HOW TO CHOOSE
空気清浄機空気清浄機の畳数は天井何mの数字か|新旧の適用床面積を部屋の容積に戻して読む
この記事で分かること
公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。
空気清浄機の適用床面積を、JEM1467の新旧の定義の文から部屋の容積(m³)に戻して読み直した。天井が2.4mではない部屋で畳数を当てようとしている人に向けて、天井高を書く資料が5社中2社とJEMAの一覧だけであることと、天井高で割り直すと同じ機械の床面積がどう動くかを、途中式つきで示した。
THE REASON BEHIND THE CHOICE
公表資料から、疑問を読み解く。
公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。
目次
リビングの天井が少し高い。空気清浄機の商品ページで「~31畳」を見て部屋の畳数と比べようとすると、手が止まります。畳は床の広さなのに、部屋の空気の量は天井の高さでも変わるからです。
畳数のもとになる業界規格(JEM1467)の定義の文を式にすると、決まるのは床面積ではなく**部屋の容積(m³)**でした。では畳数は天井何mで割った数字で、自分の部屋の天井高ならどう読み替わるのか。
5製品の畳数を規格の版と物差しで並べ直した比較記事は、同じ機械の畳数が規格の改正で31から19に変わるところまでを扱いました。ここではその畳数を m³ に戻します。使うのは2026年9月時点の公表資料と、比較記事で使った新旧の定義の文だけで、実機で確かめた数字はありません。
天井高を書いているのは、5社中2社と JEMA の一覧だけ
| 資料 | 天井高の記載 | どの広さの説明か |
|---|---|---|
| パナソニック F-PX70C(特長の注記) | 天井の高さ2.4mで算出 | 旧定義(30分で清浄できる広さ) |
| ブルーエア(CADR 解説ページ) | 2.4m(JEM1467の説明)/約2.4m(推奨フロア面積の説明) | 旧定義と AHAM の推奨フロア面積 |
| JEMA 認証製品一覧の凡例 | 天井高さ2.5mで算出 | 新定義(80%低減できる広さ) |
| ダイキン MCK706A | 記載なし | 畳数はあるが天井高に触れない |
| シャープ KI-TX70 | 記載なし | 畳数はあるが天井高に触れない |
| Levoit Core 300S | 記載なし | 畳数はあるが天井高に触れない |
パナソニックの新旧比較表は、試験粒子や評価方法の行を持ちながら、天井高の行を持っていません。
旧基準の31畳は、122.4m³を2.4mで割った数字
改正前の定義は、シャープが仕様ページに載せている文です ―「自然換気回数1(1回/時間)の条件において、粉じん濃度1.25mg/m³の空気の汚れを30分で…0.15mg/m³まで清浄できる部屋の大きさ」。30分で初期の12%まで、ということです。部屋の空気がよく混ざっていると置いて式にします。
- 濃度が指数で減ると置くと、30分で12%までの減る速さは1時間あたり ln(1/0.12) ÷ 0.5 = 約4.24(ln は自然対数)
- 自然換気のぶん1を引くと、清浄機が受け持つのは約3.24
- 清浄機が1時間に出すきれいな空気の量 ÷ 部屋の容積 = 3.24
式に出てくるのは容積だけで、天井高は入っていません。 m² にするには天井高を決めて割る必要があり、逆にたどれば公表の広さを容積に戻せます。
| 公表の広さ(旧定義) | 掛ける天井高 | 容積 |
|---|---|---|
| 31畳(51m²)… ダイキン・シャープ・パナソニック旧基準 | 2.4m | 122.4m³ |
| シャープ KI-TX70 加湿空気清浄時 29畳(48m²) | 2.4m | 115.2m³ |
| ブルーエア Blue Max 3250i 22畳(37m²) | 2.4m | 88.8m³ |
ダイキンとシャープの行の2.4mは、パナソニックとブルーエアの記載を借りた仮定です。 両社がこの高さで算出したとは書かれていません。ブルーエアの37m²は公表の CADR から再現できない数字でしたが(比較記事の基準2)、ここでは公表の広さをそのまま戻しています。
比較記事の清浄時間の節も天井2.4mを置いて8畳の分数を再現しましたが、あの計算は畳数の部屋と8畳の部屋に同じ天井高を置くので、高さが打ち消し合い、31畳なら2.2mでも3.0mでも同じ9.4分になります。 分数が合ったことは、2.4mで算出した裏付けにはなりません。
新基準は「CADR ÷ 4.8」で容積が決まる
改正後の定義は JEMA の認証制度ページの文で、沈着率0.2/h・換気回数1回/hの条件で、運転したときの定常状態の粉じん濃度を運転しないときから「80%低減するまで清浄できる部屋の大きさ」。同じ置き方で式にします。
- 汚れが一定の量で出続ける部屋では、定常状態の濃度は汚れを減らす速さに反比例する
- 運転しないとき減らすのは沈着と換気で 0.2 + 1 = 1.2(1時間あたり)。運転すると CADR ÷ 容積 が足される
- 濃度が5分の1(80%低減)になる条件は (1.2 + CADR÷容積) ÷ 1.2 = 5
- したがって 容積 = CADR ÷ 4.8
パナソニック F-PX70C の CADR(集じん)378m³/h なら78.75m³。JEMA の一覧の凡例どおり天井2.5mで割ると31.5m²で、一覧の表示「31 m2」、パナソニックの新基準「19畳(31㎡)」と合います。比較記事のパナソニックの読み解きにある「CADR ÷ 12」は、4.8に天井高2.5を掛けた数です。部屋の天井が違えば、12のうち2.5だけが入れ替わります。
