HOW TO CHOOSE

電子レンジ

消費電力1350Wのレンジは、850Wより電気を食うのか|年間消費電力量の行で比べ直す

mono-buzz 編集部

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この記事で分かること

公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。

単機能電子レンジ5製品の消費電力(W)と年間消費電力量(kWh/年)を突き合わせた。電気の量で選びたい人に向けて、消費電力は約1.6倍開くのに年間量は約1.02〜1.05倍しか開かず順位もそろわないこと、待機時を含むかで値が変わることを公表値から整理した。

THE REASON BEHIND THE CHOICE

公表資料から、疑問を読み解く。

公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。

単機能電子レンジ5製品の消費電力と、電子レンジ機能の年間消費電力量を、どちらも0から目盛って左右に並べた横棒グラフ。消費電力はアイリスオーヤマ850W(50Hz)/1150W(60Hz)、山善とツインバードは900W/1200W、MAXZENは約1100W、東芝は1350Wで、最小と最大は約1.6倍開くが、年間消費電力量は57.1〜60.1kWh/年で約1.05倍(MAXZENを比較記事と同じ50Hz用の型番にそろえると58.8〜60.1kWh/年で約1.02倍)しか開かず、棒の長さがほぼそろう。消費電力が最大の東芝は59.9kWh/年で、最小のアイリスオーヤマの60.1kWh/年より少ない。山善は60.03と59.93、MAXZENは50Hz用58.8と60Hz用57.1、ツインバードは59.1に待機時0.9を足して合計60.0で、待機時は合計の約1.5%
目次

仕様表を見比べていて、東芝 ER-S17ZB の「定格消費電力 1350W」に目が止まる。アイリスオーヤマ PMG-T179 は850W。1.5倍以上の数字です。毎日使うものだから、電気もそのぶん多く使うのではないか。

この記事の問いは1つです。消費電力(W)が大きいレンジは、使う電気の量も多いのか。電気の量を比べるなら、どの行を見ればいいのか。

先に答えると、この5製品では消費電力の大きさと電気の量は並びません。電気の量を比べる行は年間消費電力量で、そこでは5製品がほぼ横に並びます。

数字は2026年9月時点のメーカー公表値です。実機は持っていないので、書けるのは公表値どうしの突き合わせまでです。

仕様表の2つの行を並べる

単機能レンジ5製品の比較記事で扱った5製品の、消費電力と年間消費電力量です。

製品消費電力電子レンジ機能の年間消費電力量年間量の周波数の書き方
アイリスオーヤマ PMG-T179850W(50Hz)/1150W(60Hz)60.1kWh/年1値だけ。周波数の別は書かれていない
山善 YRM-HF171900W(50Hz)/1200W(60Hz)60.03(50Hz)/59.93(60Hz)kWh/年1つの型番で2値
ツインバード DR-E273B900W(50Hz)/1200W(60Hz)59.1kWh/年1値だけ。周波数の別は書かれていない
MAXZEN JM17AGZ01/JM17BGZ01約1100W(2型番共通)58.8(50Hz用)/57.1(60Hz用)kWh/年型番ごとに1値
東芝 ER-S17ZB1350W(13.9A)59.9kWh/年1値だけ。周波数の別は書かれていない

年間量は「電子レンジ機能」の行にそろえた

年間消費電力量は、各社の仕様表で「電子レンジ機能の年間消費電力量」と「年間待機時消費電力量」、その合計の3行に分かれています。待機時が0.0kWh/年でないのはツインバードだけで、ほかの4製品は電子レンジ機能の値と合計が同じです。

ツインバードは、電子レンジ機能59.1+待機時0.9=合計60.0kWh/年。ただし59.1は取扱説明書にだけあり、公式ストアの商品ページは合計の60.0と待機時の0.9しか書いていません。商品ページだけで見比べると、ツインバードだけ待機時込みの値で並ぶことになります。 上の表は5製品とも電子レンジ機能の値にそろえました。

東芝とアイリスオーヤマは、省エネ法の特定機器「電子レンジ」の測定方法による数値だと仕様表に注記しています。ほかの3社も含めて5製品とも「区分名 A」を併記していて(東芝は区分名も同法に基づくと書いています)、各社の書き方が割れる消費電力の行と違い、同じ物差しに載せようとしている行と読めます。

消費電力の開きと、年間量の開きを並べる

消費電力は約1.6倍、年間量は約1.02〜1.05倍

消費電力は、最小がアイリスオーヤマの850W(50Hzの値)、最大が東芝の1350W。1350÷850で約1.6倍です。ただし東芝の1350Wは周波数を書き分けていない1値なので、同じ周波数どうしの比ではありません。60Hzの値と周波数を分けない値(1100〜1350W)だけで見ても約1.23倍の開きがあります。

年間消費電力量は57.1〜60.1kWh/年。開きは3.0kWh、比にして約1.05倍です。ただし最小の57.1はMAXZENの60Hz用の型番 JM17BGZ01 の値です。比較記事で扱った50Hz用の JM17AGZ01(58.8)にそろえると、58.8〜60.1kWh/年で開きは1.3kWh、約1.02倍まで縮みます。

順位もそろわない

消費電力が最も大きい東芝は59.9kWh/年で、最も小さいアイリスオーヤマの60.1kWh/年より少ない。 50Hzの値で並べると消費電力が2番目に大きいMAXZEN(約1100W)は、年間量では5製品で最も少ない側にいます(60Hzの値で並べると、MAXZENの約1100Wは5製品で最も小さくなります)。消費電力の大小を並べ替えても、年間量の大小にはなりません。

