HOW TO CHOOSE

衣類乾燥除湿機

衣類乾燥1回にかかる電力量|7製品をWhにそろえると順位が入れ替わる

mono-buzz 編集部

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この記事で分かること

公表値を読み解いて、選ぶ基準を整理。

衣類乾燥除湿機7製品について、メーカーが公表している1回あたりの電気代を電力量(Wh)に戻して並べ直した。消費電力の小さい機械を選びたい人に向けて、乾燥時間が短い機械ほど1回の電力量が小さいとはかぎらないことと、単価を公表しない社では戻す計算そのものが成り立たないことを示した。

THE REASON BEHIND THE CHOICE

公表資料から、疑問を読み解く。

公開資料に基づく記事です。実機による検証は行っていません。

衣類乾燥1回あたりの消費電力量を7製品ぶん横棒で並べた図。90分かかるパナソニック F-YEX120B が312Whで最も小さく、57分で乾くシャープ CV-TH150 は約710Wh、55分で乾くアイリスオーヤマ IJH-L160 は約668Wh。乾燥時間が短い順と電力量が小さい順は一致していない。コロナ CD-P63A3 は乾燥時間も電気代も公表されておらず、棒が引けない
目次

仕様表の「消費電力 ○○W」は、その瞬間に流れている電力です。乾燥を1回まわすのにかかるのは、そのWに、乾き終わるまでの時間を掛けた量のほうで、単位はWhになります。

7製品の除湿能力と方式を並べた比較記事では、衣類乾燥時の消費電力が715Wと225Wで3倍以上開いていることまで書きました。ただ、その2台は乾燥時間も違います。掛け合わせたらどうなるかは、そこでは出していません。

この記事はそこだけを掘ります。使うのは2026年9月時点のメーカー公表値です。先に結論を書くと、消費電力の順・乾燥時間の順・1回の電力量の順は、どれも一致しませんでした。

円を電力量に戻す。その前に答え合わせをする

メーカーが出しているのはWhではなく円です。シャープ・パナソニック・コロナの3社は、電気代の注記に「電力料金目安単価31円/kWh(税込)[2022年7月改定](家電公取協調べ)」と単価まで書いています。同じ単価なら、円を31で割ればkWhに戻せます。

断っておくと、この31円は各社が横並びの目安として使っている数字で、読者の電気料金ではありません。 ここで使うのは7製品を同じ土俵に載せるためだけです。

戻した値が信用できるかは確かめられます。パナソニックだけが、円(webの仕様表)とWh(取扱説明書 p.21)の両方を公表しているからです。

製品・運転モード取説の総消費電力量webの1回あたりの電気代31円/kWhで戻した値
F-YZX60B 音ひかえめ900Wh27.9円900.0Wh
F-YEX120B 音ひかえめ381Wh11.8円380.6Wh
F-YZX60B 仕上げ、速乾840Wh26.1円841.9Wh
F-YEX120B 速乾・標準312Wh9.9円319.4Wh

上の3行は、ずれが0.3%以内。 音ひかえめの2行は小数点まで合います。勝手な推定ではなく、メーカーが同じ式で出した値の再現です。ただし最後の1行だけ2.4%ずれる。312Whに31円/kWhを掛けると9.7円で、公表の9.9円になりません。取説にWhがある製品は、そちらの値を使います。

7製品の「乾燥1回」を電力量にそろえる

各社が衣類乾燥の最も速いモードとして出している値でそろえました(モード名を公表していない製品もあります)。周波数はいずれも60Hzです。

製品(運転モード)乾燥1回の電力量乾燥時間元にした公表値
パナソニック F-YEX120B(速乾)312Wh90分取説の総消費電力量
シャープ CV-T71(衣類乾燥)約548Wh約167分電気代 約17円
アイリスオーヤマ IJH-L160(速乾)約668Wh55分電気代 20.7円
シャープ CV-TH150(速乾)約710Wh約57分電気代 約22円(梅雨時)
パナソニック F-YZX60B(仕上げ、速乾)840Wh108分取説の総消費電力量
アイリスオーヤマ IJDC-K80(記載なし)約864Wh(上限)72分720W × 72分
コロナ CD-P63A3記載なし記載なし公表なし

