HOW TO CHOOSE

空気清浄機

空気清浄機の畳数は天井何mの数字か|新旧の適用床面積を部屋の容積に戻して読む

mono-buzz 編集部

この記事をシェア

この記事で分かること

公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。

空気清浄機の適用床面積を、JEM1467の新旧の定義の文から部屋の容積(m³)に戻して読み直した。天井が2.4mではない部屋で畳数を当てようとしている人に向けて、天井高を書く資料が5社中2社とJEMAの一覧だけであることと、天井高で割り直すと同じ機械の床面積がどう動くかを、途中式つきで示した。

THE REASON BEHIND THE CHOICE

公表資料から、疑問を読み解く。

公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。

定義の文から戻した部屋の容積を、天井高2.4m・2.5m・2.7m・3.0mで割り直した床面積を横棒で並べた図。旧基準の31畳は122.4m³で、51.0m²・49.0m²・45.3m²・40.8m²と縮み、新基準のパナソニック F-PX70C は CADR 378÷4.8で78.75m³、32.8m²・31.5m²・29.2m²・26.3m²と縮み、2.5mの31.5m²がJEMA一覧の表示31 m2(19畳)に当たる。天井が2.4mから3.0mになると同じ容積に当たる床面積は2割減り、旧基準の説明は2.4m、新基準のJEMA一覧は2.5mで算出と書き、割る高さそのものが違うので、同じ容積でも2.5mで割るほうが約4%小さく出る。天井高を書いているのはパナソニック・ブルーエア・JEMA一覧だけで、ダイキン・シャープ・Levoitは記載がない
目次

リビングの天井が少し高い。空気清浄機の商品ページで「~31畳」を見て部屋の畳数と比べようとすると、手が止まります。畳は床の広さなのに、部屋の空気の量は天井の高さでも変わるからです。

畳数のもとになる業界規格(JEM1467)の定義の文を式にすると、決まるのは床面積ではなく**部屋の容積(m³)**でした。では畳数は天井何mで割った数字で、自分の部屋の天井高ならどう読み替わるのか。

5製品の畳数を規格の版と物差しで並べ直した比較記事は、同じ機械の畳数が規格の改正で31から19に変わるところまでを扱いました。ここではその畳数を m³ に戻します。使うのは2026年9月時点の公表資料と、比較記事で使った新旧の定義の文だけで、実機で確かめた数字はありません。

天井高を書いているのは、5社中2社と JEMA の一覧だけ

資料天井高の記載どの広さの説明か
パナソニック F-PX70C(特長の注記)天井の高さ2.4mで算出旧定義(30分で清浄できる広さ)
ブルーエア(CADR 解説ページ)2.4m(JEM1467の説明)/約2.4m(推奨フロア面積の説明)旧定義と AHAM の推奨フロア面積
JEMA 認証製品一覧の凡例天井高さ2.5mで算出新定義(80%低減できる広さ)
ダイキン MCK706A記載なし畳数はあるが天井高に触れない
シャープ KI-TX70記載なし畳数はあるが天井高に触れない
Levoit Core 300S記載なし畳数はあるが天井高に触れない

パナソニックの新旧比較表は、試験粒子や評価方法の行を持ちながら、天井高の行を持っていません。

旧基準の31畳は、122.4m³を2.4mで割った数字

改正前の定義は、シャープが仕様ページに載せている文です ―「自然換気回数1(1回/時間)の条件において、粉じん濃度1.25mg/m³の空気の汚れを30分で…0.15mg/m³まで清浄できる部屋の大きさ」。30分で初期の12%まで、ということです。部屋の空気がよく混ざっていると置いて式にします。

  • 濃度が指数で減ると置くと、30分で12%までの減る速さは1時間あたり ln(1/0.12) ÷ 0.5 = 約4.24(ln は自然対数)
  • 自然換気のぶん1を引くと、清浄機が受け持つのは約3.24
  • 清浄機が1時間に出すきれいな空気の量 ÷ 部屋の容積 = 3.24

式に出てくるのは容積だけで、天井高は入っていません。 m² にするには天井高を決めて割る必要があり、逆にたどれば公表の広さを容積に戻せます。

公表の広さ(旧定義)掛ける天井高容積
31畳(51m²)… ダイキン・シャープ・パナソニック旧基準2.4m122.4m³
シャープ KI-TX70 加湿空気清浄時 29畳(48m²)2.4m115.2m³
ブルーエア Blue Max 3250i 22畳(37m²)2.4m88.8m³