周波数や型番で分けると、消費電力と年間量の動きがそろわない

周波数で消費電力を書き分ける製品で見ると、もっとはっきりします。

  • 山善 — 60Hzでは消費電力が900Wから1200Wへ約1.33倍になるのに、年間量は60.03から59.93kWh/年へ、60Hzのほうがわずかに少ない
  • MAXZEN — 消費電力は2つの型番で共通の約1100Wなのに、年間量は50Hz用58.8、60Hz用57.1kWh/年と1.7kWh違う。消費電力が300W変わる山善の差(0.1kWh)より大きい

待機時の0.9kWhは、開きの内側に収まる

ツインバードの待機時0.9kWh/年は、合計60.0の**約1.5%**です。5製品の年間量の開き(MAXZENを50Hz用にそろえて1.3kWh、60Hz用を含めて3.0kWh)より小さい。

ただ、どちらの行で比べるかで並び順は動きます。合計で比べると、ツインバードの60.0はアイリスオーヤマと山善(50Hz)に次ぐ大きさ。電子レンジ機能の59.1で比べると、MAXZENに次いで小さい。東芝の取扱説明書は、扉を閉めて表示部が消えているときの消費電力を0Wと書いています。ツインバードの待機時が何に使われる電力かは、公表資料に書かれていません。

購入者のレビューは、電気の量には触れていない

電気に触れた声は、どれもコンセント側の話でした。MAXZENで、コンセントの容量を大きく使うのでほかの機器との同時使用に気をつけたい、という趣旨のものが1件。アイリスオーヤマとツインバードで、使用中に電源が落ちたという報告がそれぞれ1件(アイリスオーヤマは漏電ブレーカー、ツインバードは初期不良とみられるもの。どちらも使いすぎで落ちたとは書かれていません。比較記事の「レビューで多かった不満」4で扱いました)。電気代や使用量が多い・少ないという声は、5製品とも見当たりませんでした。

では、何を見ればいいのか

  • 電気の量 — 「電子レンジ機能の年間消費電力量」の行。待機時が0.0でない製品は、合計と混ぜて比べない
  • コンセントやブレーカー — 消費電力(W)の行。一度にどれだけ電気を引くかを表す行です。同じ台所で使う電気ケトルも1000〜1300Wで、レンジと同じ回路で同時に使うかどうかはこちらの行で考えます(電気ケトル5製品の比較記事。ケトルの仕様表には年間消費電力量の行が無いので、年間量での比べ方はケトルには当てはめられません。代わりに満水の時間と消費電力を掛けて1回ぶんを見積もると、1300Wと1000Wの差は約1%の計算でした。公表の電力量ではありません。電気ケトルの消費電力と1回の電気の量)
  • 温まる速さ — 高周波出力の行。消費電力とは別の数字です

この5製品では、年間量の開きがMAXZENの60Hz用の型番を含めても3.0kWh以内に収まるので、電気の量は1台を決める決め手になりにくいと言えます。

仕様表で電気の量を確かめる手順

  1. 仕様表で「W」の行を見分ける — 消費電力と高周波出力は別の行です。MAXZENの取扱説明書も、出力表示はマグネトロンの出力で、消費電力量の表示ではないと断っています
  2. 年間消費電力量の行を探す — 待機時が0.0kWh/年でなければ、合計から引いた電子レンジ機能の値で比べる
  3. 自分の地域の周波数の値を選ぶ — 2値ある製品はその周波数の値を。1値の製品は、周波数を書いていないことを承知のうえで使う
  4. 消費電力(W)は、コンセントの上限との比で見る — 東芝の1350Wが1口の上限のどれだけを使うかと、延長コードを挟まない注意は、比較記事の「レビューで多かった不満」4(ブレーカー)で扱いました
  5. 1台を決めるのは、年間量以外の条件で — 何Hzのときの最高出力か、庫内の短い辺はどれだけかは、5製品の周波数ごとの出力と庫内寸法を並べた比較記事にあります

1350Wと850Wの差は、コンセントから一度に引く電気の差でした。1年に使う電気の量は、別の行に書いてあります。

次のステップ

条件が分かったら、製品を比較。

各製品の対応条件と注意点を確認して、候補を絞りましょう。

電子レンジの比較を見る →

読み終えたあとに

  • 電気の量では差がつきにくいと分かったあとで、住んでいる地域の周波数での最高出力や、庫内の短い辺など、1台を決める別の条件がまだ残っている場合があります。

    単機能電子レンジ5製品の比較

    年間量以外の条件、つまり周波数ごとの出力とコンセントまわりの注意は、比較記事で5製品を並べています。

    周波数ごとの最高出力、タイマーの上限、庫内の短い辺で5製品を並べ直し、状況別の候補も載せています。

  • 冷凍食品の袋の「600W」がコンセント側の消費電力ではなく高周波出力の側だと分かっても、手元のレンジの段で何分にすればいいかは別に計算が要ります。

    冷凍食品の「600W 5分」を手元の段で何分にするか

    袋の表示と同じ「W」は高周波出力の側なので、段が合わないときは出力×時間で割り戻せます。

    袋の「600W 5分」を650W・700W・900Wの段に割り戻した時間と、タイマーを10秒単位で合わせたときの袋との差をまとめています。

年間消費電力量の行は仕様表にいつでも残っているので、ここで1台に決めなくても構いません。

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運営者

mono-buzz 編集部

メーカーの公開仕様と購入者レビューを読み込み、各社で書き方の揃わない数字を同じ条件に並べ直しています。実機は持たないため、使用感はレビューに共通する指摘として扱い、価格は目安を示し、最新の金額は販売先で確認していただく形にしています。