乾燥時間の短い順は 55・57・72・90・108・167分。1回の電力量の小さい順は 312・548・668・710・840・864Wh。 2つの並びは、ほぼ逆を向いています。

いちばんはっきり出るのは、ピラー記事で消費電力を比べた2台です。シャープ CV-TH150 が715W・約57分・約710Wh、パナソニック F-YEX120B が225W・90分・312Wh。Wでの3.2倍が、1回の電力量では約2.3倍に縮みます。 時間の差が電力の差を一部打ち消している。ただし打ち消しきってはいません。速く乾く側が、1回で2倍以上使っています。

逆向きの例もあります。シャープ CV-T71 とパナソニック F-YEX120B は1時間あたりの電気代がほぼ同じで(約6.5円/hと7.0円/h・60Hz)、消費電力も210Wと225Wで近い。ところが1回あたりでは約548Whと312Whで1.8倍近く開く。 差は全部、167分と90分という時間から来ています。「1時間あたり」の行と「1回あたり」の行は、別のことを言っています。

平均に直すと、2台が公表値を超える

1回の電力量を乾燥時間で割ると、乾燥中の平均消費電力が出ます。

製品(運転モード)1回の電力量 ÷ 乾燥時間公表されている消費電力
シャープ CV-T71(衣類乾燥)約197W210W(60Hz)
パナソニック F-YEX120B(速乾)約208W225W(60Hz)
パナソニック F-YZX60B(仕上げ、速乾)約467W465W
アイリスオーヤマ IJH-L160(速乾)約728W700W(最大消費電力・60Hz)
シャープ CV-TH150(速乾)約747W715W(60Hz)

上の2台は公表値より6〜8%低く、途中で電力が下がっているとみられます。F-YZX60B はほぼ同じで、パナソニック自身の数字(14.5円/h × 1.8時間 = 公表の26.1円)とも合います。

シャープ CV-TH150 も上回りますが、715Wは室温27℃・湿度60%、乾燥時間と電気代は室温20℃・湿度70%の値です。測っている部屋の温度が違う。 シャープ自身、注記で「室温30℃、湿度60%時の消費電力は665W/700W」と室温による変化を示しているので、食い違いとは言えません。

アイリスだけ、単価が書かれていない

アイリスオーヤマ IJH-L160 の取扱説明書 p.8 には、乾燥にかかる電気代として速乾20.7円・標準16.9円・低騒音27.3円が出ています。ところがこの3つがどの電力料金単価で計算されたのかが、取説にも特設ページにも見当たりませんでした。

他社と同じ31円/kWhで戻すと約668Wh、55分で割ると平均約728W。同じ取説が仕様表に書いている最大消費電力700W(60Hz)を上回ります。 標準(約496W)と低騒音(約394W)は超えないので、速乾の行だけがはみ出す形です。

数字が間違っているという話ではありません。単価が違えば、戻る値も変わります。 平均が700Wに収まるにはおよそ32.3円/kWh以上で計算されている必要がある、というところまでしか言えない。この製品だけは、円から電力量に戻す計算そのものが成り立ちません。

割り戻す側の条件が書かれていないと量に戻せない、という切れ方は別のカテゴリでも起きます。シャワーヘッドの節水率を検針票の㎥に直した記事では、節約額や光熱費の話を置きながら使用時間も人数も書いていない社があり、5点のうち%を1年ぶんの㎥に直せたのは1点だけでした。円からWhへ戻すのと、%から㎥へ伸ばすのとで、成り立つかどうかを決めているのは同じ欄です。

棒が引けない2製品

アイリスオーヤマ IJDC-K80 は、1回あたりの電気代も総消費電力量も公表されていません。720W×72分=約864Whは、ずっと720Wで回った場合の上限です。720Wがどのモードの値かも書かれていないので、位置は決まりません。

コロナ CD-P63A3 は、乾燥時間も電気代も公式の取扱説明書にありません。ピラー記事に書いたとおり公式の製品ページ自体が無く、webの仕様表にしか置かれない項目が丸ごと落ちています。