ダイキンとシャープの行の2.4mは、パナソニックとブルーエアの記載を借りた仮定です。 両社がこの高さで算出したとは書かれていません。ブルーエアの37m²は公表の CADR から再現できない数字でしたが(比較記事の基準2)、ここでは公表の広さをそのまま戻しています。

比較記事の清浄時間の節も天井2.4mを置いて8畳の分数を再現しましたが、あの計算は畳数の部屋と8畳の部屋に同じ天井高を置くので、高さが打ち消し合い、31畳なら2.2mでも3.0mでも同じ9.4分になります。 分数が合ったことは、2.4mで算出した裏付けにはなりません。

新基準は「CADR ÷ 4.8」で容積が決まる

改正後の定義は JEMA の認証制度ページの文で、沈着率0.2/h・換気回数1回/hの条件で、運転したときの定常状態の粉じん濃度を運転しないときから「80%低減するまで清浄できる部屋の大きさ」。同じ置き方で式にします。

  • 汚れが一定の量で出続ける部屋では、定常状態の濃度は汚れを減らす速さに反比例する
  • 運転しないとき減らすのは沈着と換気で 0.2 + 1 = 1.2(1時間あたり)。運転すると CADR ÷ 容積 が足される
  • 濃度が5分の1(80%低減)になる条件は (1.2 + CADR÷容積) ÷ 1.2 = 5
  • したがって 容積 = CADR ÷ 4.8

パナソニック F-PX70C の CADR(集じん)378m³/h なら78.75m³。JEMA の一覧の凡例どおり天井2.5mで割ると31.5m²で、一覧の表示「31 m2」、パナソニックの新基準「19畳(31㎡)」と合います。比較記事のパナソニックの読み解きにある「CADR ÷ 12」は、4.8に天井高2.5を掛けた数です。部屋の天井が違えば、12のうち2.5だけが入れ替わります。

同じ F-PX70C が、旧基準では122.4m³、新基準では78.75m³の部屋の数字になります。ただし「30分で12%」と「定常で80%低減」という別の定義の容積なので、割って係数にはしません。

天井高で割り直すと、同じ容積に当たる床面積が動く

天井高旧基準31畳(122.4m³)新基準 F-PX70C(78.75m³)
2.4m51.0m²(パナソニック・ブルーエアの高さ)約32.8m²
2.5m約49.0m²31.5m²(JEMA 一覧の高さ)
2.7m約45.3m²約29.2m²
3.0m40.8m²約26.3m²

天井が2.4mから3.0mになると、同じ容積に当たる床面積は2割減ります(2.4÷3.0=0.8)。2.7mなら0.89倍。比較記事で見た1畳あたり1.62〜1.68m²で割ると、45.3m²は27〜28畳、40.8m²は24〜25畳ほどです。

2.4mと2.5mの行からも読めることがあります。新基準の31.5m²は、旧基準と同じ2.4mで割っていれば約32.8m²でした。 割る高さの違いだけで約4%小さく出ています(2.4÷2.5=0.96)。F-PX70C の51m²と31m²の差の大部分は定義と試験の側にありますが、天井高の前提の差もその中に混ざっています。

ブルーエアの係数1.55を逆算すると、天井は約2.46m

ブルーエアの CADR 解説ページは「推奨フロア面積 = 煙 CADR 値 x 1.55」の前提を、天井高約2.4m・自然換気1回/時・80%までの減少率・1時間あたり4.8回と書いています。80%と4.8回は、新基準の式と同じ数字です。 比較記事は、218.55が平方フィートで約20.3m²になること、同じ CADR を新基準の式(天井2.5m)に当てても約20m²になることまでを書きました。ここでは逆に、1.55から天井高を取り出します。

  • 煙 CADR 141cfm = 毎時約239.6m³、÷4.8 で容積 約49.9m³
  • 218.55平方フィート = 約20.30m²
  • 天井高 = 49.9 ÷ 20.30 = 約2.46m

係数だけでも同じで、1.55 = 60(毎分を毎時に)÷ 4.8 ÷ 天井高(フィート)と置くと約8.06フィート、約2.46mです。1.55は、4.8回と天井高を1つにまとめた係数と読めます。 なお、この約49.9m³は AHAM の試験の CADR から出た値で、パナソニックの78.75m³とは試験の粒子も部屋も違うため、大小では並べられません。

購入者レビューは、畳数には触れても天井には触れていない

対応する畳数の大きさを挙げて評価する声は、パナソニック(31畳)、シャープ(31畳)、ブルーエア(22畳)で出ていました。一方で、天井の高さや部屋の形に触れた指摘は、今回集めた5製品のレビューに1つもありません。 読み替えが要る場面があるかは、レビューからは確かめられませんでした。