同じ F-PX70C が、旧基準では122.4m³、新基準では78.75m³の部屋の数字になります。ただし「30分で12%」と「定常で80%低減」という別の定義の容積なので、割って係数にはしません。
天井高で割り直すと、同じ容積に当たる床面積が動く
| 天井高 | 旧基準31畳(122.4m³) | 新基準 F-PX70C(78.75m³) |
|---|---|---|
| 2.4m | 51.0m²(パナソニック・ブルーエアの高さ) | 約32.8m² |
| 2.5m | 約49.0m² | 31.5m²(JEMA 一覧の高さ) |
| 2.7m | 約45.3m² | 約29.2m² |
| 3.0m | 40.8m² | 約26.3m² |
天井が2.4mから3.0mになると、同じ容積に当たる床面積は2割減ります(2.4÷3.0=0.8)。2.7mなら0.89倍。比較記事で見た1畳あたり1.62〜1.68m²で割ると、45.3m²は27〜28畳、40.8m²は24〜25畳ほどです。
2.4mと2.5mの行からも読めることがあります。新基準の31.5m²は、旧基準と同じ2.4mで割っていれば約32.8m²でした。 割る高さの違いだけで約4%小さく出ています(2.4÷2.5=0.96)。F-PX70C の51m²と31m²の差の大部分は定義と試験の側にありますが、天井高の前提の差もその中に混ざっています。
ブルーエアの係数1.55を逆算すると、天井は約2.46m
ブルーエアの CADR 解説ページは「推奨フロア面積 = 煙 CADR 値 x 1.55」の前提を、天井高約2.4m・自然換気1回/時・80%までの減少率・1時間あたり4.8回と書いています。80%と4.8回は、新基準の式と同じ数字です。 比較記事は、218.55が平方フィートで約20.3m²になること、同じ CADR を新基準の式(天井2.5m)に当てても約20m²になることまでを書きました。ここでは逆に、1.55から天井高を取り出します。
- 煙 CADR 141cfm = 毎時約239.6m³、÷4.8 で容積 約49.9m³
- 218.55平方フィート = 約20.30m²
- 天井高 = 49.9 ÷ 20.30 = 約2.46m
係数だけでも同じで、1.55 = 60(毎分を毎時に)÷ 4.8 ÷ 天井高(フィート)と置くと約8.06フィート、約2.46mです。1.55は、4.8回と天井高を1つにまとめた係数と読めます。 なお、この約49.9m³は AHAM の試験の CADR から出た値で、パナソニックの78.75m³とは試験の粒子も部屋も違うため、大小では並べられません。
購入者レビューは、畳数には触れても天井には触れていない
対応する畳数の大きさを挙げて評価する声は、パナソニック(31畳)、シャープ(31畳)、ブルーエア(22畳)で出ていました。一方で、天井の高さや部屋の形に触れた指摘は、今回集めた5製品のレビューに1つもありません。 読み替えが要る場面があるかは、レビューからは確かめられませんでした。
では、何を見ればいいのか
- 畳数の説明に天井高が書いてあるか — 書いていない製品に当てる高さは、借りた仮定になります
- 新旧どちらの定義の畳数か — 式も割る高さも違います。版の見分け方は比較記事の基準1にあります
- CADR があるなら、どの条件と組になった値か — ÷4.8 が使えるのは、80%低減・4.8回/時と組になった値です。規格も粒子も書かれていない Levoit Core 300S の260m³/hには当てていません(旧基準の式に当てると商品ページの33㎡と合うことは、比較記事で見ました)
- 畳と m³ の対応を資料に頼らない — ブルーエアの解説ページは、約28.4m³と22m³の試験空間をどちらも6畳と呼んでいます
部屋の広さを m³ で控える
比較記事の「買ったあと、最初にやること」は、部屋の広さを m² で控える6番で終わっていました。その先に天井高を足します。
- 床面積を m² で出す — 畳で覚えているなら、1畳1.62〜1.68m²の幅があります。この幅は社をまたぐ差だけでなく、1台の中でも起きていて、ダイキン MCK706A は空気清浄が51÷31=1.65m²/畳なのに、加湿の広さは1.67〜1.68m²/畳です(加湿の広さを加湿量で割り直した記事)
- 天井高を測る — 天井が部屋の端から端まで一方向に傾いているなら、低い側と高い側の平均を高さにします
- 床面積 × 天井高で容積にする — 12畳を19.8m²(1畳1.65m²)とすると、天井2.4mで約47.5m³、2.7mで約53.5m³
- 旧基準の畳数は m² × 2.4 で容積に戻す — 31畳(51m²)なら122.4m³。天井高を書いていない製品では借りた仮定です
- 新基準の畳数は m² × 2.5 で戻す — F-PX70C の31m²なら77.5m³。CADR から ÷4.8 で出すと78.75m³で、差は JEMA 一覧が31.5m²を31と表示したぶんです。JEMA 一覧に載っていない製品では、2.5も借りた仮定になります
- 部屋の容積は、同じ定義の数字とだけ並べる — 旧基準と新基準の容積は別の物差しです。どちらと並べたかを書き添えておくと取り違えません
- その容積は最大の段で運転したときの数字だと覚えておく — シャープは「適用床面積は風量「強」で運転したときの面積です」、ダイキンは「(風量「ターボ」時)」と注記しています。ふだん回す段の風量は、パナソニックの中が最大の37%、シャープの中が67%と社によって割れます(真ん中の段を同じ社の風量で読み直した記事)
畳数は床の広さの顔をしていますが、決まっているのは容積で、割る天井高は書いている資料でも2.4mと2.5mに割れていました。部屋を m³ で持っておくと、天井高の書かれていない数字にも、自分がどこに仮定を置いたのかが残ります。