照度と、JIS形の欄を別々に読む — 直下の照度とAA形の判定点は同じ場所の数字ではないと分けた比較記事に、5製品ぶんの照度と測定距離を並べてあります
「AA形」は、机の上の決められた場所での下限を満たしたという合否です。その場所を数字で書いた資料は、今回調べた範囲では5点の外に1つしかありませんでした。 半径30cmで650ルクス、半径50cmで250ルクス、どちらも手前側の円周の3分の1。この条件の細かさが、5製品の仕様表からは丸ごと落ちている——2026年9月時点の公表値から言えるのは、ここまでです。