では、何を見ればいいのか

  1. 畳数の説明に天井高が書いてあるか — 書いていない製品に当てる高さは、借りた仮定になります
  2. 新旧どちらの定義の畳数か — 式も割る高さも違います。版の見分け方は比較記事の基準1にあります
  3. CADR があるなら、どの条件と組になった値か — ÷4.8 が使えるのは、80%低減・4.8回/時と組になった値です。規格も粒子も書かれていない Levoit Core 300S の260m³/hには当てていません(旧基準の式に当てると商品ページの33㎡と合うことは、比較記事で見ました)
  4. 畳と m³ の対応を資料に頼らない — ブルーエアの解説ページは、約28.4m³と22m³の試験空間をどちらも6畳と呼んでいます

部屋の広さを m³ で控える

比較記事の「買ったあと、最初にやること」は、部屋の広さを m² で控える6番で終わっていました。その先に天井高を足します。

  1. 床面積を m² で出す — 畳で覚えているなら、1畳1.62〜1.68m²の幅があります。この幅は社をまたぐ差だけでなく、1台の中でも起きていて、ダイキン MCK706A は空気清浄が51÷31=1.65m²/畳なのに、加湿の広さは1.67〜1.68m²/畳です(加湿の広さを加湿量で割り直した記事)
  2. 天井高を測る — 天井が部屋の端から端まで一方向に傾いているなら、低い側と高い側の平均を高さにします
  3. 床面積 × 天井高で容積にする — 12畳を19.8m²(1畳1.65m²)とすると、天井2.4mで約47.5m³、2.7mで約53.5m³
  4. 旧基準の畳数は m² × 2.4 で容積に戻す — 31畳(51m²)なら122.4m³。天井高を書いていない製品では借りた仮定です
  5. 新基準の畳数は m² × 2.5 で戻す — F-PX70C の31m²なら77.5m³。CADR から ÷4.8 で出すと78.75m³で、差は JEMA 一覧が31.5m²を31と表示したぶんです。JEMA 一覧に載っていない製品では、2.5も借りた仮定になります
  6. 部屋の容積は、同じ定義の数字とだけ並べる — 旧基準と新基準の容積は別の物差しです。どちらと並べたかを書き添えておくと取り違えません
  7. その容積は最大の段で運転したときの数字だと覚えておく — シャープは「適用床面積は風量「強」で運転したときの面積です」、ダイキンは「(風量「ターボ」時)」と注記しています。ふだん回す段の風量は、パナソニックの中が最大の37%、シャープの中が67%と社によって割れます(真ん中の段を同じ社の風量で読み直した記事)

畳数は床の広さの顔をしていますが、決まっているのは容積で、割る天井高は書いている資料でも2.4mと2.5mに割れていました。部屋を m³ で持っておくと、天井高の書かれていない数字にも、自分がどこに仮定を置いたのかが残ります。

次のステップ

条件が分かったら、製品を比較。

各製品の対応条件と注意点を確認して、候補を絞りましょう。

空気清浄機の比較を見る →

読み終えたあとに

  • 自分の部屋を m³ で控えられても、候補の畳数が新旧どちらの定義の数字なのかが商品ページから読み取りにくく、2.4mと2.5mのどちらで容積に戻せばよいかで止まることがあります。

    空気清浄機5製品の比較

    5製品の畳数は、新旧の併記・版を書くが畳数の行に付かない・版の記載なし・規格名なしと書き方が割れていて、どちらの式で容積に戻すかはそこで決まります。

    5製品の畳数を、どの版の規格で数えたかと、1台に並ぶ別の物差しの広さから並べ直しています。

  • 同じ部屋で除湿機も使うなら、その仕様表の「木造○畳・鉄筋○畳」も、能力の数字を係数で面積に直しただけの広さなのかが気になることがあります。

    除湿機7製品の比較

    除湿機7製品では、面積を L/日 で割ると木造は約2.1、鉄筋は約4.15にそろい、係数を2つに分けていたのは建物の造りのほうでした。

    除湿機7製品の除湿可能面積を除湿能力で割り直し、畳数の列が能力の列の言い換えになっていることを示しています。

部屋の容積は、候補を絞る前でも床面積と天井高から出して控えておけます。この時点で1台に決めなくても構いません。

この記事をシェア

運営者

mono-buzz 編集部

メーカーの公開仕様と購入者レビューを読み込み、各社で書き方の揃わない数字を同じ条件に並べ直しています。実機は持たないため、使用感はレビューに共通する指摘として扱い、価格は目安を示し、最新の金額は販売先で確認していただく形にしています。