購入者レビューでも、2つの数字が混ざっている

「電気代が安い」という評価は、7製品のうち5製品の高評価に現れます。ただし根拠に挙げられている数字が、1時間あたりのこともあれば1回あたりのこともある。 どちらもメーカーの目安値に近い値でした。取り違えると順位が入れ替わるのは、上で見たとおりです。デシカント式に出ている「電気代が高い」という低評価は、公表値と食い違いません。1回あたりは840Whと約864Wh(上限)で、上から2つです。

では、何を見ればいいのか

1. 「1回あたりの電気代」か「総消費電力量」の行があるか。 7製品のうち5製品にありました。無い2製品は、消費電力×乾燥時間という上限しか出せません。

2. その電気代の単価。 書かれていないと、円のままでしか比べられません。

3. 乾燥時間の周波数。 IJH-L160 の55分は60Hzの値です(この条件は取説ではなく特設ページのほうにあります)。この製品は50Hzと60Hzで除湿能力が11.0と13.0L/日と違います。これは1製品の事情ではありません。乾燥時間の試験条件を数え直した記事のとおり、乾燥時間を公表している6製品はすべて60Hzの値で、50Hzの乾燥時間を公表している製品は1つもありません。定格除湿能力のほうは7製品中6点が周波数で値を分けているので、同じ仕様表の中で能力は分かれ、乾燥時間は分かれないことになります。消費電力の行も動きます。 IJH-L160 の定格消費電力は260→300Wで、伸びは能力の+18.2%より小さい(こちらはモード名の記載がありません)。時間も電力も50Hz側は公表値のままにならないので、1回あたりのWhをこの表から出せるのは60Hzの読者だけです(周波数で能力と消費電力の変化率を突き合わせた記事)。

4. 自分が使うモードの行。 モード別の1回あたりを出している3製品では、いちばん静かなモードが3製品とも最大でした。しかも F-YZX60B と IJH-L160 は「速乾」ではなく「標準」が最小で、速乾側がそれぞれ18%と23%多い。同じ製品の中の比なら、単価が非公表でも使えます。 ただし、その「いちばん静かなモード」がどれかは運転の種類を決めないと定まりません。F-YEX120B が公表している最小の37dBは除湿「弱」の値で、洗濯物を乾かしながら出せる最小は音ひかえめの41/42dBです(運転音をモード別に並べ直した記事)。電力量の表で音ひかえめの行を読むなら、そちらが自分の使い方の行になります。

買う前にやること

  1. 1回あたりの行と、1時間あたりの行を分けて見る — 乾燥時間が約1時間の機械では、たまたま同じ数字が並ぶことがあります(CV-TH150 はどちらも約22円)
  2. 自分がどのモードで回すかを先に決める — 静かなモードで使うなら、速乾の数字は自分の値になりません
  3. 定格除湿能力の基準室温と除湿方式を7製品で並べた比較記事に戻る — 1回の電力量は軸の1つでしかありません。同じ「L/日」に27℃基準と20℃基準が混じっていることは、そちらに書いてあります

比較表で消費電力(W)の列だけを見て決めると、この掛け算が抜け落ちます。Wの列と乾燥時間の列は、一緒に見てください。

次のステップ

条件が分かったら、製品を比較。

各製品の対応条件と注意点を確認して、候補を絞りましょう。

衣類乾燥除湿機の比較を見る →

読み終えたあとに

  • 1回あたりの電力量で並びが入れ替わったあと、その順位と除湿能力や方式がどう噛み合うのかが分からず、どの1台にするかは決めきれないことがあります。

    定格除湿能力の基準室温を並べた比較記事

    1回の電力量は7製品を分ける軸の1つで、能力がどの室温で測られた値かという軸は、同じ7製品を公表値で並べ直した記事のほうにあります。

    同じ「L/日」の列に27℃基準と20℃基準が混じっていることを、7製品ぶん並べています。

1回あたりの行と1時間あたりの行、それぞれの単価を控えておけば、同じ計算は後日でもできます。この時点で1台に絞らなくても構いません。

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運営者

mono-buzz 編集部

メーカーの公開仕様と購入者レビューを読み込み、各社で書き方の揃わない数字を同じ条件に並べ直しています。実機は持たないため、使用感はレビューに共通する指摘として扱い、価格は目安を示し、最新の金額は販売先で確認していただく形にしています。